【独偏ベストテン 33-2】 中島みゆき 作曲シングル作品 (1~5位) | 歌謡曲(J-POP)のススメ

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音楽といっても数々あれど、歌謡曲ほど誰もが楽しめるジャンルは恐らく他にありません。このブログでは主に、歌謡曲最盛期と言われる70~80年代の作品紹介を通じて、その楽しさ・素晴らしさを少しでも伝えられればと思っています。リアルタイムで知らない若い世代の方もぜひ!

 前回に引き続き、中島みゆき作曲のシングル(A面)を対象とした「独断と偏見によるベストテン」をお送りしています。今回は第2回目の記事ということで、いよいよ残りの上位5曲の発表で

 前回記事の最後に、「上位5作はどれもオリコンベスト10に入ったヒット作です」という趣旨のことを書いたので、発表前にほとんど当てられてしまうかな・・・
 と、期待と不安が半々だったのですが、戴いたメッセージを拝見すると意外とそうでもなかったみたいです。でも、やはりというべきか、中島みゆき作品をシングルで多く出しているN.KさんとJ.Sさんは、かなりの皆さんのアタマにすぐに思い浮かんだようですね

 ・・・それでは前置きはこの辺にして、早速発表にうつりましょう
。第5位から第1位まで一気にどうぞ~


第5位 思い出だけではつらすぎる (柴咲コウ) 【オススメ度★★★】
作詞:中島みゆき、作曲:中島みゆき、編曲:千住明
[2003.9.3発売; オリコン最高位9位; 売り上げ枚数3.8万枚]


 第5位に入ったのは、柴咲コウの4作目のシングルにして、彼女がヒロイン役を務めたテレビドラマ「Dr. コトー診療所」の挿入歌、「思い出だけではつらすぎる」でした~例の“みゆき節”とは対極にある壮大なスケールを持つメロディと、かなり抽象的な描写のためすぐに理解するのが難しい歌詞・・・ということで、中島みゆきが他人に提供した作品としてはやや例外的と言えるかも知れません・・・(自身のアルバム内ではずっと以前からやってますケドね)。いずれにせよ、最初のうちはピンと来なくても、聴けば聴くほどじんわりと良さが沁み出してくる“スルメソング”だと思います。

 中島みゆきの場合、大抵のセルフカバーはみゆきバージョンの方が魅力的だったりするのですが
この作品に関しては柴咲コウに軍配を上げたいです。もう少し肩の力を抜いて歌ったらもっと良かったのですが、もともと歌手ではなく女優さんですし・・・。彼女の高い表現力と歌唱センスはもう天性のものなのでしょうね



第4位 春なのに (柏原芳恵) 【オススメ度★★★★】
作詞:中島みゆき、作曲:中島みゆき、編曲:服部克久/J. サレッス
[1983.1.11発売; オリコン最高位6位; 売り上げ枚数33.4万枚]


 第4位には、柏原芳恵の代表作としても名高い「春なのに」がランクインしました。みゆき女史は柏原芳恵に対してこの他にも、「カム・フラージュ」、「最愛」、「ロンリー・カナリア」と、全部で4作のシングル(A面)を提供。いずれもいかにも中島みゆきらしい佳曲ですが、やはり「春なのに」にとどめを刺しますね・・・ 毎年早春の頃になると無性に聴きたくなる名作なんですよねぇ

 「春なのに」リリース当時の柏原芳恵を思い出してみると、ちょうど芸名を「よしえ」から「芳恵」に変更して間もない頃
で、作品的にも「ハロー・グッバイ」のヒットから、大人へとステップアップするべく模索していた時期だったように思います。中島みゆきは’70年代にも桜田淳子がアイドルから大人へと脱皮する試みを成功させていますが、当時、桜田淳子が19歳6ヶ月だったのに対して、柏原芳恵はまだ17歳3ヶ月・・・。みゆき女史は、「片想いする女性」というテーマはあえて変えず、卒業式を迎えた女学生の切ない思いをかつてないくらい“清らか”なメロディに乗せることで、淳子と芳恵の2歳の差(思春期の2歳は数字以上に大きいを埋めたんですね。みゆき女史、凄すぎますわ・・・



第3位 宙船(そらふね) (TOKIO) 【オススメ度★★★★】
作詞:中島みゆき、作曲:中島みゆき、編曲:船山基紀
[2006.8.23発売; オリコン最高位1位; 売り上げ枚数48.4万枚]


 上位3作に食い込んだのは、TOKIO長瀬智也がシングルで初めてソロヴォーカルをとった「宙船(そらふね)」でした~
。長瀬クンが主演したテレビドラマ「マイ☆ボス マイ☆ヒーロー」の主題歌として大ヒットしたので、ご存知の方もきっと多いはずです

 これはまた、壮大なスケールの詞とドラマティックで硬質なメロディが見事に化学反応を起こして誕生した、最高にカッコいいロックナンバー
じゃないですかぁ・・・ 詞の中では何と言っても、♪ お前が消えて喜ぶ者に お前のオールを任せるな~ のフレーズが刺激的で目を引きます。コード進行とメロディラインはこれまでの“みゆき節”を踏襲したものですが、TOKIOと中島みゆきのコラボというのはちょっとすぐには思い付かないですし、作品のテーマ(コンセプト)も新鮮なのではないかなぁと思いますTOKIOと中島みゆきの双方にとって新境地になったと言っていいんじゃないでしょうか・・・



第2位 しあわせ芝居 (桜田淳子) 【オススメ度★★★★★】
作詞:中島みゆき、作曲:中島みゆき、編曲:船山基紀
[1977.11.5発売; オリコン最高位3位; 売り上げ枚数36.5万枚]


 第2位は、桜田淳子の21作目シングル「しあわせ芝居」でした~
(第4位のところでも触れましたが、)この作品は、桜田淳子が19歳の時に、伸び悩みの状況を打破するため、“大人への脱皮”に活路を見い出そうとチャレンジしたものその背景に、“当時、彼女のライバルと目されていた山口百恵が、阿木燿子-宇崎竜童コンビの一連の作品で成功を収めたこと“があったのは間違いないでしょう

 曲の方は、A-A’-B-B’ -A’という、どちらかと言えばベーシックな構造
だと思うのですが、メロディが非常に凝っています。 例えば冒頭の ♪ 泣きながら電話をかければ ばかな奴だとなだめてくれる~ からいきなり歌いにくい難物で、上へ下へと高速で滑っていく音程は、まるでピアノの練習曲のよう・・・。似たような構造を持つ有名な作品に、高田みづえ「潮騒のメロディー」がありますが、難易度は「しあわせ芝居」の方が上か。いずれの作品も、並のアイドルではとても歌いこなせない代物だと思います。・・・もっとも、私の心の琴線に触れまくるのは、ドラマティックなサビメロB(B’) ♪ 恋人がいます 恋人がいます 心のページに綴りたい~ の方なんですけどネ

 それともう一つ、船山基紀センセのアレンジ仕事が抜群なのも特筆すべき点でしょう
サビメロB(B’)にタンゴのリズムを取り入れることで、作品全体にメリハリとインパクトを加えるアイデアだけでも当時としては斬新なのに、それに飽きたらず、ラストのラストでややタメを作ってからタンゴを表舞台に引っ張り出してしまうという心憎い技を炸裂~。これは、クラシックの“コーダ”でときおり見られる盛り上げ手法ではないでしょうか・・・ まさに脱帽モノのアレンジテクと言えましょう。また、終始オブリガードの役目を果たしているピアノのメロディーも非常にいい味を出しています

 の動画は最初レコード音源だったのですが、削除されてしまったため、生歌を再アップしました。上記レビュー内容を確認して戴くことができない点、どうかご理解の程を・・・m(u_u)m



第1位 あばよ (研ナオコ) 【オススメ度★★★★★】
作詞:中島みゆき、作曲:中島みゆき、編曲:クニ河内
[1976.9.25発売; オリコン最高位1位; 売り上げ枚数64.4万枚]


 「中島みゆき作曲のシングル作品 独偏ベスト10」、堂々の第1位は、研ナオコの12作目シングルにして唯一のオリコン第1位獲得作品「あばよ」でした
わ~パチパチパチ今回は、第2位の「しあわせ芝居」と、どちらをトップにするか大いに悩んだ末に、私がこれまで心動かされて涙を流した回数の多い「あばよ」の方を上にしました~

 ‘70年代の歌謡曲では、職業的な作詞家と作曲家がガップリ四つに組んで趣向を凝らし合う、いわゆる“匠のワザの饗宴”がよく見られたものです。歌謡曲ファンとしては、それはそれで楽しめるポイントが多くて大歓迎なのですが、その一方で、“叙情派”のシンガーソングライターが魂に突き動かされて生み出した作品がバチッと決まってしまうと、さすがに職業作家の先生方も敵いませんよ。これはもちろん「あばよ」のことを指して言っているわけですそんな名曲を、ふられ女を地でいくような研ナオコが呟くような歌唱で謳いあげる・・・まさに、相性最高の組み合わせじゃありませんか・・・

 イントロからラストまで、ボーカルからバッキングまで、余すところなく味わいたい作品ですが、中でも私の涙腺が緩むポイントはココ

  ♪ 明日も今日も留守なんて
    見え透く手口使われるほど
    嫌われたならしょうがない
    笑ってあばよと気取ってみるさ
    泣かないで 泣かないで わたしの恋心
    あの人は あの人は お前に似合わない


 「あばよ」と強がってみてもあふれる涙が止まらない・・・そんな心象風景の描写が非常に絶妙で、何度聴いても涙を誘います
。いまにも消え入りそうなバッキングも効果的いつもは生楽器の音も電子楽器の音も分け隔てなく好んで聴く私ですが、さすがにこの曲は、生楽器でないといけません




 ・・・さて、今回はこの辺でおしまいとしますが、いかがだったでしょうか
 次回の記事は、【独偏ベストテン Vol.33-3】 中島みゆき 作曲シングル作品 (資料編) と銘打ってお送りしますので、引き続きお付き合い下さいね。おしまいに、今回の独偏ベストテンを上位から順に整理してご紹介しておきます長い記事にお付き合い下さった皆さん、本当にどうもありがとうございましたm(_ _ )m。それでは、またお逢いしましょう~


【wishy-washyの独偏ベストテン 中島みゆき作曲シングル】
第1位 あばよ(研ナオコ) 【オススメ度★★★★★】
第2位 しあわせ芝居 (桜田淳子)【オススメ度★★★★★】
第3位 宙船(そらふね) (TOKIO)【オススメ度★★★★】

第4位 春なのに (柏原芳恵) 【オススメ度★★★★】
第5位 思い出だけではつらすぎる (柴咲コウ) 【オススメ度★★★】
第6位 風の姿 (中江有里) 【オススメ度★★★】
第7位 すずめ (増田けい子) 【オススメ度★★★】
第8位 激情 (工藤静香) 【オススメ度★★★】
第9位 少年たちのように (三田寛子) 【オススメ度★★】
第10位 世迷い言 (日吉ミミ) 【オススメ度★★】