シャセリオー展―19世紀フランス・ロマン主義の異才 | 「書く」を仕事に

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取材・文/有留もと子
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ライターの有留です。

いつもお世話になっております。

 

昨日は、午後から上野へ。 

もうすぐ終わってしまう展覧会に行ってきました。

 

 

シャセリオー展―19世紀フランス・ロマン主義の異才
2017年2月28日~5月28日
国立西洋美術館

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テオドール・シャセリオー(1819-1856)は、わずか11歳で巨匠ジャン=ドミニク・アングルに弟子入りを許され、16歳でパリの画壇にデビューした天才。
37歳で急逝するまでの彼の足跡を追った、大規模な回顧展です。

私は、今回初めてシャセリオーの名前を知りました。
最初にポスター《カバリュス嬢の肖像》を見たときは、
正直に言うと、あまり興味が湧きませんでした。
なんだか退屈そうな絵だなあと思ったんですよねー。

しかし、画家が37歳という若さで亡くなったと知り、
短い生涯の中で、この画家が何を描いたのかを見てみたい! 
と、美術館へ向かいました。

シャセリオーは10代からとんでもない才能を開花させていて、初期の習作も信じられないような完成度の高さです。

自画像を見る限り、シャセリオーは、小藪似の、決してイケメンではない人ですが、それなりに恋愛関係が華やかだったみたいです。
また、よくケンカしては、怒りのあまり作品を切り裂いたりしていたらしい。
いいですねえ、若さってヤツは。

何を描いても見事なシャセリオーですが、
彼の才能が一番発揮されているのは肖像画だと思う。

最初に退屈そうだと思った《カバリュス嬢の肖像》は、
その絵の前に立つと、輝くような肌の美しさに
目を奪われ、モデルの息遣いが聞こえてくるようです。

退屈そうとか思って、ほんとスマン。

また、アルジェリアを旅して描いたという

《コンスタンティーヌのユダヤの娘》という作品も
モデルの女性の強いまなざしが印象的


こんなふうに忘れがたい肖像画を描けるのは
シャセリオーは非常に人間観察力が優れていたのだと
思います。

私たちは相手を見るとき、顔かたちだけを
見ているのではなく、
孤独、力強さ、臆病さ、清潔感、慈愛などなど、
その人の目に見えない人間らしさも同時に見ています。

シャセリオーはそういう見えないものを、
正確な表現力でもって描いていたのです。

本物そっくりに描かれているから感動するのではない。

ずっと昔に生きたモデルが持っていた人間らしさに共感するから感動するのだ。

そんなことを思いながら、シャセリオーの作品を観終わりました。


今週末まで開催です!お急ぎくださいまし。