おおっと。
うっかり先に、あしたの予告をしてしまった。
計画的に見えて、行き当たりばったりの菅原は、
あわてて、第五回に着手するのであった。
選手の70%が、中学生という異様な展開にたじろぐ菅原だったが、
菅原の隣の席に着いた、みるからに負けん気の強そうな中学生の言葉に、
ずっこけた。
かなーり、久しぶりにずっこけるという言葉を思い出したくらいだった。
「俺、昨日から飯くってないぜ!!」
マンガだったら、彼のバックに炎をムラムラさせてやりたくらいの、やる気にあふれた言動であった。
また、菅原の斜め前に座った、常連らしい主婦は、菅原に、
「スイカの皮は残していいのよ」、と、余裕たっぷりにアドバイスしたのだった。
…そう。激辛ラーメンは、冷麺だったのである。
宮古らしいトッピングとして、烏賊が一杯乗せられている。
菅原は、箸をとった。
50秒後。
菅原だけが、箸を置いた。
件の中学生は、烏賊をくわえたまま、目を丸く見開いていた。
こうして、菅原はローカル大会とはいえ、久々に賞を勝ち得て、ささやかながら自信を回復したようだった。
ちなみに、副賞は、缶ビール2ダース、であった。
ローカル大会に出場して、あらためて、大食い王のレベルの高さを思う菅原であった。
はるかなる、雲の峰の、またその向こうに。
きっと、私の目指すものがある。
珊瑚色と水色の織りなす、春の夕空に、
季節はずれの白鳥が一羽、悠然と飛んでいた。
思いっきり、かっこつけたそのあとでなんだが、
菅原は、46号線の道端で、「無人販売」のトマトときゅうりを買った。
ビールのつまみである。
地道なダイエットは、まだ続いていたんである。
60㎏を切るまでは。
60㎏を切ったら、菅原には訪れたい場所があった。
三月に、三宅さんと語った二つの地の、ひとつである。
そう、その地とは…(つづく)