薔薇はシュラバで生まれる 【70年代少女漫画アシスタント奮闘記】笹生那実
Twitterで知って、試し読みも読んでこれはもうすぐ読みたいぞ!
と興奮して取り寄せた一冊。
なんて濃厚な甘美なシュラバでしょう。
シュラバといえば私は大島弓子さんのマンガに出てくるシュラバを連想するのですが、
大島弓子さんのアシスタントに萩尾望都さんがきて、うちのシュラバより楽で休みにくるようなものなの、と言うシーンが印象に残っています。
これはアシスタントさんから見たシュラバと先生の姿で、『まんが道』の女性版か?
まだ中学生だった(でももう投稿作品が受賞して編集者に美内先生のカンヅメ旅館に連れてきてもらっている)笹生さんと美内先生の出会いは、
『まんが道』の満賀君と手塚先生の出会いを彷彿させます。
緊張のあまり美内先生の仕事を背後から凝視する笹生さんとじつは弱冠二十歳だった美内先生。
手塚先生と満賀君もじつは5歳差、笹生さんと美内先生の年齢差も5歳ですが、最初の出会いからずっと仰ぎ見る存在というところが似通っています。
他にも同年代だったくらもちふさこ先生、三原順先生、樹村みのり先生、山岸凉子先生との印象的なエピソードの数々が。
しかしいちばん長いお付き合いの美内先生のエピソードがいちばん多く、
私も別マも、花とゆめとLaLaは創刊から読んでいたので、わかるわこれ!のつるべ落としでした。ああ。
マンガ家の先生方はその作品のキャラクターや線で描かれて、それが自然に見えてしまう。
山岸凉子先生のエピソードが自分はいちばん刺さったのですが、それと同じくらい笹生さんの深い共感性というか感受性、表現力にも瞠目でした。
この細い線、真正面を向いてはっきり話す山岸先生は、なぜか「緘黙の底」の養護の先生に似て見えるのですが、それは考えすぎでしょうか。
イースト・プレス社(ここの出版なら絶対おもしろいはず!というのもありました)から2020年2月16日発行。