帰りの車で、
「唯を悲しい気持ちにさせてばかりでごめんね」
と凌亮が言った。

もうその頃にはだいぶ気持ちも落ち着いていたけれど、そう言われるとやっぱり涙が滲む。

それとは裏腹に、自分の気持ちを辿々しくも言葉にできて良かったと思った。

言葉で伝えるって、それは愛があるからこそだと思う。

そこに愛がなければ、話し合う必要などないのだから。

凌亮も私に苛立つようなこともなく落ち着いて話してくれたけど、どうして凌亮がここまで想ってくれるのかわからなかった。

私はもう一つ言っておきたいことがあった。

「私が「⚪︎⚪︎したい」って言うと「いいね」って凌亮は言ってくれるけど、それから全然話題に出なかったりすると、ああ言ってはくれたけど興味なかったんだなと思って二度と話題にしないことがいくつかあったの。
 だから凌亮の言葉が信じられなくなることがある。」

デートの終わり間際だというのに、私のその言葉に凌亮はこの日一番ぐらいの衝撃を受けたようだった。

でも凌亮は私がやりたいことにその話が出るまで興味がなかったとしても、それを私と体験したいと思うからそう返事しているのだと。

私と何をしたいのかというよりも、私と体験すること。私が笑顔でいてくれること。それが凌亮の嬉しいことなんだと話してくれた。

「でも俺の言葉が信じられないって…ショックだなぁ」

「ごめん。言い方が悪かったかも」

今年はもっと素直な気持ちを伝え合おうと言ってこの日のデートは終わった。

言い忘れたけど、
「今年もよろしく」
やっとそんな気持ちになれた。

それにしても、私はなんて些細なことで心が揺らいでいるのだろうと凌亮と話していると改めて思う。

凌亮は私の作り上げた狭い土俵なんかには立っていない気がした。

一人相撲取っている私はきっと哀れで滑稽だろう。

ちゃんと凌亮と向き合っていきたいし、変に取り繕ってない素の私を見てもらいたいと思った。



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