この世を生きることの名状し難い魅力は、他者から与えられた見せ掛けの安定のなかには絶対に存在しません。おのれの血のなかに感じる、ときめくような自由を味わうことこそが本物の人生であり、そしてそれは自ら首輪を外したときから始まるのです。
生きていてつくづくよかったと、これが本物の人生なのだと、おのれの道をおのれの力で切り開いているのだと、そう感じて、心を燃え立たせたことが一度でもあったでしょうか。たった一度の、しかも誰のものではないはずの人生を生きるのに、どこの誰に遠慮が要ると言うのでしょうか。
生者としてこの世に生まれながら、死者として生涯を終えてゆく自分に気がついてしまったとき、さて、どうしますか。