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池田学展(日本橋高島屋)の物販ではこの本を買いました。



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カバー表は《誕生》の部分画のポスターになっていて、裏面は本書のエッセイと呼応する番号が振ってあるきめ細かさよ。図録に相当する画集はあらかじめ買って予習していたのでこちらにしたのですが、

この本が《誕生》の作者による解説という以上のものがあり、ほんとうに買ってよかった、池田展を見に来てよかった、と思う。

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《誕生》は池田学展の最後にあって、撮影OKでした。ディティールが楽しくて、全体とともにディティールも多く撮ったのですが、



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池田さんが《誕生》を描いていたマディソン郡でも、「あまちゃん」放映時の2013年、現地に暮らす日本人に「あまちゃん」は人気で、三陸鉄道の苦難を思って、三陸鉄道を描いたのだそうです。


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この絵を見ていた時は気づかなかったけれど、撮った画像の中に三陸鉄道がありました。

東日本大震災がきっかけではあったけれど、それがこの絵のすべてではないという言葉と、会場にあった水彩画の「奇跡の一本松」(タイトルはなかったのですが、この本の中に冬に被災地を訪れたことが書かれていたので確信したわけです)。

また、絵からは伺いしれないもうひとつの「誕生」についても書かれており、それが衝撃的でした。

絵が完成に近づきつつあった2016年1月、池田さんは事故に遭い、利き手の右手がまったく使えなくなってしまいます。スキー中の怪我でした。
展覧会のスケジュールはすでに決まっています。池田さんは左手で残りの部分を描くことを決意し、いままで変えようと思っても変えられなかったことも、まるで赤子のような頼りなさの左手によって、変えざるを得ず、震災からの復興と絵の途中で右手が使えなくなり左手で描き出すことに重なるものを感じます。

そこのところの心の揺さぶられるような体験は、読んでいるこちらも激しく揺さぶられました。

私は左利きですが、子どもの頃に矯正の圧を受けており、始終右で書いたり左で書いたりをしていたので、右で書くときの頼りなさと愚直なまでにじっくり書くしかなかったことを思い出しました。

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部分部分に池田さんが現実で体験したことや考えたことが織り込まれていて、この本によってまた《誕生》は読む人のなかでも誕生する、そういうことも考えました。