80'sテクノポップ カタログ

80'sテクノポップ カタログ

とりあえず100枚を目指す。
(急にブログタイトル変えましたが気にしない気にしない)
                    (3月31日に変えました)

2016年2月23日
いい加減「テクノポップ」という直球過ぎる名前を変えたいので、違う名前にしてみます。
ちょっと良いのが思いつかないので、しばらく「ポルマ・カトーニ」と名乗るので、よろしくお願いします。


2013年に「テクノポップのアルバムを解説する」ため、このブログを開設しました。
しかし難しいものですね。本気でテクノポップなアルバムって少ないですよ。
大概ニューウェーヴとか、エレ・ポップじゃないですか。
今更タイトルを変えるわけにもいかないし、あーこれは後悔ですね、間違いない。

このブログに関しての注意
・やたらと口が悪かったりしますが、本気にしないでください。
・曲解説の所には色々と書いてますが、あまり真に受けないでください

Amebaでブログを始めよう!

いつもポルマ・カトーニがお世話になっております。このブログの本人の者です。アカウントの持ち主はこの2022年10月15日、自宅にて生存いたしております。永遠の17歳です。私の希望により、存生のご厚誼を深くお礼申し上げます。なお本人の希望により、自宅警備員を執り行います。長らくの間、ポルマ・カトーニのブログを閲覧していただき、ありがとうございました。最後になりますが、本人が遺した言葉を以下に記します。

お久しぶりです。

――私――です。

私は今、「じゃがりこ」の輸送中に折れたと思われる破片を取り除いて金髪碧眼美少女に進呈しなければならない苦役を受けています。折れているものを食べるだけが私の摂る唯一の栄養です。もう三年はこんな生活が続いています。それもこれも、「ケモ耳に人権はない」と、ネットカフェ・ポパイ梅田DDハウス店で絶叫したためであります。今の私の唯一の幸せはぺこーらが「オルァ!」と叫んでいるさまを見ることだけです。誰か私を助けてください。家に還れば、再びこのブログを再開することを誓います。住所は〒100-8111 東京都千代田区千代田1−1です。来れるものなら来やがれください。お願いします。すみません、これ面白いですか?

前回の続きでーーーす

 

Contradictions Contradictions

2,890円

Amazon

ジャケットにある象形文字みたいな謎のイラストをようく見ると、実は

THOMA

SLEER

CONTR

ADICT

IONS○

と書かれています。無理やりそう読めるというぐらい歪んでますが。最後の○は判読できません。謎です。ひょっとしたら「THOMAS LEER……」と読めるのも、こちらの錯覚なのかもしれません。

 

決して本気にならずお読みください。どんなに問題を繰り返し起こしても安倍政権は続いているじゃありませんか。つまり、そういう、そういうですね、謎の、ある種の、安定感、これをですね、これを以って、読む、是非ともですね、皆様も、そうして、そのようにお読みください。

 

 トーマス・リアは1981年にチェリー・レッドに所属し、シングルやアルバムをいくつか発表しています。1981年に12インチEP「4 Movements」を発表。翌年には「Contradictions」を12インチ2枚組という形態で発表しています。2枚組というと、曲が大量に収録されていそうなものですが、実際は片面に2曲ずつ収録されているだけです。正確には、ある面のみ1曲収録なため、奇数です。12インチレコードに1曲だけとは、スペースが広すぎて居心地が悪そうです。レコードは外周の方が音質が良いとはよく聞く話です。おそらく「Contradictions」は、音質を重視して発売されたものではないでしょうか。結果的に7曲収録されており、アルバムとギリギリ言えそうなものになっています。

 同年には「Letter From America」がアメリカで発売されています。こちらはレコード1枚組の11曲収録で、堂々とアルバム宣言できるものとなっています。「Contradictions」と「Letter From America」の、どちらが先に発売されたかといった情報は分かりませんでしたが、特に差はないんじゃないでしょうか。根拠はないです。同じ1982年ですから1月も12月も変わらないんじゃないですか。

 今回紹介するCD「Contradictions」は、どの上記のどの作品に準拠しているかというと、混合としか言いようがないです。「Contradictions」「Letter From America」に収録された曲を混ぜ(曲順はバラバラ)、トーマス・リア最初期のシングル「Private Plane」、それから1982年に発表されたシングル「All About You」、それと未発表曲を加えたものです。チェリー・レッド時代のトーマス・リアの音源は、これ一枚でほぼ網羅できる上、初期作品「Private Plane / International」も聴ける、大変お得な商品となっています。持っていない方は、ぜひ買おう!

しかし廃盤でした。参ったね。昔は中古でもそれなりに楽に入手できたはずなんですが。

 

1. Private Plane

 このCDが発売された時、多くの人が「トーマス・リア! 懐かしい~」と己の青春時代を追憶したことがあるわけないじゃないですか。一体往年のトーマス・リアについて「懐かしい」とコメントできる人間がどれぐらい存在するのでしょう。まして日本人でトーマス・リアを正月に会える親戚みたいな感覚で捉えられる人なんか、いませんよ! ……この曲と関係ないですが、気が付けばもう年末ですね(注・この文章を書いている時、まだ2020年にはなっていなかった)。正月の男たちが特にすることもなく居間でテレビを見たり見なかったりする現象って何なのでしょうか。無聊?

 このように、トーマス・リアはあんまり(我々にとって)親し気な人ではありません。いや、ひょっとしたら他人が握ったおにぎりでポッキーゲームできるくらいフレンドリーな気性なのかもしれません。しかし悲しいことに、トーマスにテレパシー能力がないためなのか、彼がどんな性格してるのかさっぱり伝わってきません。まあ今の世の中はその人のことを知らなくても全然大丈夫な風潮になっています。だから私も安心して「トーマス・リアは結婚してる!? 独身!? 彼女は!? トーマス・リアについて私なりに調べてみました!」みたいな記事を作ることだってできます。結果は何も分からないんですよねー

 そんなトーマス・リアのファースト・シングルがこの「Private Plane」なんだと言われても、私は何の感興も起りません。というか、これがファースト・シングルであることすら知りませんでした。私はこの「Contradictions」というCDを最初に聴いたとき、(オリジナルの)アナログ盤でも一曲目は「Private Plane」だったんだろうと断定していました。どうしてどうして、この曲いわゆるボーナス・トラックみたいなものなのです。一曲目にいきなりボーナス・トラックを入れる例はあまり聞いたことがありません。私が覚えている例は、大瀧詠一のファースト・アルバムくらいのものです。なんにしても数少ない例だと思います。誰もやってないのに、いきなりボーナスから始めるってことは、トーマスもよっぽどせっかちな性分だったのでしょう。ついでに大瀧もせっかちってことで。どうどう。

 つい長くなってしまいましたが、この「Private Plane」、なかなか優れたトラックです。正直、私はこの曲以外はどうでもいいとすら思っています。暗めの世界観とでも言いましょうか、それをしっかり作り上げています。歌声から出てしまう素人っぽさもいい味になっていると言えます。こういうクオリティの曲をいくつも作れたらトーマスはさらに出世してたんじゃないかと思うのです。

 

2. International

 こちらは「Private Plane」のB面。A面はギターレスたったのですが、こちらはノイジーなギターが聞けます。我慢しきれず己のロック精神を放出したと解釈していいのでしょうか? 私が最もエレ・ポップに狂ってた頃、この曲のギターは正直気に入らなかったのです。A面は何だかんだいってテクノ・ポップだったのに、どうしてギターなんかやってしまったのだと詰問したくなりました。考えてみれば、この曲が作られた1978年は、和音の出せるシンセサイザーが貧乏人には買えない時代でした。スカンピンのトーマスには無理だったのでしょう。昔の私はそんなことも分からずに、ギターをヘイトしたものです。経済的な事情が絡んでいたなんて知らなかったよ、トーマス。アウトロで「あ~~~~~~~」と情けなく声が漏れてるのは、困窮から来る哀しみだったのです。一方OMDはオルガンで和音をガンガン鳴らしていたのであった。

 

3. Kings Of Sham

 最近はユーチューバーなるものが流行しておりまして、猫も杓子も「はいどーもー!」を挨拶に、コーラメントスしてるのです。しかし大抵は取るに足らないものばかりではありませんか。本物のユーチューバー(「成功者」とルビをふってほしい)は、コンビニで売ってるビーフジャーキーの内容量くらいしかありません。あれすぐ無くなるんだよな。

 昔々その昔、サム・ザ・シャム&ザ・ファラオズというバンドがアメリカにおりました。代表曲は「Wooly Bully」で、これがバッカみたいな曲なのです。こんな曲でもビルボードで2位を記録(年間チャートでは1位)するんですから、アメリカには「バカ」の精神がちゃんと生きてます。人間みなバカです。そういう本質を隠したってしょうがないじゃありませんか。自分を糊塗しようとするから妙ないさかいが起こるんじゃありませんかあ! もうなんなんですか?  皆さんみたいなクラスは先生初めてです! そうして先生は教室に帰っていくのであった……。

 私はこの曲を未発表曲だと思っていたのですが、実はチェリー・レッドが1981年にリリースした「Perspectives And Distortion」というコンピ盤に発表されていたそうです。正直どうでもいい内容の曲なので未発表だと思っていました。コンピ盤に参加することになったはいいがネタが浮かばないので雑にやったとかでしょうか。

 ただ特筆すべきは、尺八らしき音が始終使用されている点です。これは言うまでもなく、和楽器バンドに影響されているのです。「うう~~尺八は、、、楽゛し゛い゛な゛あ゛!゛!゛」と呻っているトーマス君の姿が浮かびます。

 

4.  Dry Land

 3曲目「Kings Of Sham」とこの「Dry Land」もまたボーナストラックです。徹底して本編でない曲を頭に持ってくるところが、せっかちトーマス君の特徴であり、これが後の「機関車トーマス」になるのでした。

 こっちは正真正銘、未発表曲です。1994年にこのCD「Contradictions」が発売されて、ようやく陽の目を見たのです。

 とりあえず「未発表」と言っておけば貴重な気がする人間の性質は、時に愚かなものになります。大したことのないものを有難がるようでは、世の中の本質を見失ってしまいます。この「Dry Land」を「未発表」だからという理由で重宝してしまっては、あなたの余命は三か月です。断簡零墨の精神は、(精神や金銭に)よっぽど余裕がない限り、その人を滅ぼします。つまらないものは、つまらないと言おう! この「Dry Land」はどういう曲かと言うと、まあ、なんですか、アレな曲です。

 

5. Don't

 ここでやっとのことで本編に入ります。ただ私は、いつも3曲目と4曲目で聴こうとする意識が途絶えるので、この「Don't」を意識して頭から聴いたためしがないような気がします。

 今にも途絶えそうな意識を奮って、初めてまともに聴いてみると、なかなかクールに作り込まれたシンセ・ポップです。構成は完全にミニマルですが、サウンドのセンスも悪くないように思います。ビートが強かったらもっと踊れる曲になっていたかもしれません。ばかうけペヤングやきそば味を持ちながらユラユラとガンギマリ舞踊を躍る姿が浮かびます。別に……

 それにしても五分半とはいささか長い。ナガナガナガナガ永井荷風。

 

6. Letter From America

 「Contradictions」のベスト・テイクはこの曲ではないかと考えています。これは昔から自分の中で一致している見解で、決して今でっちあげたことじゃありません。ちょっと和音が凝っていて浮遊感があって、永遠に聴いていられると言えばウソですが、楽しめます。アメリカで「Letter From America」という名前でレコードが出ただけのことはあります。アメリカにゴマをするという卑屈な態度の表れではなく、トーマス君の自信作だったのかもしれません。

7. Tight As A Drum

 イントロの電子音は、ドイツのニューウェイヴ勢がやりそうなキッチュさです。一体日本人のどれぐらいの割合が「キッチュ」の意味を正しく理解して使っているのでしょう? 私がその一人なのですが、日本人は、よく分からず、雰囲気で横文字を使ったりしているのではないでしょうか? 私と一緒にアウフヘーベンしましょう!

 イントロと書きましたが歌は一向に聴こえません。トーマス君は歌うのがダルくなってしまったのです。忘れた頃に機関車トーマスの肉声が聞こえます。シュポポポ…… ただ歌ってはいません。ちょっとだけ喋ってるだけです。ちょっと面白いこと言おうとしたけど、ウケがよくなかったので、そそくさと引っ込んだといった趣です。無理は禁物ですよね。でも挑戦する心はエラい。

 

8. West End

 この辺になると早くも私の記憶にありません。こんな曲あったっけ?となります。トーマス君の気まぐれシンセソロ(ニュー・ウェイヴ風ミニマル添え)です。お前の道楽に付き合ってる暇はありません。次、行きましょう。

 

9. Hear What I Say
 ここでようやくワンパターンさが若干抜けてビートが遅めです。シンセによるメロディーらしきものが浮かび上がります。トーマス君はお唄を頑張っています。ハーモニーなんかも重ねているので、こりゃ相当な努力と言えます。ハーモニーをやろうとする精神を評価して、トーマス君をニュー・ウェイヴ界のエヴァリー・ブラザーズと呼びたいと思います。ぱちぱち。

 

10. Mr. Nobody

 シンセ・ベースがいくらか目立つ曲です。ローカル版ウルトラヴォックスといった感じです。これも大分垢抜けようと頑張ってる感じです。こういう努力が後のアリスタやZTTレーベルとの契約に繋がるのでしょう。そう考えると、トーマス君はかなりの努力家と言えましょう。世の中には大したことないのに、さも芸術家のように振舞ってインディーズでくすぶってる連中がたくさん居るんですから。ただ私はトーマス君の垢抜け路線を気に入っているかというと、そうでも……と言うのが正直なところです。ごめん。

 

11. Contradictions

 表題曲。一番ロックンロールな感じがします。9曲目から10曲目と続けていくと、限られた機材で、様々なヴァリエーションを打ち出そうとしているのです。歌はやっぱりなかなか始まらずシンセ・ソロから始まります。そんなに面白い音色でもありませんし、感心するほどの技術もないので、あんまりやらないでほしいです。ただ一分半ごろから聞こえだすシーケンスは、場違いな感じがちょっと面白いです。

 

12. Looks That Kill

 これも「Letter From America」と同様の路線に聞こえます。メロディーが一番活きてるのはこれだと思います。意外と彼の歌はまずくないと思います。こちらの勝手な先入観でトーマスの歌はヘロヘロの音痴だと認識していたのですが、ちゃんと聞いてみるとそんなに悪くありません。インディーズのニューウェイヴ界隈の中では上等ではないでしょうか。というか他がヘタすぎるんでしょ。

 

13. Soul Gypsy

 これなかなか良いように思います。我々の理解の範囲内で変態をやっている感じが親しみを感じます。ベースがスラップするところが、ちょっとした驚きです。つい文章が短くなってしまうのですが、本当に割と大した曲なので聴いてみても、そんなに損にはならないと思います。責任は負いません。ちょっと言ってみただけです。私はこの記事を誰に頼まれるでもなく、無収益で書いているのですから、責任とか有益性とか、そんなこと全然考えられないのです。

 

14. Choices

 この「Contradictions」について、インターネット上ではどのような評価がなされているかを知るため、検索してみました。すると驚くことに私は以前このCDについて記事を書いていた……。見ると2015年2月投稿となっています。すみません、完全に忘れていました。ということは、私は知らず知らず二度も同じCDについて書いていたと……。あがーん。いよいよ私のボケもひどくなったようです。ちょっと自分が信じられません。いよいよ私は終わりです。

 そういう訳で、死に体で昔の記事を読み返すと、ホントしょーもないことばかり書かれています。いや、今だってしょうもないんですが、輪をかけてしょうもないと思います。バカです。知能指数2です。ルチ将軍はやっぱり偉かった。

 今回は、なんとか各曲について解説(と言えるかどうか不安な文)を書いていますが、前回は全然書けてませんでした。でもそりゃそうですよ。そこまでね、一曲一曲に真面目に向き合えるようなアルバムじゃないですから。このCDは雰囲気で聴くものだと思います。捨て曲という概念がそもそもないのです。だってどれも同じ感じなんだから。「この曲は捨て曲」といったら同時に他の曲も全部捨てなきゃならなくなります。全部繋がってるんですよ。筋子みたいに!

 この「Choices」という曲をどう思うか? どうも思わんよ!! 流すぞ!

 

15. Gulf Straem

 だんだん飽きてきた。僕は正直。

 微妙にアラビア~ンなかほりのする曲です。だからなんだってンだよ。アラビアに行ったことあんのかよ。俺は無いよ! トーマスも無いんだろ!? ないのにテキトウな曲やってんじゃないよこのハゲ!(トーマスは禿げてない)

 

16. All About You

 おっしゃー! 最後の曲だ。と思ったら急にシンセサイザーの音色が今までとはちがって、ちょっと驚きました。ストリングス系統の音です。ちょっと高級感が出てきました。トーマス君もすっかりリッチマンですね、知らないけど。そういえばこの曲は、「Contoradictions」が発表された翌年、1982年に発売されたシングル曲だったんでしたね。こうして聴いていると、トーマス・リアの成長日記といった趣です。なるほどね、我々はトーマス君の”育ち”を観察していたんだ。一人の人間が、立派に飛翔していく姿を。そう考えると、僕の心はなんだか晴れるような気がした。今までの暗澹とした、錯雑とした心持が、嘘みたいに消えてなくなった。同時に、言いようのない空虚な気持ちになった。僕は何を見ている? 目の前には確かに今までと同じ光景が依然として繰り広げられている。しかしそれが何だと言うのだろう? 僕の眼は虚空を見つめているのと相違なかった。僕の眼は見えなくなったのだろうか? 僕はそうは思えない。しかし、そう思えもするのだった。僕は何が何だか分からなくなった。僕の心はまた錯雑としてきた。それでも僕の耳には、まだトーマスの歌声が響いている……。

 

 あけましておめでとう!

この挨拶を書くのに三回もタイプミスをした! 俺hがもう終わりだ!

去年は三つしか記事を更新できなかった! 実質二つだ! 情けねえぜ!

2019年七月にトーマス・リアの「Contradictions」についての序文を書きました。それ以来放置です。

年末から本文を書き始めていますが、全然進んでません。

私の記事更新を心待ちにしている方(そんな人がいらっしゃるとは思えませんが)、どうかじっくちお待ちください。さながら軟禁生活を忍んだアウンサンスーチーのように!

 相変わらずテクノを全然聴いてません。11月に久しぶりにチャイナ・クライシスを聴いたのですが、歌の不安定さばかり気になりました。年末に久しぶりに坂本龍一の『音楽図鑑』を聴きました。やっぱり良いなと思いました。トーマス・リアはまともに聴けてません。あんまり面白くないんですよね。

 

 今年はオリンピックがあるらしい! 私はそんなことどうでもいい! ラグビーが盛り上がっていた時期もあったが、あれも自分にとってはどうでもよかった! 好きな人は好きで構わないんですけどね!

 今年こそブログの更新に勤しみたい! 一ヶ月に一枚できれば、いいよね~!? 己を奮起せよ! いだてん(視てない)の精神で行くぞ! うおあおああおああ!!!

以下、しばらく2019年1月に書いた文章をお送りします。赤文字は現時点での私の文章です。

 

 最近、このブログのアクセス数は100前後になることが多く(注:1月時点。現在はほとんど100に届かない)、自分でも驚きます。もう当家はごく一部の好事家が見るものでも、内輪の楽しみでもなくなったようです。ネットサーフィンの波に飲まれ誘われここにいらっしゃった方も多いことでしょう。だからなのか、今までとは毛色の違ったお客さんからコメントをいただくことがあったのでした。2018年は、一度もブログを更新しなかったのにも拘わらず、コメントが5件もついていました。その中には、今までひょっとしたらこういう意見も来るのではないかという懸念そのままのコメントまでついたのです。以前にも掲載したため、くどいようですがもう一度貼り付けます。VOMIT SCUM君、見てるゥー?

 

VOMIT SCUM さん

103019:48

>そうかなぁー?

>何かこの2人のこと、随分コケにしてますけど、耳大丈夫ですか?

>このアルバムの後の二人の活動は評価すべきものがあります。

>ロバート・レンタルさんはもう亡くなられているようで、残念です。

>「いつのまにか消えた」とか侮辱してますが、あなたにはこの人達の活動が眼に入らなかっただけじゃ?

>プライヴェートな事情や健康の理由で音楽活動出来なかった可能性もあるんだから、決め付けないで下さい。

>どこぞの音楽雑誌にドヤ顔でガセネタを書きまくるおバカ音楽評論家みたいですねーw

>この記事を読んで、ネット上の情報がいかに信用すべきでないか、よく分かりました。

 

 対する私のコメント。

 

>ポルマ・カトーニ

201911日 12:21

>>VOMIT SCUMさん

>「あんまり本気にしないでくださいね。」と本文に書いたのが見えなかったですか?当ブログは所謂バカッター(今言われないか)すら笑えない底辺管理人が運営している(いた)のですよ。随所に私がどうしようもない奴であることを書いてあるつもりなんですがねぇ。

>「いつの間にか消えた」と決めつけたことを批判されてもねぇ、実際いつの間にか消えたんだからしょうがないだろう!開き直りじゃないよ!本当だもん!!ロバートの事情なんか知るか、だって会ったことないもん!お前はあるんか!要するに私のような無知にロバートの詳細な音楽活動は把握できんのですよ。あなたがロバート氏をよくご存知なら、是非布教すればいいじゃんかよ!それがロバート・レンタルのためになると思います。多分お前、その文章書いてるときすげードヤ顔だったろ。表情には出さなくとも心はドヤ顔ってか!まさかロバートを知りもせずにそれ書いたんじゃないよね?知識人を証明したくば、己の知恵を披露してみよ、ホレホレ。

>音楽評論家の大半が大したことないのは、あなたの仰る通りと思いますが、さすがに奴らでも私のような文章は書かないと思いますよ。馬鹿にしないでくれますか?この酷いインターネッツの全世界に謝ってください。そして一緒に四にましょう。

 

 知性のかけらもない……。読者の皆様は、私を教養ある、分別ある人間と思っていたでしょうに、これでは幻滅です。私の精神はまともではなく、それが新年一発! 怒りの挨拶につながるのでした。

 

私が何に怒ったかって、コメントの口調が煽り気味だったからですよ。「あなたの文章はちょっとお不快なのではなくて? 少しは慎んだ方がよろしくってよ」と丁寧に言われたら、私も謝罪の言葉を言ったかもしれませんけど、言わなかったかもしれません。私は煽りに対する耐性が0な人間ですので、つい乗っかってしまうのです。キレる老人とは私のことです還暦前。しかしアクセス数が100を超えた今、色々と留意しなくてはなりません。ひょっとするとVOMIT SCUM君が皇族関係の人だったかもしれないのです。この世に皇族ガチャなるものが存在し、稀な確率で皇族関係者からお言葉が貰える可能性があるかもしれないのです。つまり、もしかするとVOMIT SCUM君は小室某だったかもしれません。

私はそんなに小室某を怪しからんと思っていません。好きなようにくっつき給えと思います。ですが家系がロイヤルだと、そうもいかんのでしょう。小室某も日々のバッシングに心身ともに疲れ切っていたことでしょう。そんな時、ひょんなことから当家の記事に逢着し、そのあまりのだらしなさに憤慨しあのコメントに至ったとしたら? そうだと分かると(何が分かったんだ! 早合点にも程がある)、私も小室某に対して慰藉しなくてはなりません。

 

 なぜ私がここでVOMIT SCUM君と小室某を繋げたか、半年経過した今となっては判然としません。己が書いたんだろうが! もう少しちゃんと考えてみれば、当時話題だったことが大きな原因でしょう。それだけでなく私は、「皇族」という言葉をしばしば使う傾向があります。意見が対立したときに、「君は皇族でもないんだから(私の意見も理解してくれたって)別にいいだろう」と、自分と相手の意見が対等であることを示したがるのです。つまり私は皇族に謁見したら、「仰せのままに」しか言わないのです。

 

 あまり小室君のことにふれてやるのは、やめておきましょう。小室君だけが悪いわけではありません。私の文章にも非があるかもしれません。小室某もといVOMIT SCUM君の不興を買った問題の記事を見てみましょう。

 

以下序文

>トーマス・リアって知ってますかね、みなさん。

>ニューウェーブ界では、結構大御所・・・なのか?

>いや、キャリアだけ長くて無名、といったところでしょうか。

>いえいえ、こんなトーマスでもZTTに居た頃もあったんですから。

>少なくとも、こんな文章書いてる奴よりは勝ち組ってことです。

>・・・それで、ロバート・レンタルですよ。知ってますかね。

70年代後半にしばらく活動してて、いつのまにか居なくなっちゃった人です。

>こいつは全然大した活動してないんでねぇ。

>いや、ミュートレコードの創設者、

>ダニエル・ミラーと共演した事があるじゃないか!

> でも、その時のダニエルは

>変なレーベルを作った変な奴って感じだったでしょうからね。

>まあいいや、そんな二人が作ったのが、「ザ・橋」です。

>どうやらこのアルバムで使用されている機材は、

>あのスロッビング・グリッスルから借りたもののようで、

>スロッビング・グリッスル主催の

>「インダストリアル・レコード」からのリリースのようです。

>確かに、TGっぽい音はありますけど、

>こんな2人ごときがよくぞTGの協力を得れたな、といったところです。

>何様だよ自分。

 

(2015年頃までの私の文章が稚拙であるのには、ある理由があると言えばあるのだが、それはここでは言わないことに決めている)

 どう思いますか皆さん。いえ、酷い文章とは分かっています。書いた本人である私としては、確かにトーマス、ロバートご両人に失礼なことは言っていますが、決してそれが本心から出ていないことが示されていると感じられます。問題発言の後に、「自分より勝ち組」「何様だよ自分」と書いてあるではありませんか。つまり、トーマスと私とを対の関係にさせているのです。図で表すと、例えば左側にトーマス、右側にわたくしです。中学校の数学で最初に習う、正の数・負の数を理解するために、用いられる図がありますよね。

-3-2-1 0 +1+2+3

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 失礼なことを言うとアーティスト側に一つマイナスがつきますが、その直後に自虐を入れることで、私側に引っ張られるのです。これによって均衡を保つというのが当時の私の理論だったのです。今思うとマイナスとマイナスを掛け合わせればプラスになる理論の方が納得していただけるんじゃないでしょうか。たかが中一の数学の問題を出しただけで博識ぶるなよ>自分。無論、底辺の私とニューウェーヴ第一線で活躍されていた方とを同じ土俵に上げるのはおこがましいですけどね。まあいいじゃないですか、イギリスに土俵なんかないですし。あったらすいません。

 ただロバート・レンタルには、例のフォローを適切に入れていないことが確認できます。訳を話すと、ロバート氏の方は活動期間が短すぎるため、彼についてどう書くか困ってしまったのです。ディスコグラフィを調べても、彼の活動は1980年を最後にぱったりと消えています。ウィキペディア英語版でも同様で、1980年までの活動の次は2000年の彼の死でした。

 

 せっかくなので調べてみましたよ。

http://gutterbreakz.blogspot.com/2004/09/robert-rental.html

 

 ロバートとトーマスは『The Bridge』のための即席デュオではなく、昔からの知己だったそうです。いつから関係があったかは知りませんが、二人はスコットランド、ポート・グラスゴー出身で、そこからイングランドへ移住したのです。1978年からが二人の表立った活動となります。78年にトーマスは「Private Plane」、ロバートは「Paralysis」というシングルを発表しています。

 ダニエル・ミラーは、スロッビング・グリッスルのパフォーマンスを観た時にロバートと出会ったそうです。1979年にダニエルとロバートは二人でライヴも行っており、その様子がRobert Rental & The Normal (Normalとは当時のダニエルが名乗っていたユニット名名義でラフ・トレードよりレコード化されました。1980年にはダニエル発足のミュート・レコードから、ロバートのシングル「Double Heart」が発表されています。これがロバートにとっての最後の音楽活動かと思われます。明瞭に言えないのですが、どうやら自分にとっての将来が音楽ではないとロバートは感じ取ったようです。

 足掛け三年の活動ではありますが、彼の存在は大変重要です。もっともその「重要」とは、ニューウェーヴ、さら言うとインダストリアルという界隈におけるものです。ロバートが用いていた機材はコルグのシンセサイザー(おそらくMS-20あたり)と、WASPシンセサイザーです。1978年に英国で発売されたものです。ロバートは『The Bridge』で、発売して間もないWASPを使用しているのです。この『The Bridge』は、スロッビング・グリッスルが設立したインダストリアル・レコードから発表されました。スロッビング・グリッスルのメンバーであるクリス・カーターは、『The Bridge』を聴いてWASPに興味を持ち、早速自分で買いに行ったそうです。ロバートのWASPは、その後ウィリアム・ベネットに売却したそうです。ウィリアム・ベネットといえば「パワー・エレクトロニクス」と言われる、すなわちノイズ・ミュージックの雄、ホワイトハウスの中心人物です。このホワイトハウスのデビューは1980年であり、ロバートの音楽活動の終焉と重なります。ロバートが商売道具とも言えるWASPを売却したことを見ても、彼が音楽と決別しようとしている面が感じられます。

 ラフ・トレード、ダニエル・ミラー及びミュート・レコード、スロッビング・グリッスル、ホワイトハウスと、今となっては大変な連中が続々と登場します。当時は彼らの距離はそう遠いものではなかったのだと思うと、感慨深いものがあります。そういえばダニエルは、ウィリアム・ベネットがホワイトハウス以前に活動していたComeというユニットに参加しています。ダニエルは変名好きのようで、Comeでは「Dr. Death」と名乗っています。日本なら厨二病とか言われそうな名前です。ダニエルのComeにおける貢献は、ただ名前を貸した程度のものではなく、アルバム「Rampton」を参照すると、収録曲のすべての作曲に「Death」の名があります。

 

 こういう系統にロバートは居たのでしょう。1980年といえば、ニューウェーヴという何でもアリな界隈に一つの枠が形作られようとする時期です。これ以降のニューウェーヴは、純粋に自由とは言い切れない面があるように思います。1981年までにインダストリアル~ノイズ系列の名作の大半は揃っている事実が、それを物語っていると言えます。Nurse With Woundのデビューは1979、The NormalT.V.O.D. / Warm Letherette」、ホワイトハウス『Birthdeath Experience』、初期SPKの一連のシングル、スロッビング・グリッスルの『20 Jazz Funk Greats』までのアルバム、そしてトーマス&ロバートの「The Bridge」。これらは1980年までに発表されたものです。もちろんこれ以降も、インダストリアル界隈からは多くの作品が発表されています。ノイバウテン、コイル、ライバッハ等を無視するのではありませんし、上記のユニットの殆どは81年以降も精力的に活動しています。しかしパンクから独自に発展したインダストリアル、ノイズの一つの区切りは1980年にあるように思います。その区切りの象徴としてロバート・レンタルの引退を結びつけられるような気がします。

 

 やれやれ、つい真面目に書いちまったよ。これでどこかに大間違いがあったら、もうやってらレンタルね(ここは笑うとこだよ)。ロバートは何故やめちまったんですかね。でも普通の人なら、狂った電子音やらノイズに囲まれると嫌になるかもしれませんね。ロバートはある時ふと異常と捉えてしまったのかもしれない。普通に考えてインダストリアル・ミュージックなんてお爺ちゃんになってもやるのは難しいですよね。コンピューターおばあちゃん明治生まれが如何に苦労してあの状態を維持しているか、あなたには分かりますか? インダストリアルおじいちゃんなんか余計に苦労が絶えないでしょうね。

 

 ロバート・レンタルについて書いたことですし、天国のロバート君も感謝しているでしょう。ああっ! いかんいかん! 怒られちゃう怒られちゃう、小室君に。しかしトーマス・リアに関しては未だ詳しく書いておりません。ロバート君がカゲロウ並みのミュージシャン人生だったのに対し、機関車トーマスは息が長いです。最近になって知ったのですが、過去の未発表音源がCD化されているようです。当初はダウンロード限定だったのが、思いの外需要があったのか、改めてCD化された次第です。1979年1982年がそれで、なかなか興味深いです。アマゾン在住の博識レヴュアーによりますと、「Fairlight EP '83」なるスンゲー貴重そうな音源も発表されているそうですが、こちらは現時点ではダウンロード限定のようです(発売元は「Future Historic」なるレーベルですが、トーマスの音源しか発売されていない点を見ると自主レーベルでしょう)。あのフェアライトですよ。以前から気になっていましたけど、トーマスみたいなそんなに知名度もない(貶しているのではない)人が、どうしてフェアライトを使えるのかと思うのです。ひょっとしてレンタル品なのでしょうか? しかしフェアライトってそう簡単にレンタルできるものなのでしょうか。プレイヤー自らが自分なりにカスタマイズするのがフェアライトの個人的印象でして、そういうものを貸し出せるのかと疑問に思います。残念ながら私はフェアライトに指一本触れたことがない人間でして、その辺の事情は何も分かりません。怠惰な私と違って、トーマス・リアは70年代後半から80年代にかけて精力的に活動していたのでした。そんなトーマス・リアの初期の音源を収録したのが、今回紹介する『Contradictions』なのです。

 

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 以上、2019年1月の文章でした。掴みとしてはバッチリな文章ではないでしょうか? これでVOMIT SCUM君も安らかに成仏できるだろうと思います。VOMIT SCUM君を見届けたおくりびとである私が次に行うのは、『Contradictions』についてアレコレ言及することです。しかし、既に文量が多くなっていますし、私の気力ももう尽きているので、次回に回しましょう。今回は序文ということで、ご理解ください。今後も有言実行をモットーに更新します。

 もう一つ加えて言うと、私はVOMIT SCUM君に怒っているのではありません。確かに元旦に例のコメントを見たときは大変驚きましたし、いくらか感傷的になったことも事実です。しかしあれから半年経てば、あの時のことをほとんど忘れていました。ブログのことを忘れることも度々ありました。私がブロガーとして生きていないのは、更新せず放置ばかりしている事実を見ても分かるでしょう。つまり私にブロガーとしての矜持はないのです。とはいえ、文章を公表する以上、粗雑なものは書きたくないので、ある程度努力するべきだろうとは思います。もうこれ以上書きたくないので終わりです。

これの続きでーーーす。

 

注意!

あまり本気にならずお読みください

※最近、私の雑極まりない馬鹿げた文章に対して本気と書いてマジになる人が出現しました。その場合あなたも私も得をしないので、どうか何卒、イスラム教穏健派のような気持ちを以てお読みください。ちなみに私は何をもってイスラム教が穏健なのか過激なのか、その線引きを知りません。いいからハラル食品でも喰って落ちつけよ。

 

7. Burning Bridges
 B面一曲目にしてタイトル曲です。大人しそうな二人組と見せかけて、橋燃やしだなんて物騒な曲を歌うのですから侮れません。そういう過激な闘争心をもって曲に命名し、アルバム名にもしたものの、グーグルで「Burning Bridges」と検索すると、アーチ・エナミーやボン・ジョヴィの同名のアルバムが優先して出ます。そういう憐れな境遇にあるのですよ、この「Burning Bridges」は。とここまで書いて、ちょっと待てと思いました。
 すっかり忘れていたのですが、本アルバム『Burning Bridges』が発表される約20年前に同名の曲があったのです。それはジャック・スコットというアメリカのシンガーソングライターによるものです。ジャック・スコットは50年代後半にデビューした歌手で、時期的にプレスリーを代表とするロックンロールに位置する音楽です。しかしこのジャック・スコット、そんなにガツンと衝動のくる音楽でなく、はっきり言って地味。初期の大きなヒットは、1958年の「My True Love」「Goodbye Baby」の2曲ですが、一度少し聴いてみてください、ただただ単純かつ地味。派手なアレンジなしで、ずっと同じメロディを淡々と歌い続けます。「My True Love」と同時期にヒットしていた曲は、ジプシー・キングスに知名度を奪われがちなドメニコ・モドゥーニョの「ヴォラーレ」、名誉一発屋エレガンツの「Little Star」、ジミー・クラントン「Just A Dream」、カリン・ツインズ「When」……。大体はメロディアスで明るい印象の曲ばかりで、その中にあんな曲があるのですから、どんな曲だか全然覚えられなかったのです。次に「Goodbye Baby」の同期は、歌ってんだか喋ってんだかどっちかにしろよのビリー・グラマー「All American Boy」、B面のラ・バンバに知名度でいつの間にか負けたリッチー・ヴァレンス「Donna」。その他ロイド・プライス「Stagger Lee」、クレスツ「Sixteen Candles」、プラターズ「Smoke Gets In Your Eyes」、ジャッキー・ウィルソン「Lonely Teardrops」と、歌唱力も迫力も違う黒人歌手の曲(クレスツのみ白人黒人混合)もランク上位にいました。そんな中で「Goodbye Baby」って、お前なんでいるんだ?となったのです。ぜってーこの2曲覚えられないよ!とか思ってはいましたが、同じ旋律のごり押しに負け、つい空で歌えるんですなこれが。でも絶対二発屋で終わるだろ、2曲ヒットしただけでもありがたいと思えよなぁ!?と高を括っていたのですが、1960年に謎の再浮上をしてきたのですから、うっそだろ!あのジャック・スコットが?と驚愕するのです。そんな時期にヒットしたのが「Burning Bridges」なのです。初期の骨と皮しかない簡素さと比べると、格段にアレンジが複雑になっているのに驚くのですが、特に白眉なのはエンディング、フェードアウト前の"Burning Bridges"と繰り返すコーラスの美しさ!ここだけ聴いていればいいんだよ(暴論)。
 ネイキッド・アイズは、バカラックの曲をカバーする点から、古典派気取りな面が見られるため、ジャック・スコットの「Burning Bridges」を知った上で同名の曲を作ったのでは?と推測します。インターネットのない時代に、まったく世代の違うやや地味な歌手を認知できるのかとの疑問もありますが……。しかし詳しい人は詳しいですからね。私はネイキッド・アイズのご両人が、ジャック・スコットの存在を知った上で「Burning Bridges」を作ったと一応信じたいです。違っても恨みません。メンバーのロブ・フィッシャーは死んでしまえとか言いません。彼はそもそも故人ですから。故人じゃなかったら死を願うのかとも言われそうですが、それも違います

8. Emotion In Motion

 テンポはゆったりとしており、どこか飄々とした印象があります。タイトルが「Emotion in motion」なのですから、「感情」がたゆたってどうたらこうたらといった具合なのでしょう。あまりにも具体性のない言葉の羅列には落胆するしかありません。しかし実際この曲は困りますよ。歌詞なんか見ても分かったような分からないようなことが綴られています。深いのだか何も考えていないのだか、どっちなのでしょう。頭が良い人間なら滔々と語れるのでしょうか。しかしそれは拡大解釈なのではないでしょうか。本質を見失ってはかえっていけませんよ、あなた。いけません、知識人の方々を挑発してしまいました、すいません、全部ネイキッド・アイズが悪いです
 歌い出しは「自分はまたあなたを望んでいる」から始まり、はいはい分かったと即断したくなりますが、それ以降が微妙な響きの連続です。極めつけは歌詞の中に「hard to understand」ときました。それこっちの科白だから。

9. Low Life
 テンポは速めですが、どことなく覚めたようにも感じられる曲。この曲以降、本作のテンションはガタ落ちになってきます。この曲では、ブラスの音が効果的に使われています。本作では、ホーン奏者のC.C. Smithとサックス奏者のMartin Dobsonが参加しています。二人とも私は存じておりません。おそらくこの曲に、この二人が参加しているのだと思われます。この曲で聴けるブラスの音は、シンセにしては生々しいものだからです。サンプリングすれば本物に近づけられますが、音の抑揚を出すのは至難の業。それなら本物使っちゃえよということでしょうか。そういえば、ハワード・ジョーンズの「パールと貝がら」もそうでしたね。

10.The Time Is Now
 このアルバムの中でも特に好きなのがこの曲です。イントロが好きですし、歌い出しも好きです。能天気なようでどこか不安定なところがあります。そういう曲調が俺の心情と重なり合っている気がするんだよね。俺も楽天家と厭世家の両面性があるっていうかさ、どちらも本当の自分だし、その二つが俺を成り立たせているわけ。でも二つの事象が混在してるって、やっぱり悩んじゃうんだよね。要するに昨日まで笑ってた自分が今日は泣いている、みたいな。人って、そういうものなんだよな。でもそれが人の美しさでもある。素敵やん?
 で、なんでこの曲が好きかを文章に出来るよう、しばらく考えたんですけど、結局この曲がハ長調だからですかね。私はC調な人間ですから、C調曲にはコロッといっちゃうんですよ。単純な奴だなって思いますよ。これじゃネイキッド・アイズの思うつぼじゃんかよ。思うつぼ、壺?つぼってなんだよ。自分壺の中に入っちゃうのかよ……。やば……ネイキッド・アイズってしまっちゃうおじさんじゃん、こわ。

11.When The Lights Go Out
「This Time Is Now」から「Prpmises, Promises」までの流れは大好きです。仮にアルバムが中盤でダレようと、この三曲さえあれば堪えられます。
 「Always Something~」「Voices In My Head」「Promises, Promises」に次ぐ4枚目のシングル。売上としては基本的に右肩下がりだったネイキッド・アイズですが、本作で巻き返す……ということはなく、なんとか全米トップ40を記録する結果となりました。肝心のイギリスでは無視でした。ちょっと酷くないですか? 成績としては頭打ちな感が拭えないのですが、この曲は他のシングル曲に劣らない優れた曲です。ただ他のシングル曲と比べると地味かもしれません。正確に言うとアメリカで受けるような音に程遠く聴こえるのです。それなのにイギリスでは冷遇されるのですから不思議なものです。なんでしょう、英国人は最初にアメリカで成功した英国グループを嫌悪する傾向でもあるんですか? 、それは「嫉妬」とは呼ばんかね? 嫉妬はいつだって物事の本質を見失う。そんなことしても何も生まれないんだよ……。以上、勝手な説諭。

12.Promises Promises
 

 「プロミセス・プロミセス」というミュージカルがあり、その作曲者がバート・バカラックです。バカラックの「Always Something There To Reminds Me」をカバーしてヒットしたネイキッド・アイズなだけに、この曲もバカラック☆カバーなのかと思いきや、まさかのオリジナル。とんだタイトル詐欺をしてくれました。急に人を騙してくる人って何なんですか? その人の精神を疑います。どう育ったらそういう人間になれるのでしょう。私怒っちゃいますわと憤慨して聴いてみるとあーら不思議、この詐欺曲、随分良い曲じゃないですか。相変わらず湿気たポテチ並の湿ったサウンドですが、そこがこの曲(及びネイキッド・アイズ)の魅力なのです。魅力ならもっと良い例えをするべきなんですけどね。でもね、ようくお聞き、私はもう疲れてしまったのです。脱稿!