こんにちはー。

きのう参加した「大人のためのお話会」の記事です。今年はお話が11と多かったのですが、

いろんな声の人がいてそこがいいなとあらためて思いました。きれいな声や正しい発声も大切でしょうが、それよりもっと心に響くのは声の個性だと思います。が、ふつうの人はお話をひとつきちんと覚えて自分の話のようの声を乗せるのがまずできないです。

まず覚える、その静かな熱意を思うとやはり感動です。

「ヴァレンカのちいさな家」は語り手の声と物語の世界がよく合って、説得力がありました。この人の声が物語の森を作っているんだと思いました。戦と人を守り神さまを信じる心。

大人のためのお話にふさわしいリアルワールドでもありました。



「行けざんざんの梨」と「ねずみの見合い」は津軽弁が魅力です。私は青森に6年いたせいもあるのか、この語り口にやられてしまいました。

最近太宰治についてあれこれ読んでいるところで、太宰の郷里金木で「〜おん」という発音に太宰夫人は耳を澄ますのですが、

つぉん、まいね(ダメだ)、その独特の響きが物語をより深く味わせてくれるのです。

盛岡の方言で語られる「そばがらじさまとまめじさま」も強欲へのしっぺ返しが待つ物語ですが、何より方言の迸るような響きがいい。

子どもの頃は「物語」を聴きたがっていたものですが、いまの自分は「物語」の向こうにある生きた人の声を聴きたいのだと思います。




冒頭の「注文の多い料理店」序文は劇団黒猫舎でもいつもお芝居の始まりに全員で斉唱するように朗読するのですが、

ああ、お話と演劇はここで違うのかとハッと気づかされました。
どの語り手もこの日のために多くの時間をかけてお話を磨いてきたことを、ありがたく思います。


そんなことはもうないことを願っていますが、もし悲しいことがあって、本も灯りもない夜があったとしても、

ひとつだけ語れるお話があったら「ヴァレンカのちいさな家」のように誰かをホッとさせられるのではないか、そんなこども考えます。


惚けた味の話「三つの金曜日」はユーモアのあるお話ですが、ちいさな人にはズルイと思われるかも。こういうお話を笑えるのも大人の感覚だなあと思います。



会場はもりおか町家物語館浜藤ホール。
自分はここでよく朗読劇やブックリーディングを見ていたので、余計、朗読劇とお話の違いを感じたのかも。



今まではアイーナ の会議室が多かったのですが、私はこのホールでのお話会はすごくいい雰囲気だなあと思いました。「大人のためのお話会」にぴったりだなあと。


千葉幸子さんによる素晴らしいキルト作品。



このキルトも花のモチーフだったのですが、今年は生花の美しさが際立つようでした。




こういうしつらえの美しさや手仕事への憧れもお話の世界に通じている気がします。

うれし野のみなさま、また一緒にお話の時を過ごしたみなさま、おかげさまでした。また来年ご一緒できたらうれしいです。