この世界の誰一人、見たことがないものがある。それは優しくて、とても甘い。多分、見ることができたなら、誰もがそれを欲しがるはずだ。だからこそ、誰もそれを見たことがない。そう簡単には手に入れられないように、世界はそれを隠したのだ。だけどいつかは、誰かが見つける。手に入れるべきたった一人が、ちゃんとそれを見つけられる。そういうふうにできている。
中二病は恥ずかしい、と誰もが言う、もう二度と思い出したくない、消してしまいたいと、でも、あの時の、どうかしていた自分は本当にいなくなってしまうのだろうか、自分は、誰かに監視されていると妄想し、自分のキャラを設定して、なりきっていた、あの時の自分は、人は時に妄言を吐き、突然変わる世界を夢想し、遠い未来を想像し、存在しない大恋愛を頭の中に描く、それは、産まれてから死ぬまで、人の中で永遠と繰り返される、果てしなく繰り返される、悲しくて恥ずかしくて、愛おしい、自意識過剰という名の病、自分という名の避けては通れぬ営み、そう、人は一生中二病なのだ
