祝「カズオ・イシグロ」ノーベル文学賞受賞 | 「書く」を仕事に

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取材・文/有留もと子
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ライターの有留です。
いつもお世話になっております。
 
昨夜、ノーベル文学賞の受賞者に
カズオ・イシグロが選出されました。
 
嬉しかったです爆  笑
 
彼が日系イギリス人だからではありません。
彼が書いた『わたしを離さないで』が好きだからです。
 
この本は、人間に自分の臓器を提供するためだけに
生まれてきたクローンたちの物語です。
彼らは「提供者」と呼ばれ、
臓器を提供することが「使命」です。
 
そして4回目の使命のあと、死んでいくのです。
 
日本での初版が2008年。
読んだ時は、同じことが世界のどこかで行われているかもしれないと
思ったものです。
 
それから10年が経ち、臓器を提供するための
クローン人間が誕生していようがいまいが、
誰かが生きることは、誰かの犠牲によって成り立っているのかもしれない、
そもそも生きるとはそういうことなのかもしれない、と
思うようになりました。
 
私も、見たことのない誰かの命の引き換えにして
生きているのかもしれない。
 
そしていつか、私の命と引き換えに
誰かが生きるのだろう。
 
生きることも死ぬことも、自分で選んでいるようで
実は選べない。
この、知っているけれど認めたくない不条理さが、
本全体に流れている静かな諦念につながるのかもしれません。
 
もう一度読んでみたいと思います。
あと、彼の他の本も!
 
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