三人吉三、みてきました~。
コクーン歌舞伎として、2014年に舞台で演じられたものを、映像として楽しめるように編集し、あらたな演出を加えてもいるそうです。
三人の悪党が吉三という名前が偶然同じだったところから義兄弟になって、
舞台でカッコいい見得を切る、その場面だけはテレビでなんどか見たことがあるような気がするけれど、
どんな物語なのか、よくわかっていなかった(笑)。
笹野高史の演じた土左衛門伝吉が花道を走る前に片方の腿を高くあげて、
キメ台詞をいうところがカッコよかった。
伝吉にはおとせという娘がいるが、この娘にはじつは二卵性双生児の兄(なのか弟なのか)がいて、
どういう運命なのか、金百両を落とした、拾った奪われた、という縁から互いを相知り、
きょうだいだとは知らずに畜生道に落ちてしまう。
伝吉、わかってるなら止めろよ!と思ったんですが、伝吉は自分が犯した数々の罪の報いを
いま受けているのだ、と、物凄い顔になって罪を独白する。そこがまたよかった。
伝吉もかつては悪の世界にいた男で、その息子こそ和尚吉三なんだが、伝吉もそれは知らない。
ただ息子が堅気の仕事ではないことはわかっている。
100両の金をめぐってお坊吉三と戦う場面では、コントラストの強い照明にそれまで首にかけていた長い数珠をちぎってもとの悪に戻った伝吉から目が離せない。伝吉はお坊吉三にやられて果てる。
それとは知らず畜生道におちたおとせと十三(伝吉の子で、双子のきょうだい)の
生首をもってたつ和尚吉三も絵だと思った。
中村勘九郎、中村七之助、尾上松也の三人吉三がそろって大雪の中で戦う
本郷火の見櫓の場は圧巻だった。
最後の最後に雪がどぅっ!と落ちて、すべてが雪にうずもれてしまう。
ほんとうにどの場面も絵として計算されている感じだった。
しかし、なぜか主役の三人よりも笹野さんをはじめとして、シニア俳優さんの演技や存在感に目がいってしまう私だった。