ヤケに水着の生地が多いような・・・さすが70年代
第5位 やさしさ知らず 【オススメ度★★★★】
作詞:松本隆、作曲:松任谷正隆、編曲:松任谷正隆
[1978.11.25発売; オリコン最高位52位; 売り上げ枚数2.9万枚]
ベスト5の一角に食い込んだのは、19作目シングル「やさしさ知らず」でした~ アグネスのデビューから6年後にリリースされたこの曲はさっぱり売れなかったので、恐らくほとんどの方がご存じないのでは・・・ ところが、当時中1だった私は、特にアグネスの動向を追っていたワケでもないのに、歌番組で彼女がこの曲を歌うのを耳にして、目の前がパッと明るくなるような気がしたんですよね・・・。もちろん、それまで聴いていた歌謡曲の世界も気に入ってはいたんですが、何て言うんだろう、この「やさしさ知らず」は、歌謡曲の新たな可能性(展開)を私に感じさせてくれたってことです。「歌謡曲はこれからもっともっと面白くなるぞ~」という期待感、と言ってもいいかも知れません。
とにかく、松任谷正隆センセによるメロディとアレンジが全編にわたって都会的でシャレています。特に感心するのは、に書き下したあたりの変化に富むメロディ展開ですね。正隆センセと言えば、割と頻繁に外国曲からモチーフを拝借してくるケースが多い(これは後から知ったことですが・・・)ので、この「やさしさ知らず」にももしかすると“元ネタ”があるのかも知れませんが、洋楽なんぞとんと聴いた経験のなかった当時の私にとってはやたらと斬新に感じられたものです。
♪ 友だち以上恋人以下ね 二分の一のふれあい
一人では腕を組み ねぇ歩けない
胸に手を当ててみる 好きと言われたこともないのよ
どうして? どうして? あなた「やさしさ知らず」
第4位 星に願いを 【オススメ度★★★】
作詞:安井かずみ、作曲:平尾昌晃、編曲:馬飼野俊一
[1974.2.25発売; オリコン最高位4位; 売り上げ枚34.0万枚]
第4位にランクインしたのは、5作目シングル「星に願いを」でした~・・・う~む、これはまた頭サビからアグネスの“可愛らしさ”を前面に押し出しつつ、彼女の声の伸びと柔らかな声質がしっかりと生きるように作られた名曲ですよねぇ・・・(しみじみ)。
この作品の歌詞は、それまでのシングルに一貫していたキーワード(メルヘンチックな世界)はそのままに、主人公に少しだけ“意志”を持たせている(その分だけ現実味のある世界観になった)のですが、これはやはり、「デビューから1年経つことだし、アグネスの成長を反映させてみよう」というスタッフ側の思惑の表れなのではないでしょうか。
何となく、ビー・ジーズの「メロディ・フェア」を想起させるようなAメロはご愛敬として、♪ 私の気持ちがうまく あなたに伝わるかしら~ のところで、アグネスの歌とバッキングがリズム良く掛け合うところが、何と言っても私のお気に入りなので~す。
第3位 愛の迷い子 【オススメ度★★★★】
作詞:安井かずみ、作曲:平尾昌晃、編曲:馬飼野俊一
[1974.12.21発売; オリコン最高位2位; 売り上げ枚数40.2万枚]
第3位に入ったのは、8作目シングル「愛の迷い子」でした~。ちなみにタイトルの読み方は、「まいご」ではなく、「まよいご」です(「まいご」なら「迷子」という表記になりますね)。
前回の記事でも少し触れましたが、この作品も、マイナー・コードのAメロとメジャー・コードのサビがメリハリ良く交互に登場する名曲ではないかなぁと。それと、この曲でも見られる“終盤で半音上げてサビを繰り返す”というのは割と常套手段なのですが、個人的には大好きな処理だったりします。
アレンジ面では、アコースティック・ギターと鈴の音がとても効果的に使われていて、聴き手の頭の中に真冬の景色がパッと浮かんでくるのが何とも乙ですよね~。・・・そうそう、アグネス自身がバック・コーラスを担当して美しいハモりを聴かせてくれている点も“要チェックポイント”なので、ぜひお聴き逃しないように
第2位 ひなげしの花 【オススメ度★★★★★】
作詞:山上路夫、作曲:森田公一、編曲:馬飼野俊一
[1972.11.25発売; オリコン最高位5位; 売り上げ枚数32.8万枚]
アグネスの記念すべきデビュー曲「ひなげしの花」が、第2位に入りました~ この曲は、リリース当時はそれほど話題にならなかったようで、年が明けてからじわじわとチャートを上昇して、オリコン5位に到達したのは3月に入ってからのことでした。・・・そう言えば実際のひなげしも、秋頃に種を蒔いて翌年の春から夏に開花する・・・偶然の一致とはいえ、ちょっと面白い符合ぶりだと思います。
この曲は何かにつけて、歌い出しの ♪ おっかのう~え~ の部分をデフォルメした“モノマネ”に目が奪われがちなのですが、ここはやはり、作曲を担当した森田公一センセの手練手管のワザをじっくりと味わって戴きたいところですねぇ
具体的には、冒頭のメロディとして ♪ 丘の上ひなげしの花で~(コード進行:C-G7-C)に続けて、♪ 占うのあの人のことを~ (コード進行:Am-Em-Dm)を持ってきたのが、森田センセの非凡なところなのではないかと。日本人の心の琴線に触れまくるコード展開(特にAm-Em-Dmの部分)に、アグネスの出身国を示唆するようなチャイニーズ風味のメロディを載せるという、実に心憎いプロのテクを披露しているんですよね~。
で、あれこれ凝ったワザを仕込んだ結果、音の上下移動が激しくてリズムも取りにくい・・・アイドル歌手のデビュー曲としてはかなり難易度高めで、すっかり“新人泣かせ”の仕上がりになっているのですが、そこはすでに香港で歌手デビューを果たしていたアグネスのこと、しっかり歌いこなして30万枚を越える大ヒットに結びつけたのはさすがってな感じがしますネ。
第1位 白いくつ下は似合わない 【オススメ度★★★★★】
作詞:荒井由実、作曲:荒井由実、編曲:あかのたちお
[1975.8.25発売; オリコン最高位12位; 売り上げ枚数14.8万枚]
今回の独偏ベストテンで、並み居る秀作を抑えて堂々の第1位に輝いたのは、11作目シングル「白いくつ下は似合わない」でした。わ~、パチパチパチ この頃のアグネスは、すでにアイドルとしては人気が下降線に入っていて、この曲の知名度もあまり高くないのが残念なのですが、誰が何と言おうと私は、“後世に語り継がれるべき超弩級の傑作歌謡曲”だと確信しているのです(きっぱり)。
アグネスのトレード・マークだった“白いハイ・ソックス”を自ら否定するかのような意味深なタイトルは、当時20歳を迎えて少女から大人へと脱皮する彼女なりの“決意表明”のように感じられますね。事実、歌番組でこの曲を歌うアグネスは、当時小学生だった私の目にもちょっと大人びた雰囲気に変わっていて思わずハッとさせられた記憶があります。と同時に、「何だか遠い存在になってしまったなぁ」という一抹の淋しさも・・・。
作詞作曲は、当時、音楽関係者の間ではすでにその“才能”が話題になっていたユーミン(荒井由実)です。「卒業写真」(ハイ・ファイ・セット)、「いちご白書をもう一度」(バンバン)と、この「白い・・・」の連続ヒットでまずコンポーザーとして世間に認知された直後に、自ら歌った「あの日に帰りたい」が大ヒットして、シンガーソングライターとして一躍有名になりました。
♪ 歩道橋の上で寄り添って 並木道見下ろして
「君とどこまでも歩きたい」と 言ったのは嘘なの?
小雨の降りだした寒い夜 肩を抱き寄せながら
「今は君だけしか見えない」と 言ったのは嘘なの?
失くしたものなど 何もないけれど
白いくつ下 もう似合わないでしょう
「彼との別れは悲しいけれど、失くしたものはない」・・・アグネスの大人びた雰囲気は、この辺りの歌詞に起因するところが大きいのではないでしょうか。失恋を経て強くなってゆく女性の心象風景が、的確かつ繊細に描かれていて、実に見事だと思います。
曲の方も、それまで“歌謡曲”と考えられてきた範疇にとらわれず、オリジナリティあふれる作りに仕上がっているのが素晴らしい ユーミンの“ほとばしる才能が抑えきれない”感じが、こちらにも伝わってくるようですね~。
・・・さて、以上で独偏ベストテンの結果発表はおしまいです。上位の一部がちょっとマニアックな結果なのを除けば、全体としては結構オーソドックスなランキングになったのではないかなぁと思いますが、お楽しみ戴けたでしょうか・・・ 毎度毎度のことながら、長い記事を最後までお読み下さった皆さん、どうもありがとうございました~m(_ _ )m。次回は 【独偏ベストテン36-3】 アグネス・チャンのシングル作品 (資料編) をお送りしますので、引き続きお付き合い下さいね~。
最後に、今回の独偏ベストテンを上位から順に整理してご紹介しておきますね。それでは、またお逢いしましょう~
【wishy-washyの独偏ベストテン アグネス・チャンのシングル(A面)】
第1位 白いくつ下は似合わない 【オススメ度★★★★★】
第2位 ひなげしの花 【オススメ度★★★★★】
第3位 愛の迷い子 【オススメ度★★★★】
第4位 星に願いを 【オススメ度★★★★】
第5位 やさしさ知らず 【オススメ度★★★★】
第6位 恋のシーソー・ゲーム 【オススメ度★★★★】
第7位 草原の輝き 【オススメ度★★★★】
第8位 小さな恋の物語 【オススメ度★★★★】
第9位 ポケットいっぱいの秘密 【オススメ度★★★★】
第10位 美しい朝がきます 【オススメ度★★★★】