私が高2から高3まで連載されていたマンガなので、コミックスが黄ばんでいる…のじゃなくて、
当時はコミックスはそんなに買えなかったので、これは十年くらい前にネットで買ったものです。
高校時代はほかにも少年ジャンプや少年チャンピオンなど、買わなきゃいけないマンガが多く、
「花とゆめ」は「スケバン刑事」の連載が中断しているあいだは買わなかったりしたので、
まとめて読みたかったんでした。
連載中でも、中1の1学期の都と中2の2学期の都の体型の違いにはおどろかされていました。
水泳をやっているひと特有の体型と成長期に伸びた身長。
めきめきと頭角をあらわした都にスイミングスクールからスカウトの手が伸びたのでしたが、
テストをしてほしい、条件をだしてほしいと言った都に告げられたのは、
ベストタイムをはるかに超える59秒台、強豪の中での6位以内。
酒井美羽さんのマンガはこの「セーラーブルー」の前は等身大の女子高生が出てくる、
青春マンガでした。
ほかのマンガとちがって、ほんとうに等身大の女の子がそこにいる感じで、心の揺れをこんなに
うまく描くひとがいるだろうかという感じだった。ドラマティックな人生を生きている主人公が多い連載陣の中で、
(おなじ女子高生でも演劇に賭ける青春の北島マヤとか、女子高生ながらバイクをぶっ飛ばし、桜の代紋つきのヨーヨーを所持し、
日本の闇を掌握した巨悪と互角に戦う麻宮サキとはまるっきり違っていた。
まるでマヤちゃんが一人芝居「通り雨」で演じたふつうの女子高生、よりもさらにふつうの
女子高生なのだった)
その等身大ぶりがかえって清々しかった。
それが一転して水泳マンガですよ。しかも主人公は中1からスタート。最初はこのマンガに
入っていけるのかなと思っていたくらいですが、
スポーツを描いても酒井美羽のモノローグは独特だった。
およいでいるときの孤独感や音のしない、光線のゆらめく世界をこんなに感じさせる
描写もない。単純にタイムを競うだけのマンガじゃないんです。
予選で気持ちの凝りがほぐれたのか、3位という好成績を収めた都に、
スイミングスクール大手のコーチとして、どこかに生徒をみくびる気持ちがあったことを
謝るコーチ。
そして都は名古屋へ。
この最後の試合(マンガの中での)のあと、名古屋へひとり移り、スイミングクラブで
鍛えられていく都ですが、
全6巻を通して、ふだんは優しい都の闘争心に火が点く瞬間がすきだったなあと思い出しました。
ではでは♪