小金山進一郎:労務管理の極意

小金山進一郎:労務管理の極意

人事監察官の小金山進一郎が労務管理のポイントを説明します。

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上司に気に入られた部下から成る「内集団」とそうでない部下から成る「外集団」の研究でも、外集団にはかなりの数の従業員が含まれる。

外集団が「成績が最も低い一〇%」だけであることはあまりない。

言い換えるなら、私たちが問題にしているのは「最も成績の悪い部下を即座にクビにすることはベストの選択か」ではなく、「成績が平均以下の部下を即座にクビにすることはベストの選択か」となるだろう。

部下のほぼ半分は平均以下だから、簡単には答えられないはずだ。

症候群を断ち切るために部下を解雇することについては、後でまた論じたいと思う。

とりあえずは、解雇にはさまざまなコストがかかることを指摘しておきたい。

人員補充や研修のコストはもちろん、解雇に至る過程がフェアでなければ士気の低下というコストも発生する。

解雇に至る過程がフェアだとみなされるかどうかは、当然ながらいろいろな要因に左右される。

その部下は上司が自ら採用したのか、それとも前任者が採用したのか。

部下にはどの程度のチャンスが与えられたのか。

同僚とのコミュニケーションは円滑か。

上司とそのチームはどの程度のプレッシャーを受けているのか。

チームを建て直すのに使える時間はどれぐらいあるかといった具合である。

解雇は不適切な策だと断じるつもりはない。

そうすべきときもあるだろう。

ただ、意外にコストのかかる手法であることは間違いない。

小金山進一郎(人事監察官)