【独偏ベストテン 42-1】 中山美穂のシングル作品 (6~10位) | 歌謡曲(J-POP)のススメ

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音楽といっても数々あれど、歌謡曲ほど誰もが楽しめるジャンルは恐らく他にありません。このブログでは主に、歌謡曲最盛期と言われる70~80年代の作品紹介を通じて、その楽しさ・素晴らしさを少しでも伝えられればと思っています。リアルタイムで知らない若い世代の方もぜひ!

 今回は久しぶりに独偏ベストテンいってみたいと思いま~す。取り上げるのは中山美穂です。最近、何やらマスコミで取り沙汰されている彼女ですが、歌手デビューした1985年にはまだ15歳だったんですよねぇ・・・(遠い目)。で、独偏ベストテンで取り上げる1985年組女性アイドルとしては、南野陽子松本典子に続いて3人目ってことになりますか。必ずしもメジャーなメンツから順に取り上げないところが、いかにも 変態 変わりモンの私らしい感じがしませんか・・・って、そんなこたどうでもいいか。今後、85年組女性アイドルとして、少なくとも斉藤由貴浅香唯本田美奈子芳本美代子森川美穂…あたりは俎上にあげる予定なので、そちらの方もお楽しみに~


 中山美穂と言えばやはり、『毎度おさわがせします』で見せた“眼力(めぢから)120%”のツッパリ美少女ぶりが、強烈なインパクトでしたよね。出演するドラマはどれもこれもヒットするわ、アッパーなユーロビート系の作品がウケて、歌手としての人気もうなぎのぼりだわで、彼女は間違いなく’80年代中期に我が国に君臨したトップアイドルだったと言ってもいいでしょう。歌手としては、デビュー3年目にリリースした11作目シングル「CATCH ME」でオリコン1位を獲得、頂点に登りつめます。思うに、その頃にはデビュー当初のヤンチャな雰囲気も消えて、もともと彼女の持ち味だったドライでクールな雰囲気に大人の色気がほど良く加わってますます魅力的に輝いていましたよね こんな風にパブリックイメージをうまく変えるのに成功したことも、彼女を息の長いタレントたらしめたポイントだったように思います

 中山美穂がそこいらのアイドルタレントと決定的に違っていたのは、’90年代に入るとほとんどのアイドルが歌を出せなくなったり消え去ったりしたのに、彼女だけはそれまで以上に大ヒットシングルを連発した点でしょうね
。何と、‘80年代に出した30万枚以上のヒットは1作のみだったのに、‘90年代には9作(うちミリオンセラーが2作)も出しているのです。’90年代はドラマのタイアップでシングルCDが売れまくった時代であることを差し引いても、これだけヒット曲を生み出したアイドルは一人もいません

 ・・・さて、中山美穂のプロフィールはこんなところにして、さっそく独偏ベストテンの結果発表に移りましょう
。今回は、彼女がこれまでにリリースしたシングル40作品(12インチ含む)から、うんうん唸りながら10作品をセレクトしてみました。記事の方は、6~10位、1~5位、資料編の3回に分けてお送りする予定で~す。で、今回もまたお気に入り作品がけっこう沢山あって、泣く泣くベストテン圏外にせざるを得なかった曲がかなり出ちゃいました(よって、次点を1曲追加)。

 それでは、今回は次点(11位)から6位まで、一気にどうぞ~。


次点 「C」 【オススメ度★★★】
作詞:松本隆、作曲:筒美京平、編曲:萩田光雄
[1985.6.21発売; オリコン最高位12位; 売り上げ枚数17.0万枚]

 惜しくも次点となったのは、彼女のデビュー曲「C」でした。ドラマを見た松本隆センセが、「この娘の歌を作るならぜひ詞は私に」と手を挙げたというエピソードからも、彼女の“逸材”ぶりが伺い知れますよね

 意味シンなタイトルと歩調を合わせるような歌詞
 ♪ Close your eyes 抱きしめて ピアノのように優しく弾いて
 ♪ 友達と話したの 「誰が最初に オトナへの階段を登るかな」
ってあたりを聴いちゃうと、ついアレやコレやと想像してしまいますが、
 ♪ 「C」から始まる 恋のバラード
という歌詞から、実は音階の「C」(ツェー)だったんですよ~という仕掛けになってます
。もちろん、松本センセが「C」を意識的に懸詞(かけことば)として使っていることは言うまでもありません。「トパーズの月明かり」、「水晶の波」、「ほうき星」、「ガラスの魚」などのフレーズが散りばめられた天空ワールドが炸裂しているのも、いかにも松本センセの仕事らしいですよね

 曲の方は、稀代のメロディメーカー筒美京平センセの手によるもの。サビが地味で作品としてのまとまりには欠けるのですが、“落ち着きのないとっちらかりぶり”がいかにも当時の中山美穂らしくて、妙に納得
してしまうんですよね・・・。バックでせわしなく響く萩田光雄センセのアレンジも、ほどよく派手で小気味良いので気に入ってます

 私は当時、発売とほぼ同時にシングル盤を購入したんですが、ピンク色のレコードジャケットがなぜか2枚封入されてたのをよく覚えてます。何でも最初に用意したジャケットに落丁があって、急いで新しいのを刷り直してリリースにこぎ着けた・・・というのが事の真相みたいです
。でも、どうせやるなら古い方はちゃんと抜いとかないとねぇ(プレミア付いたらラッキーなんですが)。・・・よほど慌ててたんでしょうか



第10位 幸せになるために 【オススメ度★★★】

作詞:岩里祐穂、中山美穂、作曲:日向敏文、編曲:日向敏文
[1993.4.21発売; オリコン最高位4位; 売り上げ枚数41.4万枚]

 ベストテンの第10位に入ったのは、NHKの朝ドラ「ええにょぼ」の主題歌として大ヒットした26作目のシングル「幸せになるために」でした。好事家のお前にしちゃ随分とオーソドックスなセレクトじゃないか・・・ と感じた読者の方も多そうですが、やっぱりいいものはイイのです

 イントロのアコースティックギターの柔らかな響き
なんかは、いかにも、松たか子Le Coupleの楽曲を手掛けたことで知られる日向敏文センセらしい仕事ぶり。でも、それにも増して素晴らしいのが、“温かみ”がナチュラルに伝わってくる中山美穂の歌唱です。8年前のデビュー当時から彼女を知っている身からすると、「彼女は本当にいい歳の取り方をしたもんだよなぁ・・・」「歌唱力もまた一段と上がったよなぁ・・・」としみじみ感じてしまうんですよね~



第9位 色・ホワイトブレンド 【オススメ度★★★】

作詞:竹内まりや、作曲:竹内まりや、編曲:清水信之
[1986.2.5発売; オリコン最高位5位; 売り上げ枚数22.3万枚]

 第9位にランクインしたのは、’86春の資生堂キャンペーンソングにして、竹内まりや女史の手による4作目シングル「色・ホワイトブレンド」でした~ 自ら出演する資生堂CMでのお嬢さまっぽいイメージがとても印象的でした。このCMと、ドラマの「毎度…」で見せた野性味あふれるキャラクターとのギャップがうまく相乗効果になって、彼女の人気をさらに押し上げたことは間違いのないところではないでしょうか

 「色・ホワイトブレンド」における彼女の歌唱自体は、まだまだデビュー当時の固さを残す未熟な代物なのですが、女性アイドルとしてはちょっと音域が低めのヴォーカルを良く生かした、モータウンっぽいミディアム・ポップスナンバーの名曲
だと思います



第8位 ツイてるね ノッてるね 【オススメ度★★★】

作詞:松本隆、作曲:筒美京平、編曲:大村雅朗、船山基紀
[1986.8.21発売; オリコン最高位3位; 売り上げ枚数19.2万枚]


 独偏ベストテンの第8位は、7作目シングル「ツイてるね ノッてるね」でした。第9位の「色・ホワイトブレンド」と合わせて、すでにお気づきの方もおられると思いますが、実はこの作品は、’86秋の資生堂キャンペーンソング・・・つまり、同じ年の春と秋の資生堂キャンペーンに連続で起用されているんですね。 で、普通ならば、春キャンでのイメチェン成功を受けて、もう一作似たような路線の作品で無難にやり過ごすこともできたと思うんですが、あえてデビュー当時のワイルド路線の発展形のようなチャレンジングな作品を持ってくるところが大胆不敵というか・・・、もうこれはノリに乗っているタレントしかできないワザですよね。果たして、彼女のシングルとしては過去最高のオリコン第3位を記録、売り上げ枚数も5~6作目のシングルから再び回復させて、ミポリン人気はますます盤石なものとなりました


 それにしてもこの曲は、看板(タイトル)に偽りなく、ハデハデ&ノリノリで思わず身体が動いてしまうゴキゲンのファンキーナンバーですよね~
 その分、詞の方はほとんどナンセンス・・・ま、これはノリを重視して、歌詞の方に意味を詰め込むのを意識的にやめたのではないかと好意的に解釈しておきますが・・・

 中山美穂のヴォーカルもメリハリとエッジが利いていて、デビュー時の固さのようなものは感じられません
。音域の関係で高音が苦しい部分もありますが、歌唱力は確実に上がっていますよね男声コーラスの使い方、バラエティに富んだパーカッションなど、アレンジもかなりいろいろと凝っていて楽しい作品に仕上がってます



第7位 あなたになら… 【オススメ度★★★】

作詞:中山美穂、作曲:久石譲、編曲:久石譲
[1993.7.7発売; オリコン最高位8位; 売り上げ枚数28.0万枚]

 第7位にランクインしたのは、映画「水の旅人」の主題歌にもなった27作目のシングル「あなたになら…」でした~ いやぁ、私は映画の方を見てないんですが、タイアップの有無とは無関係に、壮大なスケールを感じさせてくれるこの曲が大のお気に入りなんですよね。もっとも、中山美穂の数あるヒット曲の中で、世間の認知度は意外と低いんじゃないかと踏んでいるのですが


 第10位の「幸せになるために」と同様に、
私はこの頃の中山美穂から優しく包み込んでくれるようなイメージ、ちょうど母親による無償の愛(母性愛)のようなものを感じてました(もしかしてマザコンなのかな・・・やだなぁ。彼女、5つも年下なのに・・・)。自分より年下の女性アイドルに対してこんな風な感情を抱いたのはあとにも先にも彼女だけ・・・中山美穂というのは、私にとってはある意味で非常に特異な存在と言えるかも知れませんね




第6位 JINGI・愛してもらいます 【オススメ度★★★】
作詞:松本隆、作曲:小室哲哉、編曲:大村雅朗
[1986.7.15発売; オリコン最高位4位; 売り上げ枚数13.8万枚]

 
独偏ベストテンの第6位に入ったのは、映画「ビー・バップ・ハイスクール高校与太郎哀歌」の主題歌でもあった6作目シングル「JINGI 愛してもらいます」でした~
わーパチパチパチ。 作曲の小室哲哉は、まだ「T. M. NETWORK」としてもブレイクしておらず、渡辺美里に提供した「My Revolution」の大ヒットでようやく世間的な知名度を上げた直後だったことを考えると、彼の起用は非常に意欲的でチャレンジングだったと言えます。ところがさすがはT.K.だけのことはある“ひと癖あるコード進行”と“ちょっとしつこいくらいのリフレイン”がいかにも彼らしいオリジナリティ溢れる佳曲に仕上がっていて、当時から彼のサウンドのファンだった私は思わずニヤリとしたものです


 大村雅朗センセによるアレンジが、これまた不思議なくらいテクノっぽくて賑やかなのですが、まぁこれはもちろん小室哲哉を意識してのことでしょう
“月面で宙返りした顔のくせに”とか、松本隆センセにしては意外なほどコミカルな歌詞も面白いです。さらに、「仁義」を「JINGI」という表記にして、言葉のイメージをソフトにしたところなんかもワザありですよね。終始アネゴ肌っぽい調子で繰り広げられるストーリーは、まさに当時の中山美穂のイメージそのものといった感じでした。もっとも、1985年の世相を考えると、ちょっとばっかし時代錯誤的な感じは否めませんケドね





 ・・・さて、今回はひとまずここまで
。次回はいよいよ上位5曲を発表しますのでどうぞお楽しみに~。 少しだけ予告しておくと、今回の独偏ベストテンの1~5位は、世間的にはヒットしたあの作品やこの作品が意外と入っていなかったりして、順位を予想するのは至難の業だと思いますので、前もってお知らせしておきますね

 それでは、またお逢いしましょう