woofのブログは縁起物
~羽子板や熊手、ダルマやお雛さま等、「縁起物」と呼ばれるものがあります~

もちろんその質はピンからキリまでですが、得てしてその値段は少しお高めなものがほとんどです
それは、そのもの自体の価値(素材やディテール)よりその裏(文化的背景や信仰)にあるものに
価値がある(とされている)からでしょう。
「この羽子板のデッサンが狂っている」とか「お内裏様がアクションフィギュアみたいに可動しない」
とか批評する人は「やぼ」というものです。
そもそも「縁起物」は(愛でて有難がる)という姿勢で接するものですから・・・

では、どんな要素がちょっと見駄作を「縁起物」の域まで昇華させるのでしょうか?それは
 ①"製作者の価値観(偏愛)"が自分の中の価値観とどれだけシンクロするか
 ②その世界観に少しだけ疑問をいだけるような”隙”があるか(100%愛せるならそれは偶像)
 ③作り手、受け手とも失笑・苦笑ですべてを許せるおおらかさを残しているか

と条件付けてみます
そう、キーワードは『縁起物』!
Amebaでブログを始めよう!
2014年9月23日(月)
イオンシネマ高崎で鑑賞

実在する元ニューヨーク市警巡査部長のラルフ・サーキが体験した
驚愕の実話を映像化したサスペンス・スリラー。
製作は『パイレーツ・オブ・カリビアン』シリーズなど大作を手掛けるジェリー・ブラッカイマー。
『ミュンヘン』のエリック・バナが霊感を持つ刑事に扮し、
人間ではない“何か“が起こす事件の捜査に挑む。共演はエドガー・ラミレス。


(ぴあ映画生活 イントロより)



半年程ご無沙汰だった007さんと久しぶりに映画館へ
例の如く 何の前情報もなくギリギリで飛び込んで着席
知らない映画のトレイラーばかりで新鮮でした

タイトルからして「ちょっと霊感の強い 華奢な美人刑事の少し不思議な事件簿」
のようなものを想像していました…が…

…違いました…

でも!いろいろ(いい意味で?悪い意味で?)裏切ってくれました!


NYブルックリンで残忍な事件が続発
捜査にあたる刑事は 仲間から(レーダー)と呼ばれる
(虫の知らせ)程度が働く下町のマッチョデカ

とにかく相棒も武闘派なので
どんな悪にも力でねじ伏せてくれるのでは!
と期待してしまいます

ちょっと行き過ぎの残虐描写はあるものの
時間経過による捜査とプライベート両面での
テンションのあげ方はかなりのものです。

その反面、突然 大きな音や動きで観客を「驚かす」
ちょっとクラシックな演出は いかがなものかなぁ…
と気になっていたところ
!?突然 アウトローっぽいカソリック神父の登場!?


そうか!
そういう映画だったのね!


~以下少しネタバレあります~


この映画 おそらく観終わった人は
『エクソシスト』か『セブン』を連想するでしょう

どちらも時代を代表する問題作ですが
この映画はそのどちらでもなく
上品な安寧と露悪趣味の並列:現代版ゴシックホラーの類かと感じました。

テーマが漫然と広がりがちな映画が多い中
クラシックっぽく主人公視点でストーリーは狭く深く進んでいきます
また 退廃的な雰囲気と超常現象、そして現代NYの殺伐さが
事のほかマッチしています。

このあたりティム・バートンの
「形だけ真似た」ゴシックホラーより
製作者の高い志を感じます


しかもこの映画の最大の裏切りポイントは
ラスト!

ある意味これほど観客を裏切る展開は無いのでは!?


70年代から80年、90年代と「ホラー慣れ」した観客は
鮮烈な「オチ」(二段、三段まで!)を期待しますが

まるで鉄棒競技のメダリストのような
見事な「着地」をみせます!!
その上 満面の笑みでガッツポーズまでみせられると
(ああ、素晴らしい演技だったのかなぁ…)
と妙に納得してしまいます。

これは ある意味とても2010年代的な締め!!
実社会がそれだけ不安定という表れと
あらためて確認できました



★★★★☆
現代の特撮で古典的なフォーマットを見事に踏襲
(それにしても 家族はトンだ とばっちりだったね…)