「嘘みたい!?」(ゴールデンハーフ・スペシャル)
作詞:杉山政美、作曲:実川俊、編曲:いしだかつのり
[1977.11.10発売; オリコン最高位-位; 売り上げ枚数-万枚]
[歌手メジャー度★★; 作品メジャー度★; オススメ度★★★]
言わずもがなですが、“ゴールデン・ハーフ”ではありません。そちらは本家の方です。ゴールデン・ハーフの方は、オリコン100位以内に8作を送り込みました(最大のヒット曲は「ゴールデン・ハーフの太陽の彼方」(1972.5.25発売、オリコン最高位17位、売り上げ枚数12.6万枚))。当時まだ小学生だった私も、「8時だよ!全員集合」などで、美人なのにコントもこなすハーフのお姉さんが何とも眩しく見えたのをよく覚えてます(←小さい頃から好みが変わってない、ってことか・・・)。中でもエバ(スペインと日本のハーフ)は、お茶の間の人気者でしたね。ユーモアがあって頭の回転も早くて、非常に好感度高かったです。
そこへいくと、分家()のゴールデンハーフ・スペシャルの方は、残念ながらリアルタイムでの記憶がうっすらとしかないんですよねぇ・・・。グループとしてはシングルを7枚リリースしていますが、オリコンのシングルチャートにもまったく記録が残っていないので、世間的にはほぼ無名な存在ということになるのでしょう。
ゴールデンハーフ・スペシャルは、1976年に、リンダ、エミリー、ナンシー、トミーの4人組で、シングル「キューティーパイ」でデビューしました。でも、「セールスが不調だと試行錯誤する」というのはいつの時代も変わらないようで、ご多分に漏れずこのグループも4作目シングル「嘘みたい!?」を最後にリンダが脱退して3人になると、事務所の大先輩であるキャンディーズの二番煎じっぽい「プリズムカラーの夏盛り」をリリース。フォロアーが軒並み“討ち死に”するなか、キャンディーズ路線への見切りが早かったのは賢明だったと思うのですが、その後の迷走ぶりはヤバかったですねぇ・・・。次作の「ハーレム・ノック・アウト」では、♪ かきむしる青春~ と連呼する姿があまりにも異様&理解不能で、当時テレビで歌うのを偶然目にしてしまった中学生だった私の心に大きなトラウマを残したワケです(ウソ。でもアレは絶句モンだったよなぁ)。ラストシングル「ギラ!」でも、一度ついた負の加速度はもはや誰にも止めようがなく、キワモノ路線のone-way tichetを握りしめたまま、グループ消滅の憂き目に遭うことに・・・。(私にとっては)どの娘もカワイくて魅力的だっただけに惜しかったです。
さて、今回取り上げる「嘘みたい!?」は、終始迷走していた感の強いゴールデンハーフ・スペシャルのシングルの中でも、ハーフならではの魅力を存分に生かした佳曲だと思います。個人的には、2作目の「恋のチアガール」と並んで大好きな作品ですね。どちらの曲も、歌詞の方は脳天気で軽薄ですが、曲の方はポップでメロディアスなので、メロディ重視で歌謡曲をお聴きになる方は要チェックでしょう。
この作品は詞の内容がなかなか興味深いので、少し書き下しておきますね。
♪ なぜ 男はみんな アーハ そうなるの?
なぜ 子供みたいね ハイハイ お馬鹿さん
「私もあなたが好きよ」なんて 一言でも言えばすぐ
「俺の勝ちだ」と思い込む・・・ ウソみたい
なぜ 男はみんな ハイハイ お気の毒
♪ なぜ 男はみんな アーハ お決まりね
愛 愛する人は ハイハイ あなただけ
そんな古くさいセリフ それであの娘を口説いたつもり?
あなたの気持ち分かるけど・・・ ウソみたい
なぜ 男はみんな ハイハイ お気の毒
♪ 優しく激しくハートつまみ じらしてじらされ
いつか離れられなくなるものよ・・・ ウソみたい
なぜ 男はみんな ハイハイ せっかちね
花束抱えてキザなセリフ 一押し二押しのセリフ
独り善がりね男って・・・ ウソみたい
なぜ 男はみんな アーハ そうなるの?
イェイイェイ 恋は気まぐれ ハイハイ お気の毒
恋の駆け引きも何にもナシに独り善がりに押すだけの男・・・若い頃の私が聴いたら思わずこっ恥ずかしくなるような歌詞ですねぇ。身につまされるというか何というか・・・。「ハイハイ」あたりの二度返事で軽ぅ~く小バカにされたと思ったら、ついには「男はみんなお気の毒」なーんて同情までされちゃって、これじゃ立つ瀬ありませんわな
で、歌詞には単に“男”としか書かれていないのですが、“外国人女性から見た日本人男性の印象”を歌っている構図であることは間違いないでしょう。・・・というのも、実はこの「嘘みたい!?」は彼女たちのオリジナル曲ではなく、“カルメン”というスペイン系の女性(オールナイトニッポンの覆面パーソナリティをやっていた人)が1974年にリリースした作品「嘘みたい?!(←なぜか記号の表記が逆なのよね)」のカバーなのです。かように、歌っているのが2回とも“非”日本人女性というのが、そういう企画意図だったという何よりの証拠じゃないでしょうか。
さて、最後にオマケの雑学をひとつ。「嘘みたい!?」のコンポーザー“実川俊”の名前を見ただけでピンと来た方は相当の“好き者”だと思うのですが(いや、もちろん“歌謡曲”のね)、きっとそんな人はあまりいないと思うので、ここでは「雑学」ってことで。
実川俊(実川俊晴)センセは、自らも’70年代末にソロデビューしたことがあるシンガーソングライターなのですが、歌謡曲のコンポーザーとしても、古くはアパッチや三谷晃代のシングル、’80~’90年代にも、松尾久美子やCottonのシングルなんかでちらほらとクレジットを見かける方です。でも、一般的には何言っても、アニメ“キテレツ大百科”のテーマソング「はじめてのチュウ」(あんしんパパ)(1990.5.1発売)が有名なんじゃないでしょうか。
早回し技法やなんかを駆使することでヴォーカルの素性がさっぱり分からないようになってますが、(作詞作曲はもちろん、)歌っている“あんしんパパ”の正体はもちろん実川俊晴センセです。その辺が分かるYouTubeをにアップしておきますね。
それでは、今回はこんなところで。またお逢いしましょう~