【独偏ベストテン 34-2】 早見優のシングル作品 (1~5位) | 歌謡曲(J-POP)のススメ

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音楽といっても数々あれど、歌謡曲ほど誰もが楽しめるジャンルは恐らく他にありません。このブログでは主に、歌謡曲最盛期と言われる70~80年代の作品紹介を通じて、その楽しさ・素晴らしさを少しでも伝えられればと思っています。リアルタイムで知らない若い世代の方もぜひ!

 前回に引き続いて、早見優のシングル(A面)を対象とした「独断と偏見によるベストテン」をお送りします。今回はいよいよ残りの上位5曲の発表で~す

 “独偏ベストテン”ではこれまでに、「花の82年組」から小泉今日子中森明菜を取り上げているんですよね
この2人と比べると、早見優は正直言って歌手として一枚“格下”だよなぁ・・・と思うのですが、前回の記事を実際に見に来てくれた方の数はむしろ多いほどで、何だか私自身が驚いています(いやぁ、素直に嬉しいです)。もしかしてこれって、例の“あまちゃん”人気で’80年代歌謡曲が再評価されている恩恵をこうむっている・・・のでしょうか

 さてっと。それでは早速発表いってみましょう。いつも通り、第5位から第1位まで一気にご紹介で~す


第5位 渚のライオン 【オススメ度★★★★】

作詞:三浦徳子、作曲:筒美京平、編曲:茂木由多加
[1983.7.1発売; オリコン最高位10位; 売り上げ枚数16.8万枚]

 第5位にランクインしたのは、6作目シングル「渚のライオン」でした~とにかく底抜けに明るくてバッキングが非常に楽しい作品で、ファンの私としては非常に嬉しかったですし、彼女もてっきり気に入ってるものと思っていたんですが、なんと彼女にとってはイマイチだったとか(←この事実はだいぶ後になって判明)。まぁ、前作「夏色のナンシー」であまりに見事に「ホールインワン」を決めてしまったので、彼女がそんな風に感じるのも無理ないですけどねぇ・・・

 曲の方は、モータウンのリズムをベースにアフロ的なエッセンスで味付けすることで、開放的でゴキゲンなジャングル・ビートに仕上がってます。アレンジャーが茂木由多加センセということもあって、シンセによるプログラミング音がビシバシ響いてきます・・・これが当時の歌謡シーンのトレンドだったんですよね

 そうそう、この曲をヘッドフォンで聴ける環境にある方は、♪ ハートが道に迷う~ のあたりで、頭のてっぺんあたりをグルグルと回る効果音をお聴き逃しないように・・・ この効果音、「ライオンにまとわりつくハエ」を模擬しているものと、私はずっと思い込んでいるのですが、実際のところはどうなんでしょうか もしご存知の方は教えて下さいね



第4位 あの頃にもう一度 【オススメ度★★★★】

作詞:松宮恭子、作曲:松宮恭子、編曲:鷺巣詩郎
[1983.1.21発売; オリコン最高位27位; 売り上げ枚数4.5万枚]

 4作目のシングル「あの頃にもう一度」が第4位でした~
。この作品が、悲劇の歌手“中山圭子”が歌うはずだった曲であることは知る人ぞ知る話ですが、その件についてはまた別の機会にでも

 いやぁ、この曲は頭サビの

  ♪ あなた追いかけて追いかけてどしゃ降りの中
    一人泣きながら泣きながらずぶ濡れのまま


の部分の歌詞がとっても“絵になって”いるのが気に入っている
んですよねドラマティックで切ないメロディラインも、頭に浮かぶ映像イメージにピッタリですし

 この作品には(2作目「Love Light」に続いて、)雨のシーンを描写した歌詞が登場するのですが、この曲を聴くと私はいつも、パブロフの犬のように、彼女がペンタックスのCMで見せてくれた“プールで黒髪が濡れたシーン”を想い浮かべてしまうんです
。思わずドキッとするような優ちゃんの強い眼差しと表情がいまだに忘れらません


 ああ、あの頃にもう一度・・・(遠い目
 )。

 

第3位 夏色のナンシー 【オススメ度★★★★★】

作詞:三浦徳子、作曲:筒美京平、編曲:茂木由多加
[1983.4.1発売; オリコン最高位7位; 売り上げ枚数26.9万枚]

 ベスト3の一角を占めたのは、彼女の出世作にして5作目のシングル「夏色のナンシー」でした~
 楽曲の完成度(斬新さ、洗練度などすべて含む)という点からすると、彼女のシングルの中ではこの曲がダントツぶっちぎりのトップだと思うのですが、今回はあくまで“独偏(←つまり、私の好きな順)”ってことで、どうぞご理解のほどを~m(_ _ )m

 この作品は、筒美京平センセのコンポーザーとしての歴史を語る上でも、我が国の歌謡シーンの変遷を俯瞰する上でも、非常に重要な位置を占める作品だと思うんですよね
。第一に、筒美センセの作品としては、それまでの歌謡曲では見られなかった新しいアイデア満載の意欲作だということ。例えば、Bメロ後半部の ♪ 女の子からは卒業したみたい~ あたりの畳みかけるように変化する不思議なテイストのコード進行は、それまで我が国の歌謡曲ではちょっとお目にかかれなかった斬新なものだったと思います。そして第二に、我が国の歌謡シーンの変遷という点から言えば、アナログ録音からデジタル録音に移行したことで歌謡曲の音質が劇的に変化したのがおそらく1983年頃だと思うのですが、その変化をハッキリ認識した多くの人は、この「夏色のナンシー」がきっかけだったのではないか(もちろん私もね)・・・という意味です。

 ま、そんな小難しい話はともかくとして、世の中のトレンドを鋭く見切った筒美京平センセの職人技が、デビュー2年目を迎えた早見優に救いの手を差し伸べることになったことだけは、もう間違いないところですよね・・・




第2位 Love Light 【オススメ度★★★★★】
作詞:Pia Jackson、日本語詞:三浦徳子、作曲:Jimmy Jackson、編曲:萩田光雄
[1982.7.21発売; オリコン最高位38位; 売り上げ枚数5.9万枚]


 第2位に入ったのは、2作目シングル「Love Light」でした この曲は、ドラマティックなメロディも素晴らしいのですが、何と言っても、サビ部の英語詞をネイティブ発音で流暢にカマす彼女がカッコ良かった~(私も惚れ直したっちゅうか何ちゅうか)。 ’82年組の他のメンツとキャラの差別化を図るという意味では、それだけでもう十分にお釣りがくる“アピール”だったと思うのですが、実はこの曲、英語バージョンをまずアルバムで出してから、日本語バージョンとしてシングルカットされたものなのです(←アイドル初の快挙・・・)。さすがにこれはもうスペック過多と言うほかないのでは

 それはそうと、どうも
英語バージョンの「Love Light」の歌詞には文法ミスがあったようですね。ところが彼女は新人の立場ゆえ、言い出せないままレコーディングしたら、後から非難されてショボン・・・なんてことが。そんな失敗エピソードも何だか初々しくて微笑ましいです

 ところでこの作品、最初私はてっきり洋楽のカバーだと思っていたんですが、JASRACには日本の曲として登録されていて、どうもカバーという訳ではないらしい・・・
。しかも、作曲者の“Jimmy Jackson”という方には、どういうわけか他に楽曲が見あたらないんですよ・・・んこれはちょっと妙じゃないか・・・ ところで、彼女の次のシングル「アンサーソングは哀愁」の作曲者 馬飼野康二センセは、外国人っぽい変名をたくさん持っておられる方で、“Jimmy Jackson”によく似た“Jimmy Johnson”という変名があることが判明しています・・・うーむ、これはかなりニオいますねぇ
。ま、これは100%確証のある話ではないので、あくまで私の妄想ってことで。(後日談: 当時のYouTubeをチェックすると、作曲者:馬飼野康二となっている番組もあった模様・・・私の妄想はビンゴだったようですな



第1位 ラッキィ・リップス 【オススメ度★★★★★】

作詞:三浦徳子、作曲:筒美京平、編曲:茂木由多加
[1983.9.21発売; オリコン最高位10位; 売り上げ枚数16.4万枚]


 「夏色のナンシー」、「渚のライオン」に続く“筒美京平3部作”のラストを締めくくる7作目シングル「ラッキィ・リップス」が、栄えある(
)第1位に輝きました わ~、パチパチパチ あ、タイトル表記は「ラッキー」じゃなくて、某振り付け師と同じ「ラッキィ」ですからねやっぱりねぇ、「夏色・・・」、「渚の・・・」と、明るく爽やかな料理を存分に楽しんだ後は、ちょっぴり毛色の変わった小皿料理あたりを味わいたくなるのが人情ってもの。そんな私のわがままリクエストにばっちり応えてくれたのが、この作品ってワケです

 普通、アイドルが秋冬シーズンにリリースする作品というと、春夏とは違ってマイナー調になることが多いのですが(現に、早見優も1年目秋冬の「アンサーソングは哀愁」、「あの頃にもう一度」、3年目冬の「哀愁情句」ではそうでした
)、この曲では、ポップで明るいイメージはそのままに、センチメンタルなエッセンスがほんのちょっぴり振りかけてあるのがすごくイイッんですよねぇ

 ゆるやかに始まる冒頭の

  ♪ バカね Fall in Love Fall in Love あの日からずっと
    バカね Fall in Love Fall in Love 愛しているのに


で、女の子っぽい“しっとり感”を演出したら、ささっとアップテンポに移行するあたりは全くムダがなくてお見事
ですし、サビ部分あたり

  ♪ 優しくしないでね イジワルしたくなる こんな気持ち初めて
    優しくしないでね イジワルしたくなる 愛し始めているの


のメロディ・ラインを聴くと、筒美京平センセから「あなたの“弱い”コード進行はこの辺でしょ」なーんて、完全に見透かされているような気分になったりなんかして・・・。それくらい、私にとっては何回聴いてもまたすぐに聴きたくなる超名曲なのです





 ・・・こんなところで、今回の記事はこの辺でおしまいです長い記事を最後までお読み下さった皆さん、どうもありがとうございました~m(_ _ )m。次回は 【独偏ベストテン 34-3】 早見優のシングル作品 (資料編) と銘打ってお送りしますので、引き続きお付き合い下さいね。いつも通り、最後に今回の独偏ベストテンを上位から順に整理してご紹介しておきますそれでは、またお逢いしましょう~


【wishy-washyの独偏ベストテン 早見優シングル(A面)】
第1位 ラッキィ・リップス 【オススメ度★★★★★】
第2位 Love Light 【オススメ度★★★★★】
第3位 夏色のナンシー 【オススメ度★★★★★】
第4位 あの頃にもう一度 【オススメ度★★★★】
第5位 渚のライオン 【オススメ度★★★★】
第6位 急いで!初恋 【オススメ度★★★】
第7位 
PASSION 【オススメ度★★★】
第8位 哀愁情句 【オススメ度★★★】
第9位 Newsにならない恋 【オススメ度★★★】
第10位 抱いてマイ・ラブ 【オススメ度★★★】