吹奏楽コンクール(吹コン)に参加する団体は、吹コン連盟が指定する何曲かの“課題曲”から1つ、(時間制限内に収まる条件で)自由に選んで良い“自由曲”を1つ、併せて2つの作品を演奏して、その出来映えが審査されるという寸法でした。んで、1982年の課題曲の中に、「アイヌの輪舞」という、民族音楽調の旋律が美しくて親しみやすい、私もお気に入りの作品がありましてね。作曲者の早川博二センセのことを、当時私はてっきり吹奏楽ワールドの方だとばかり思い込んでいたのですが、早川センセは、実は私が幼少時に慣れ親しんだ“あの歌謡曲”の作曲者でもあったのです・・・ ってなわけで、今回取り上げる歌謡曲はこれで~す()。
「老人と子供のポルカ」(左卜全とひまわりキティーズ)
作詞:早川博二、作曲:早川博二、編曲:早川博二
[1970.2.10発売; オリコン最高位10位; 売り上げ枚数24.1万枚]
[歌手メジャー度★★★★; 作品メジャー度★★★★; オススメ度★★★]
この曲がヒットしたのは、私はまだ5歳になるかならないかの頃でした。♪ やめてけれ やめてけれ やめてけれ ゲバゲバ~ という、子供にとってはさっぱり意味不明な歌詞を、ほとんど断末魔のジーサンがデタラメに歌うもんだから、もうこれ以上のインパクトはないですよねぇ(どういうわけか「見ちゃいけないものを見てしまった」ような気になっちゃうのは、もしかして私だけ・・・)。死にかけのジジイ(←こらこら)と汚れを知らぬ女のコ達の組み合わせというのも、一体誰が考えたんだか・・・。いやはや、企画した人はホントにスゴいと思います。
さて、歌詞に出てくる印象的なセリフ「ゲバゲバ」ですが、私は長い間、その意味するところが分かってませんでした。ちょうどこの曲がリリースされて間もなく放送がスタートしたテレビバラエティ番組のタイトルが、「ゲバゲバ90分」だったこともあって、単に“笑いを誘うフレーズ”だと思っていたフシがあります。実際のところは、ドイツ語で「ゲバルト(要するに“ゲバ”)」・・・つまり、大学紛争が吹き荒れた当時の世相を反映した歌詞だったというわけ。2番に登場する「ジコジコ」、3番の「ストスト」と併せて、当時社会問題になった「内ゲバ」「交通事故」「ストライキ」を痛烈に諷刺した社会派ソングなのであって、ガキの私が考えていたような“ナンセンスなお笑いソング”ではなかったのです・・・うーむ、そうだったのかぁ。
早川センセによる曲の方は、吹奏楽曲「アイヌの輪舞」と同じく、親しみやすくてキャッチーな旋律が何とも心地よい感じです。まぁ、前回記事の河出智希センセによる、「射影の遺跡」(吹奏楽課題曲)と「会いたかった」(AKB48)のように、「ホントに同一人物が作曲したのか・・・」というような“意外性”はさほどありませんけどね。音楽ジャンルの垣根を悠々と越えて活躍される両センセの才能に対して、敬意と驚嘆の念を禁じ得ない私なのでした・・・。
「老人と子供のポルカ」以外の早川博二センセの歌謡曲仕事で他に有名なものとしては、ザ・キング・トーンズの大ヒット曲「グッド・ナイト・ベイビー」(1968.5.1発売、オリコン最高位2位、売り上げ枚数60.0万枚)の編曲があります。作曲に絞ってみると、同じくザ・キング・トーンズの「暗い港のブルース」(1971.4.1発売、オリコン最高位19位、売り上げ枚数16.3万枚)や「家へ帰ろう」(1969.3.21発売、オリコン最高位72位、売り上げ枚数2.9万枚)、うる星やつらファンにとってはちょっと懐かしい「恋のメビウス」(リッツ)(1984.8.25発売、オリコン最高位47位、売り上げ枚数2.0万枚)あたりがめぼしいところでしょうか。
そうそう、ここで余談を一つ。この“ひまわりキティーズ”に、私も大好きな名曲「ひだまりの詩」で知られるル・クプル(Le Couple)の藤田恵美がいたことはけっこう有名な話なのですが、ご存知でしたか・・・ 先に紹介したシングルジャケットの中の女のコのうち、どれが藤田さんなのか探してみるのもあるいは一興かも知れませんね ちなみに私は、左から2番目に違いないと思ってま~す。どなたか正解をご存知の方がおられましたら、ぜひ教えて下さいね。
最後に、記事に登場した「アイヌの輪舞」、「老人と子供のポルカ」、「ひだまりの詩」のYouTubeをそれぞれ下にご紹介したところで、今回はおしまいとします。それでは、またお逢いしましょう~
吹奏楽コンクール1982年課題曲 「アイヌの輪舞」
「老人と子供のポルカ」(左卜全とひまわりキティーズ)
「ひだまりの詩」(ル・クプル)