なぜか職場に迷いこんできたアリ。
なぜか職場に迷いこんできた瀕死のダンゴムシ。
同じ入れ物に入ったらどうなるだろう。
ちょうど「何かに使えるかも」と捨てずにとっておいた透明プラスチックのケースに2匹を入れました。
駄菓子屋さんにありそうなやつです。
蓋はありません。
ダンゴムシは虫じゃなくて、エビとかカニの仲間だそうです。
自分の体よりも大きいエビカニですからアリにとってご馳走のはず。
実際、死んだダンゴムシを巣へ運ぼうとするアリの姿はそこらへんでよく見ます。
(ある程度その場で食べて、軽くしてから運んでいるんじゃないかと予想。)
そんなご馳走があるのに全く見向きもせず、ひたすら壁を上ろうとするアリ。
でもツルツルしていて踏ん張れず、全然上れる気配がありません。
透明ケースでは変な景色で落ち着かないかもと、ケースごと段ボールに入れてみました。
それでも変わらずアリは外を目指します。
途中動かなくなったので「疲れたのかな」「寝てるのかな」なんて見ながら仕事をしておりました。(一応この間も我々は働いてます
最初は虫が嫌いだと言っていた人も、「葉っぱを入れてみたらどうですか?」なんて草をむしってきました。
乾燥しすぎも良くないかもしれないと、スポンジに水を含ませてみたり。
「ダンゴムシを食べないなら何か他に良いものはないですかね」
「砂糖なら喜ぶだろうけどできれば自然のものをあげたいですよね」
「あ、花の蜜は?ツツジとか‼」
…なんて具合に、ヒトたちはアリとの生活にすっかり前向きで、明日もアリが健やかでいることを願いながら仕事を終え、職場を後にしました。
翌朝。
私たちを待っていたのは、死んだダンゴムシと、葉っぱとスポンジ。
あれからアリは自力で出ていったようです。
狭い空間だけど、食べ物があって、雨風しのげて、天敵のいない安全な場所。
それでもアリは、人工的なツルツルの壁を諦めずによじ登り、自由を勝ち取ったのでした。
プラスチックのケースの中身をちょっと寂しく片付けながら辺りを見回すと、同じようなアリがノコノコ歩いています。
「仲間に昨日のことを話したかい?」
きっと今ごろ仲間の中でヒーローになっているんだろうな、なんて思いを馳せ、自由の素晴らしさを噛み締めるのでした。
私も自由を求めるひとりの人間です。
しかし自由には責任が伴う。
自分の食べるものは自分で得なければなりません。
不自由だけど安全なプラスチックケースの中か、自由だけど危険な広い外界か。
まだ私の答えは出ていません。
