THE MAKING of 5.11 アウトドアウェディング@すずのもり | WO-un(ヲ・ウン)

THE MAKING of 5.11 アウトドアウェディング@すずのもり

5月11日にすずのもりにて行われた、


都内在住のT夫妻によるアウトドアウエディング!


・・・のまずはメイキングです。








今まですずのもりで行われた結婚式と今回大きく違うのはその規模。


一つ前の記事にもあったとおり、なんと今までの倍で100人超、更に着席希望ということで


ナガラゲルの倍の大きさのテントをデザイン、制作することになりました。










何はともあれまずは骨組みとなるナガラの皮むきから・・・


今までは山主さんからお借りしていたナガラですが、

昨年間伐したもので、ナガラとして使えそうなものが数十本あったので


なんと自前のナガラを生産することに。



かなり貴重なブランニュー・ナガラ。


甘皮も綺麗に削り取ったのでつるっつるです。






約40本ほど作ったのですが、皮むきだけでも二人がかりで約一週間。


間伐、搬出なども含めると・・・・と考えると気が遠くなりますが

こうして独自に出口を見つけなければ、こういう小径の間伐材は


今市場では行き場がありません。 



需要がなければ、手入れがされず、


手入れされなければ日が入らず風通しも悪くなり、


風や雪の重みで折れてしまう程貧弱で、


足を踏み入れることさえも困難な荒廃林が増えるだけ。


戦後の拡大増林で人が作り出し、


グローバリズムの流れの中で、人が見捨てた森。




そこにもう一度価値を、出口を見つけ出せるのは


きっとそう、「人」だけ。









そうしてナガラゲルを超える、大型テントの設営が始まります。


写真で見ると皆同じように見えますが、


実際は長さ、太さ、強度やしなり具合もそれぞれ違います。


持って生まれたもの、そして育つ環境が違えばごく当たり前のこと。


        


それは人だって同じ。


社会と言う森の中で、合理性や簡易性を求めてその違いを否定すれば


ナガラが鉄パイプに変わって森が荒廃していったように、


どこかで確実にしわ寄せが生じる。


  


違いと向き合い、理解し、何よりもそれを楽しむこと。



そこに立ち戻る大切さを、僕らは木に、森に、自然に学び


自分たちの生活に、姿勢に、そしてこの大型テントに落とし込んでいく・・・









一方こちらは折りたたみ椅子用の材。


ナガラには太すぎて、角材や板材をとるには若干細い・・・


という正直用途が見つけづらい材。



アウトドアウエディングにおけるパイプ椅子の「破壊力」。


アウトドアウエディングに深く関わる方がそう表現していてかなりしっくり来ましたが


僕らもそれを常に感じていて、ようやく今回wood‐C‐fullsunと共同開発という形で


サンブ杉の折りたたみ椅子を製作することになりました。



この太さの材を使い、最小限の加工で、最大限のパフォーマンスを引き出す為、


fullsunと辿りついたのは多分今まで誰も考えたことの無かった、完全オリジナルなデザイン。


・・・と言うことは今まで誰も体験したことの無い問題がそこには山積しているということ汗



実際開発から、量産の段階(今回作ったのは50脚!)にいたるまで


一つ前に進むごとに無数の問題、不具合に直面しました。


   


イメージと現実、見た目と実用性、材料、道具、技術、時間その他もろもろの限界。


色んな要素が色んな角度から絡み合い、せめぎあい、


その狭間にうっすらと浮かぶ光を頼りに、時に妥協案を苦い想いで受け入れながら


一つ一つ前に進んでいく、これも又気が遠くなる作業。



でもなんと言っても今回大きかったのはfullsunの存在。


木を熟知し、木工機械を自在に操る彼がいなかったら


この短期間でここまでたどり着くことは間違いなく不可能でした。









そして量産へと・・・

   


一体どれだけの工程があったかわかりませんが全ての工程が×50です。


   


ただただひたすらな日々が続きました。


そして結婚式の前日、と言ってもぎりぎり日付が変わる一時間前に全50脚が完成(苦笑)




作ると言う行為はきっと、素材と、道具と、


そして自分の体と心と向き合うこと。




そうして築いた関係性が、


形に、風景に、空間に、そして細部に現れる。




さぁ、いよいよ!





kio