【独偏ベストテン 37-3】 村下孝蔵のシングル作品 (資料編) | 歌謡曲(J-POP)のススメ

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音楽といっても数々あれど、歌謡曲ほど誰もが楽しめるジャンルは恐らく他にありません。このブログでは主に、歌謡曲最盛期と言われる70~80年代の作品紹介を通じて、その楽しさ・素晴らしさを少しでも伝えられればと思っています。リアルタイムで知らない若い世代の方もぜひ!

 今回は予告通り、「村下孝蔵のシングル作品 独偏ベストテン」(10/19、10/23の記事)の「資料編」をお送りしますね~


(1)エントリーシングル作品一覧

 例によって、独偏ベストテンを決めるベースに使った候補作品一覧(発売順)を、オリコン最高位&売り上げ枚数と一緒に載せておきますね。独偏ベストテンの上位3曲を太い赤字で、4~10位にランキングされた作品を太い青字でそれぞれ示しました。売り上げ枚数は、千枚未満を四捨五入した数字になっています。もしよろしければ、データベース等としてご利用下さいね

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【村下孝蔵 シングルA面一覧】 【最終更新日:2013年10月26日】
アーティスト/タイトル/作詞/作曲/編曲/発売日/オリコン最高位/オリコン売り上げ枚数
村下孝蔵/月あかり/村下孝蔵/村下孝蔵/水谷公生、町支寛二/1980.5.21/圏外/圏外<独偏7位>
村下孝蔵/春雨/村下孝蔵/村下孝蔵/水谷公生/1981.1.21/58位/4.2万枚 <独偏3位>
村下孝蔵/帰郷/村下孝蔵/村下孝蔵/水谷公生、町支寛二/1981.6.21/圏外/圏外 <独偏8位>
村下孝蔵/ゆうこ/村下孝蔵/村下孝蔵/水谷公生、町支寛二/1982.4.21/23位/15.3万枚 <独偏4位>

村下孝蔵/初恋/村下孝蔵/村下孝蔵/水谷公生、町支寛二/1983.2.25/3位/52.6万枚 <独偏2位>
村下孝蔵/踊り子/村下孝蔵/村下孝蔵/水谷竜緒、町支寛二/1983.8.25/24位/8.6万枚 <独偏6位>
村下孝蔵/少女/村下孝蔵/村下孝蔵/水谷竜緒、町支寛二/1984.4.1/37位/3.9万枚
村下孝蔵/夢のつづき/村下孝蔵/村下孝蔵/水谷竜緒、町支寛二/1984.9.21/50位/1.7万枚
村下孝蔵/かざぐるま/村下孝蔵/村下孝蔵/水谷公生、町支寛二/1986.4.21/79位/0.7万枚
村下孝蔵/ねがい/村下孝蔵/村下孝蔵/水谷公生、町支寛二/1986.11.21/圏外/圏外 <独偏9位>
中林由香、村下孝蔵/哀愁物語 ~哀愁にさようなら~/阿久悠/村下孝蔵/水谷公生/1987.5.21/圏外/圏外
村下孝蔵/陽だまり/村下孝蔵/村下孝蔵/水谷公生/1987.9.21/61位/1.5万枚 <独偏5位>
村下孝蔵/風のたより/村下孝蔵/村下孝蔵/水谷公生/1988.11.21/圏外/圏外
村下孝蔵/ソネット/村下孝蔵/村下孝蔵/水谷公生/1990.6.21/圏外/圏外 <独偏10位>
村下孝蔵/アキナ/村下孝蔵/村下孝蔵/水谷公生/1991.3.21/86位/0.6万枚
村下孝蔵/この国に生まれてよかった/村下孝蔵/村下孝蔵/水谷公生/1991.11.21/圏外/圏外
村下孝蔵/一粒の砂/村下孝蔵/村下孝蔵/竹澤豊/1992.9.21/圏外/圏外
村下孝蔵/ロマンスカー/村下孝蔵/村下孝蔵/水谷公生/1992.11.21/圏外/圏外
村下孝蔵/つれてって/村下孝蔵/村下孝蔵/水谷公生/1994.7.1/圏外/圏外
村下孝蔵/16才/村下孝蔵/村下孝蔵/竹澤豊/1996.6.21/圏外/圏外
村下孝蔵/同窓会/村下孝蔵/村下孝蔵/須藤晃/1998.10.31/圏外/圏外 <独偏1位>
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 上の一覧表を改めて眺めるにつけ、村下孝蔵さんというのは、作品のクオリティの高さに比べてシングル売り上げ枚数があからさまに低い印象がつくづく拭えませんねぇ・・・
。もちろんね、他の非アイドル系のアーティストと同様に、村下さんも「アルバム・アーティスト」として世間から一定の評価を得ていることは私も認識しているのですが、彼の場合は特に“アピール下手というか、せっかく名作群を作ってもそれを世間に広める“如才なさ”のようなものに欠けるというか・・・ネ・・・(ま、そんな風に“小器用じゃない”ところが村下さんの美点でもあるのですが)。

 ところで、私の持論として、「シングル盤というのは歌手の“名刺”みたいなもの
というのがあります。消費者サイドがあるアーティストに興味を抱いたときに“いきなりアルバムを購入する”という行動パターンは、普通は期待できません。これはもちろん“リスクの高い賭け(=値段の高いアルバムを購入して中身がハズレだったら目も当てられない・・・)”だからですね。 そこへいくと、シングル盤というのは、そのアーティスト(の作品)をお手軽な値段で手っ取り早く知ることのできるメディアであり、アルバムと比べて敷居が低い。言葉はあんまり良くないですが、アーティスト側からすると、シングル盤はアルバムを買ってもらうための“呼び水”と言っても差し支えないでしょう

 シングルを買ってもらうことのメリットは、それだけにとどまりません
。意外と無視できない効果として、シングルで大ヒットを飛ばせば、それがそのまま“アーティストの看板”になって、それ以後の活動で“箔付け効果”が期待できる、というのがありますね。トヨタにとってのカローラソニーにとってのWALKMANなど、他の商売でも基本的な構造は同じです

 以上のことを村下さんで考えてみると、結局、世間一般に対するアピールは、ほとんど「初恋」の一枚看板で終わってしまいました(下手すると「一発屋」とか言われちゃうのも、私は悔しくてねぇ
)。アンテナの高い一部の方々が支持したお蔭でアルバムはそれなりに売れましたが、いかんせん、彼は生前に”名刺”を配らなさすぎましたね・・・。私が、「彼の真価はまだまだ世間に十分に伝わっていない」と書く所以です。

 それにしても、村下さんのように、良さを理解してもらうのに時間のかかる地味目のアーティストにとって、昨今の音楽シーンはますます厳しい環境条件になってきました
80年代にあれほど沢山あった音楽番組もほとんど消え去ってしまいましたし・・・ラジオが今よりも勢いのあった‘70~‘80年代であれば、視聴者リクエストがきっかけでじわじわとチャートを駆け上がる・・・といった状況も期待できたのですが、もうそんな時代でもないですしねメジャー展開を狙うアーティストにとっては、世間に自分をアピールするための“頭出し”の努力が以前にも増して重要になってきた時代・・・と言えるかも知れません

 最後は、前回コメント欄で少し話題に出てきたアルバム内の一曲「とまりぎ」のYouTubeでお別れということにしたいと思います
。今回の独偏ベストテンにランクインした作品群と同じく、あたたかくて切ない名作だと思うのでぜひお聴きになってみて下さいね。それでは、またお逢いしましょう~