朝のミーティングで特に有給休暇の話に触れなくっても、橋本の中ではもう”訂正”は済んだ事になってるようで、その後、その話が表立って出る事は無かった。
人生経験が浅い僕でも、普通、こういう人間関係のいざこざがあれば自分のやり方がどこか悪かっただろうか。
そんな反省をするはずなんだけど、橋本からはそんな空気は全く発せられない。
図々しい、と言うか、図太いと言うか。。。
田上さんは
『あの人は人間の心を持ってないのかもしれない。』
と言ってたけど(笑)、そこまでじゃなくても何かしら欠落してるように見える。
鈴木さんが退職してから、営業の他に修理にも頻繁に行かなければならなくなった。
勿論、それを避け続けて来た橋本も例外ではない。
修理の場合、一人でもいいけれど、2人一組で行くパターンが多い。
橋本は田上さんじゃなくて、僕と行きたがる。
僕は、もともと機械いじりが好きだから、修理のコツも早く掴んだ。
僕なんかより、全然ずっと前に入社してる橋本より上手く修理出来る自信もある。
橋本、、、責任者なのに(笑)
けど、
橋本:黒岩君、今度の修理一緒に行くから。
と言われたら断れる立場にはいない。嫌だけど同行しなければ。
そしてもっと嫌なのは、修理現場に行くと、橋本は最初の数分だけ腕組みをして現場にいるけど、気が付くと車に戻って出てこなくなる。別段、営業のお客さんと電話をしてる風でも無い。
そして、修理が終わるころにノコノコやって来て、僕がお客さんに説明してる間、やっぱり腕組みをしてフムフム。と現場責任者のような顔で横に立つ。
何だコイツ。
僕がお客さんに自分の名刺を差し出しても、橋本は自分の名刺を出そうともしない。
名刺には役職が書いてある。
これって、相手に役職を知られるのを避けてるんだろうなあ。と薄っすら理解した。
お客さんにしてみれば、ペーペーの僕より役職付いてる橋本に色々と質問したいだろう。
けれど、答えられないから隠そうとしてるのだ。
どう隠そうと、明らかに年齢差があるんだから橋本の方が”先輩”なのは見て分かるはずなのに、自分に矛を向けさせない為にやってるんだな。
本当に卑怯なヤツだ。
どんな話の流れでそのセリフが出たのか覚えてないけど、
橋本:黒岩君がオレの事嫌いにさえならなければ、別にオレとはうまくやって行くと思う。
と言われた事がある。これも、まるで橋本と僕がぶつかったら、それは橋本の事を嫌いになる僕に原因がある。みたいな伏線を張られた訳だ。
修理一つとっても、こんな卑怯な事をするヤツを信頼したり好意的に思えるはずが無い。
きっと橋本はこんな風に人に嫌われる事が続いてるせいで、嫌われる前提で防波堤を張ってるんだ。
橋本を嫌になればなるほど、そんな輪郭がくっきりと浮かび上がって来た。