【お薦めシングルレビュー 25】 香港発のアイドルが歌う切なくてキュートなオリジナル歌謡! | 歌謡曲(J-POP)のススメ

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音楽といっても数々あれど、歌謡曲ほど誰もが楽しめるジャンルは恐らく他にありません。このブログでは主に、歌謡曲最盛期と言われる70~80年代の作品紹介を通じて、その楽しさ・素晴らしさを少しでも伝えられればと思っています。リアルタイムで知らない若い世代の方もぜひ!

 ‘70年代前半に、台湾出身の欧陽菲菲香港出身のアグネス・チャンが日本で大成功を収めたことをきっかけに1975年頃まで、香港・台湾から連れてきた歌手に日本の歌謡曲のオリジナル作品を歌わせる試みが盛んに行われた時期がありました。中にはテレサ・テンのように、’80年代に入ってから大活躍する逸材もいるにはいましたが、そうそう簡単に”3匹目のドジョウが出てくるはずもなく、’70年代中盤を過ぎるとそうした動きもすっかり沈静化することに・・・

 ところが’70年代後半に入ると、ロウィナ・コルテスチェルシア・チャンキャンディ・レイマーガレット・ポーあたりを中心に、ちょっとした反動のように香港・台湾プチ・ブームが訪れます
。・・・まぁ、正直なところ商業的には決して成功とは言いがたい「静かなブーム」(←大いなる言葉の矛盾)ではありましたが・・・なかなかにフォトジェニックなメンツが、味わい深い作品と爽やかな余韻を置き土産に、日本の歌謡シーンを可憐に通り過ぎていった・・・当時中学生だった私にとっては、そんな感じのすがすがしい出来事だったんですねぇ

 今回ご紹介する作品は、そんな中から特に印象深いものを選んでみました。これで~す(
)。


「銀の指環」(ロウィナ・コルテス)
作詞:谷山浩子、作曲:谷山浩子、編曲:ボブ佐久間
[1978.1.20発売; オリコン最高位-位; 売り上げ枚数-万枚]
[歌手メジャー度★; 作品メジャー度★; オススメ度★★★★]


 ロウィナ・コルテスという名前を聴いて「おー、懐かしい」と反応してくれる人は40代後半から50代の中に多少いるかなぁ・・・、一般的にはそんな程度の知名度かも知れませんトレードマークのおかっぱ頭、小動物(リス)っぽいキュートな表情(彼女はフィリピン系なんですよね)、そして日本語の際立った上手さが非常に印象的な女のコした

 香港出身のロウィナ・コルテスは、わずか5歳にして地元の歌謡コンクールで1位入賞。13歳の時には香港で開催された「ポピュラー・ソング・コンテスト」でグランプリを受賞し、同年に第7回世界歌謡祭(予選)に出場したことをきっかけに、ヤマハ音楽振興会のバックアップを受けて、1977年に「小さなマリリン」で日本デビューを果たします
。この時の彼女はまだ14歳。 ちなみに彼女は現在50歳くらいのはずですが、現在も香港で現役の歌手とのこと。う~む、「栴檀は双葉より芳(かんば)し」ということわざを地でいくような女のコだったんですねぇ・・・(遠い目)。

 「銀の指環」は、彼女の3作目にして日本でのラスト・シングルです
。同じく谷山浩子の作詞作曲による2作目「あのね」は、オリコン最高位62位、売り上げ枚数3.5万枚を記録したのですが、「銀の指環」の方はどういうわけかオリコン100位以内に入りませんでした・・・(なんでやねん)。ちなみに「あのね」の方は「銀の指環」以上にメロディに”谷山節”が冴えまくっている作品なので、谷山浩子ファンの方はぜひそちらも押さえておくといいですよ

 ・・・おっと、「銀の指環」の紹介でしたね
。まず、谷山浩子の手によるメロディラインの美しさが秀逸なんですよね。女性アイドル向けの歌謡曲における重要な要素として、「可愛らしさと切なさを同時に満足する」というのがあると思うんですが、この観点から見た場合、「銀の指環」はほぼ満点の出来なのではないかと。そして、このメロディラインが、35年経った今の時代に聴いてもほとんど色褪せることなく美しく輝いている点も、驚きに値しますね・・・

 歌詞の方では、ある男性に恋する女のコが彼の手に光るリングをめぐって繰り広げる心象風景が、鮮やかにそして可愛らしく描かれているのが非常に魅力的です。それと、「わたし」ではなく「あたし」なのは、いかにも谷山浩子らしい言い回しと言えるでしょう


 ♪ お願い聞かせて あなたの好きな人のこと
   聞いても泣かない あたし約束するから

 ♪ あなたの左手の薬指に 光る銀の指環 誰かのために
   あたしと街を歩く時も
   あなたを縛りつけて離さない 銀色の魔法
 
♪ あなたの心が分からないの あたしを誘うのも気まぐれですか
   それでもいいわ優しい人
   あなたの指環だけが どんな時も二人を隔てる


  この曲、昭和のアイドル歌謡をお好きな最近のアイドルさんで、誰かカバーしてくれる方はいませんかねぇ
このまま人知れず埋もれさせておくにはちょっともったいない名曲だと思うのですが・・・



 今回はこんなところでオシマイにしておきます
。それではまたお逢いしましょう~