今月25日までのデトロイト展。

いつも美術展は早めに行くのに、今回は滑り込みで行ってきました。


デトロイト郊外に住んでたときは、デトロイトなんて怖くて怖くて、
男性ですら昼間でもよっぽどの事情がない限り行かない方がいいと言われており、
デトロイトに行くなんて発想がなかったので、
こんな素晴らしい美術館があることを全く知りませんでした。


知ってたら通ったのに…

なわけはなく、やはり行けなかっただろうなあ。



豊田市、大阪、東京の順で開催されたこのデトロイト展。
それだけ見ても、普通の美術展とは趣の違いが取れますね。


自分が住んでた場所の美術展であることもあり、作品だけでなく、美術館や美術展の背景・経緯というものに
とても興味を惹かれました。

実際、美術展の説明でも、そのあたりの説明が他の美術展と比べて
ハイライトが当てられています。


その昔、自動車産業が花形だった時代、デトロイトは近代の機械産業・技術の発展を象徴するアメリカ誇りの産業都市であり、
世界に冠たる3大メーカーに支えられて潤った町。
その潤沢な税金、資金援助に支えられて、デトロイト美術館のコレクションも素晴らしいものだそうです。

しかし、私たちの知るデトロイトは廃墟の街。
GMの破綻など、街の財政環境は悪化の一途で2013年にはデトロイト市が破綻します。
当然その再建のために目をつけられる貴重なコレクション。

所蔵作品の売却の危機を乗り越えた事例は、先進国の美術館運営において
参考事例として今も評価されているそうです。


折しも、同時期、やはり大阪市の財政赤字で閉鎖が検討されていた大阪市立美術館で開催の運びとなったのも
とても感慨深いことです。


なんと、こちらの美術館展、7-8月の平日は全て写真撮影が許可されていました。
日本では美術館での写真撮影なんて、最初からできないものと思われてますよね。

自分の所蔵品は可、企画展など他の美術展から借りてきた作品は不可というのが一般的ですが、
日本の美術展で企画展の作品が撮影可だなんて、なんて太っ腹なのでしょう。


これも全て、公立の美術展として、あくまでも開かれた市民の美術館というデトロイト美術館のポリシーが反映されたもの。
そして、大阪市立美術館の館長さんの言葉も印象的でした。

素晴らしい作品を後世に残し、多くの人々に鑑賞してもらうのが美術館の役目。
しかしそれだけではなく、子供の頃母親に連れて行ってもらった、そして自分も親になったとき子供を連れて行く。そんな人々の生活の記憶に残ることも重要な役目なんだと。

赤ちゃん連れも可というそれは、そろそろ若い世代の育成に力点を移す世代となった私には
とても感慨深い言葉に感じられました。


来月から東京での開催。
東京の皆様、ぜひ楽しみにしていてくださいね。


私が好きだった作品。
撮影許可日でないので、ビデオから。
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そうそう、最後にポストカードなどの物販コーナーがありますが、
かなりの非充実度です。


美術館展のオリジナルカードは少なく、上の作品は日本初上陸と紹介されていたにもかかわらず、
ポストカードがありませんでした。

マグネットは無し、メモ帳やファイルなども一番の目玉のゴッホの自画像のみ。
かわりにデトロイト美術館とは関係ない、ゴッホやルノワールの有名な作品のポストカードなどが売られていて、
なんだろう?な印象です。

さすがに今回の展示の作品集はありましたけどね。

商魂たくましくはないのかな。