第二土曜日恒例のNOTE読書部~♪
本日貸切の貼り紙をみつつ、「二階へどうぞ」の階段をあがって、こんばんは。
きょうはタラの芽の天ぷらを差し入れるね~と直子嬢から聞いていたとおり、
タラの芽の天ぷらが目に入って、しばらく無言でたべる私(笑)。
18時~でしたが、例によって遅れて到着…ダメじゃん。
トップバッターは「サンリオSF文庫総解説」。
SFはあまり読まないのですが、サンリオSF文庫の話がすごくおもしろくて、
書誌的な興味で食いついてしまうのでした。
サンリオSF文庫のカバーをあつめたページがすばらしい!
トマス・ピンチョンやディックの版権を全部もっていて、ディックは早川に
売ったものの、トマス・ピンチョンは手放さないため、ほかからは出せないことや、
サンリオの社長がSFのことはわからないとしつつも、腕利きの編集者を
スカウトしてきて、彼のエッヂの効いたセンスがほかにない、SFとだけ限定できないような
セレクションになったなどなど。
ナボコフの「ロリータ」も入っていたと聞いて驚くです。誤訳が多いという話もある、
大久保康夫訳以外の「ロリータ」、読んだことがないんですが…。
満を持して?スティーブン・キングの「ファイト・クラブ」復刊!
書店に行ったら、おばさんがケータイで誰かと話していて、この本のタイトルをうろ覚えで口にしていて、
それはキングの「ファイト・クラブ」、と思いながらおばさん、誰と話しているんだ、ということが
気になったらしい。
キングの長編が特にすきな私ですが、なんと!キングがすきなひとがほぼいない上に、
この本の紹介でさえ、短篇はいいんですよ、と…ひぃ。
誰かが、アメリカの横溝正史と言って納得です。横溝もすきだしなあ。ドロドロしていてミステリとしてはどうよ、なのかもしれませんが、読ませるじゃないですか。ストーリーテラーというか。
短篇のなかで紹介されたものが不気味でよかった…。ある男が食べるものものもなく、生き延びるために違法薬物をキメつつ、己の手足を食べていく、という。日記形式で最後には自分の手を切って手を食べるわけですが、その時の主人公の独白もグロテスクな笑いがあって…。
キング、すきなので読むと思います。ほとんど図書館から借りてよんできたんですけどね。
アメリカの田舎の少年時代を描いた作品に共感するところがあって、という言葉もわかるわかる~だった。
そして本には直接関係のないことでも盛り上がるわけですが、
「スター・ウォーズ」の話が出て、しかし私はいっこも見ていないんですが(笑)。
いまだって、ファンの人には悪いが、
あれ?「スペース・ウォーズ」だっけ?と検索して「スター・ウォーズ」であることを確認…。
「スペース・ウォーズ」…それはウェルズ(映画になっているかどうかも知らない)。
そこから金曜ロードショーでやっていたと言われても、テレビのチャンネルは親が握っていて
見られなかったし」と発言したら、
「じつは引っ越しをしたら、当たり前のように見ていたチャンネルがなかったりした」
「岩手にめんこいテレビが入ったのは大きかったよね」
と、このとおりではないのですが、テレビについての話が盛り上がり、いやー、正直に言ってみるもんですねえ。スター・ウォーズ見たことないもん、ってしかし恥ずかしいことなのか、変わっているのか、ふつうなのか、ちょっと判断がつかないですよ。「プレイガール」は見ていましたけどね。
ごちそうの数々~。
タラの芽は私はアクがつよく感じられる春の山菜がすきなので、
おいしくいただきました~。塩がいいですね、天ぷらは。
レバーペーストをぬったくって、胡桃入りパン・ド・セーグルのスライスをたべる。
パンの差し入れを持ってきたのはよかったですが、
思ったより解凍されていなくて、カット作業が大変だったと思われ。
反省。前日から冷凍室から出しておかないとだめですなあ。
そして本の話だけじゃない、の、なかに、
最年少部員、もみじちゃんが書いて部長に託したミヒャエル・エンデの「モモ」の感想文
(といっても小論文のようだった)5枚と、部長がそれに対して、手書きで書いてくれた感想文に
パソコンじゃあ、と手書きで書いた感想文もありました。
部活ではもみじちゃんの感想文をみんなで回し読みして、中学生にしてこれだけの
構成力や表現力のあるもみじちゃんに感嘆しつつ、「モモ」はみんな読んでいたので、
当時どういうことを考えたか、など話がはずみ、
しかしやっぱり、もみじちゃん、凄すぎる、に落着。学校に提出して、先生の手の入ったものかもしれないけれど、それだってこんな表現はできないよ、と。
部長が久しぶりに「モモ」を再読して、導入部にあった、古代に栄えた(おそらく古代ローマをモデルにしたと思われる描写)都市の人々の暮らしと、その都市がほろんだ後にモモたちが暮らしているいまの街がある、というところをすっかり忘れていたけれど、この導入がまずよかった、と。
私もその部分はまるっきり忘れていて、読んだのは就職したころだったと思うんですが、または就職試験まっさいちゅうくらい。やっぱり時間銀行の考え方をそう悪いものとは思っていなかったのですが、自分が社会に出て働き、ブラック企業のようなところでも働いたりするうちに、時間を貯金しておくことより、いま目の前にあることを存分に味わうことのほうが時間を大切にすることだよな、と考えるように。
「モモ」は30歳くらいのときに矢川澄子をダーッと読むついでに読み返したのですが(訳者はちがうひとですが、矢川澄子もエンデの翻訳者のひとりですから)、そこから20年読み返していない…。なのに思い出せるというのは、やはりこの本が傑作だからだと思います。もみじちゃんと部長の感想文をよんで、私も読み返そうと思っております。
横書きは部長の手書き。もみじちゃんの400字詰め原稿用紙をみて、いまではぜったいあの升目に文字を埋める作業はできないなあと思った私です。
そして前回、もみじちゃんのお母さんが紹介した、忌野清志郎の「十年ゴム消し」を
借りたのでその感想文と感想も。えーと、若き日のキヨシローがふたりの女性の間をうろうろする、
三角関係があるわけですが、
そこから、
男は別れた女にしあわせにやっていてほしい、と思うけど、
女は絶対不幸になるがいいよ!と思うものらしい、という話になり、
個人によるんじゃないかなあ、という意見もあり、
そして別れた場合、女性は相手の女を憎むけど、ほんとうなら別れた男性に
向かう感情のはずだよね、という話もあり。
それで思い出すのは「ギリシャ悲劇」で王女メディアがイアーソンに裏切られ、
怒り狂って、相手の女を殺す、のはわかるが、自分と夫の子どもたちも殺す、んですよね。
それってどういうこと?と読んだ当時は思ったけど、
たぶん、
生物学的に損をしない方法、
という本能に突き動かされているのではないか、と。
生物学的に強い丈夫な生命力のある男の子どもを産み、殖やすことが
女の本能だとして、相手の女はその邪魔なのでもちろん殺し、
わが子をなぜ殺すかといえば、裏切りに対する報復であって、
男を殺してしまえばもう番うことができないから…
というのが私の考えですがどうなんでしょう。
私は女でも男でも、誰かにそこまで入れ揚げる気持ちがまったくわからないんですが…。
直子嬢のブック・レビューは「思い出は満たされないまま」
作者の乾 緑郎さんは「このミス」大賞受賞の作家で、
直子さんがこの本を取り上げた理由は、
あれ?
学生時代文芸部で小説を書いていたひとの文体に似てるんですけど?という
不思議な感覚に襲われたからで、
そんな体験はない?という問いかけでした。
私はないなあ(笑)。
しかし、ある作家の本を読んでいて、ちがう作家の文章や嗜好に似ている、と思うことが
あった、という発言があって、
同時代性というものなのか、ふたりの作家がおなじ作家を読んでいて、影響を受けたものがおなじ、
ということなのか、という話に。
そして副部長がもってきたのは「山口晃展 前に下がる 下を仰ぐ」図録。
山口晃について知らないひとばかりでしたが、レビューによってみんな山口晃の絵をみたい
気持ちに…。
私はもちろん、山口晃展を見に行っているのですが、ひとによってフォーカスするところは
ちがうなあ、というのと、やっぱりそこだよね!というのがあって興味深かった。
副部長が断然いいと思ったのは「ショッピング・モール」と「九相図」。
私は「無残の介」と「電柱のインスタレーション」ですねー。
筆と文字でつづられた、食日記や紙Twitter、日々のてならし、はふたりとも断然いい!で一致。
図録を回している間に、自分でも美術をやっていたので、東京藝術大学の卒展を何年か見に行っていたという部員から貴重な感想が。
それは卒展で、四年生の卒業制作はおもしろい、修士の卒業制作はどうしちゃったの?というくらいおもしろくなくて、博士課程のものは自由で楽しい、というもの。だから山口晃さんも博士終了なのかなと思った、と。
大学を出た後助手をやっていた時代もあったと思うので院にも進んでいるはずだと思ってはいたのですが、修士課程卒でした。しかしその四年生と博士課程の卒業制作はおもしろいが、修士の制作がつまらないものになっている、というのがわかるような気がします。何年か通ったそうですが、毎年その傾向だったそうです。
私は「王様の背中」と「谷中安規展図録」の紹介をしたのでしたが、副部長から「月映展」に興味があって行きたいんですよ、という話が!(創作版画つながりの話です)
そしてその「月映」の図録がすばらしいそうなんです、と。おお、「谷中安規展」図録とおなじ、コギト社制作ですよ!そして「月映」いずれ、東京ステーションギャラリーにやってきますよ~とお伝えできて満足である。
電信柱のインスタレーションが「特撮博物館」を見た私にはすごくおもしろくて、と話したら、
なんと!8人の部員の中に私もいれて3人、「特撮博物館」を見に行っていたひとがいることが判明…。どんなリンク率だよ!「美少女の美術史」もかぶっているひとが3人いて、いや美術愛好会ではないんですが、
読書好きが見たいと思う美術展というのがあるのではないかと。
山口晃展は東北ではまだ開催されたことがないと思うので、
(山口晃さんの作品が秋田近代で展示されたり、講演があったり、というのは秋田の友達が言っていたのでそれは知っている~。でも山口晃だけ展はないので)
東北に来てくれないかなあと思って。
どこの美術館に、という話で青森県美術館がいいんじゃないか、ということになり。
「特撮博物館」も名古屋市科学館に巡回展が行ったけど、私は青森県美に来るはず!とずっと思ってたんだよなあ。成田亨さんの原画もめずらしい油彩も、みんな青森にあるんですもん。あと、美術館自体が特撮のロケ地にいいんじゃね?というロケーションなので…。
いろんな話が出て、笑ったり、呑んだり食べたり、今回も楽しい時間でした。
つぎはまた来月だ!