【独偏ベストテン 26-1】 杉真理 作曲シングル作品 (1~10位) | 歌謡曲(J-POP)のススメ

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音楽といっても数々あれど、歌謡曲ほど誰もが楽しめるジャンルは恐らく他にありません。このブログでは主に、歌謡曲最盛期と言われる70~80年代の作品紹介を通じて、その楽しさ・素晴らしさを少しでも伝えられればと思っています。リアルタイムで知らない若い世代の方もぜひ!

 「杉真理」という字面を目にして、名前の読み方と性別を確信持って答えられる人は、日本でどれほどいるんでしょうか。「もちろん知ってるよ」と胸を張って答えられた方も、おそらく“彼”のことを知ったきっかけは、大瀧詠一&佐野元春と共作した彼の出世作、「ナイアガラ・トライアングルVol.2」(1982年)か、あるいは、堀ちえみが可愛かったセシルチョコレートのCMソング「バカンスはいつも雨」(1982年)のいずれかなのではないでしょうか・・・

 かくいう私はと言えば、実は彼が慶応義塾大学在学中に結成したMARI & RED STRIPES竹内まりや新井田耕造(RCサクセション)安部恭弘などが参加)の同名アルバム(1977年)で、まだまだ拙いながらも傑出したポップ・センスを“魅せて”くれた無名時代からLPを聴きまくっていた大ファンでありまして、私にとっては日本のシンガーソングライターの中でも特別に思い入れのあるアーティストなのであります

 
杉真理(まさみち)の作風を端的に表現すればビートルズから色濃く影響を受けたブリティッシュ・テイストのベースに、アメリカンっぽいエッセンスがいい感じに加わった”大ポップス大会”・・・といった感じになるでしょうか(う~む、イマイチ分かったような分からんような・・・。まだフォークが主流だった'70年代後半の日本の音楽シーンにおいて、彼のサウンドは非常に新鮮でオシャレな存在だったのです

 ところで彼は、年齢で言うと私よりもひと回りも上ということになるんですが、昔も今も掛け値なく若々しくて、とてもそんなに年上とは思えない親近感を感じるんですよ
。そんなこともあって、私が普段敬意を抱くコンポーザーを呼ぶときに付ける「センセ」というのが、彼の場合はどうにもしっくり来ないんだな・・・。そこで、ちょっと失敬なヤツと思われちゃう心配もありますけど、以後この記事では「杉真理クン」という呼称でいきたいと思いま~す

 今回は、杉真理クンが自分以外のアーティストに提供したシングルA面作品(ひとまず私が把握できた49作品)から、私の独断と偏見によって10作品をピックアップしてみました。彼はシンガーソングライターなので、自分のソロあるいはユニットとしてリリースしたシングル群ももちろんすべて自前なんですが、そちらはまた別の機会に取り上げることにして今回は対象にしません
。ちょっと分かりにくくて申し訳ないんですが、そういうことでご理解願いますm(_ _ )m

 そうそう、独偏ベストテンの発表に進む前にさっさと白状しちゃった方がいいかな
。 今回対象とした49作品のうちオリコン100位以内にランクインした曲はたった14作品しかありません。つまり、読者の皆さんにとっては、いつも以上に馴染みのない作品のオンパレードとなってしまった可能性が大・・・なので、第10位から第6位まではさらっといきますね。こんな結果になりましたぁ


第10位 Summer Kiss (しらさやえみ) 【オススメ度★★】
作詞:杉真理/しらさやえみ、作曲:杉真理/しらさやえみ、編曲:本間昭光/朝田朋之/嶋田陽一
[1997.7.1発売; オリコン最高位-位; 売り上げ枚数-万枚]

第9位 メリー・ローランの島 (井上昌己) 【オススメ度★★】
作詞:古賀勝哉、作曲:杉真理、編曲:京田誠一
[1989.5.24発売; オリコン最高-位; 売り上げ枚数-万枚]


第8位 あいつのブラウンシューズ (松原みき) 【オススメ度★★】
作詞:島エリナ、作曲:杉真理、編曲:鈴木茂
[1980.9.5発売; オリコン最高位-位; 売り上げ枚数-万枚]


第7位 8月の砂時計 (野田幹子) 【オススメ度★★★】
作詞:野田幹子、作曲:杉真理、編曲:杉真理
[1990.7.21発売; オリコン最高位-位; 売り上げ枚数-万枚]


第6位 悲しきクラクション (榊原郁恵) 【オススメ度★★★】
作詞:杉真理、作曲:杉真理、編曲:大川友章
[1983.9.1発売; オリコン最高位-位; 売り上げ枚数-万枚]


 ・・・いかがでしょう。ここまでオリコン100位圏内に入った作品が一つもなくって、読者の皆さんも無言状態「・・・」に陥ってしまっているのでは・・・ でも、ここまで来ちゃうと私も引っ込みつかないので、ここで挫けるワケにはいきません。このままベスト5に突入ってことで、上位5曲を一気にどうぞっ


第5位 ウイスキーが、お好きでしょ (SAYURI) 【オススメ度★★★】
作詞:田口俊、作曲:杉真理、編曲:斎藤毅
[1991.2.21発売; オリコン最高位44位; 売り上げ枚数2.5万枚]


 この曲はサントリーのCMで流れまくったので、さすがにご存知の方も多いのではないでしょうか・・・歌手クレジットの「SAYURI」というのは石川さゆりのことで、歌声をお聴きになればきっと「なるほど~」と、膝を打って戴けるでしょう
 
 一見、他の一連の杉作品とは異なる印象を持つ作品ですが、曲の随所に見え隠れするムーディで都会的なセンスは、やはり杉くんならではの仕事だよなぁ・・・と思いますね


 ところで杉クンは
石川さゆりさんの方が自分より4つも年下だと聴いて驚いた」と無邪気に曰っているのですが、それって考えようによっては石川さゆりさんに対して失礼なんじゃあ・・・ でもそういう発言をしても反感を買わないところは、杉クンの人徳のなせるワザなのかも知れませんね 




第4位 夢のふるさと (伊豆田洋之) 【オススメ度★★★】
作詞:伊藤アキラ、作曲:杉真理、編曲:斎藤毅
[1992.4.22発売; オリコン最高位-位; 売り上げ枚数-万枚]


 独偏ベストテンの第4位に入ったのは、杉真理クンに負けず劣らずビートルズマニアである伊豆田洋之の「夢のふるさと」でした。我が国には、”和製ポール・マッカートニー”と異名をとる男性ヴォーカリストが何人かいるわけですがその呼び名が最も相応しいヴォーカリストは彼なんじゃないかなぁと、密かに思っているのです・・・

 この作品は、壮大な時の流れを感じさせるスケールの大きな作風がとても印象深い佳曲ですが、こうした傾向の作風は他の杉真理作品にはほとんど見られません。よって、この「夢のふるさと」は、杉作品としては”かなりの異色作”と言えるでしょう。第5位にランクされたウイスキーが、お好きでしょ」と合わせてみると、彼の”メロディーメーカー”ぶりが良く伺えますよねちなみに、杉真理クンの元に、JRAのCMソングとしてこの作品の依頼があった際の注文は、「エリック・カルメンをモチーフにして」というものだったそうです。うーむなるほどネ



第3位 ときどき電話して (鈴木ユカリ) 【オススメ度★★★】
作詞:田口俊、作曲:杉真理、編曲:杉山卓夫
[1992.10.7発売; オリコン最高位-位; 売り上げ枚数-万枚]


 第3位にランクインしたのは、1992年にデビューした実力派アイドル 鈴木ユカリの2作目のシングル「ときどき電話して」でした。いかにも、'80年代までの女性アイドルの発展型として「ガール・ポップ」というカテゴリーが登場してきた頃にリリースされた作品らしく、彼女の伸びやかなヴォーカルが存分に堪能できる極上のポップスナンバーに仕上がっている、私の”大のお気に入り作品”なのです。彼女には、杉クンのプロデュースで、ぜひオリジナルアルバムを製作して欲しかったなぁ・・・それだけが心残りですね




第2位 素直になりたい (ハイ・ファイ・セット) 【オススメ度★★★★】
作詞:杉真理、作曲:杉真理、編曲:井上鑑
[1984.1.21発売; オリコン最高位19位; 売り上げ枚数11.0万枚]


 ハイ・ファイ・セット結成10年目にリリースされたこの作品は、シチズンのCMソングとしてお馴染みですね。前身グループである赤い鳥時代のフォーク路線から、ハイ・ファイ・セットとしてデビューしてしばらくはニューミュージック路線へとゆるやかに方向転換を図っていた彼らですが、この「素直になりたい」あたりを境にポップス路線へと一気に梶を切ってオシャレ度を増したという印象です。そういった意味で、”ポップス命”の杉真理クンに作品を依頼したのは大正解だったと思います

 この「素直になりたい」は、CMに持ってこいのキャッチーなサビももちろんgoodなんですが、

♪ Love is forever そういつまででも love you
  素直になりたい
  私のこと抱きしめて 離さないでと

の箇所で、畳みかけるように2回転調するのが面白いところです。アレンジャーの井上鑑センセによるちょい重めのサウンドも聞きどころと言えるでしょう



第1位 恋のビーチ・ドライバー (須藤薫) 【オススメ度★★★★】
作詞:伊達歩、作曲:杉真理、編曲:松任谷正隆
[1981.2.25発売; オリコン最高位-位; 売り上げ枚数-万枚]


 栄えある()第1位に輝いたのは、'60年代アメリカン・ポップスの美味しいところを'80年代に見事に甦らせた須藤薫の5作目シングル「恋のビーチ・ドライバー」でした。まぁ、多少なりとも杉クンのファンであれば、「彼が一番多くシングルを提供しているのは須藤薫だ」ということをご存知でしょうから、今回の1位に彼女がランクされることを何となく予想できたかも知れませんね

 肝心の曲の方はもうお聴きの通り、理屈抜きに明るく楽しい、杉クンの大ポップス大会120%全開ってな感じの名曲
だと思いますが、いかがですか ちなみに、彼の作品群にはこの曲のライン上に乗る作風のものが結構多いです。相変わらず寒い日が続くワケですが、こういう夏っぽい音楽を聴いてせめて心だけでも温めるというのも一興ではないでしょうか(←本来なら季節外れの選曲を謝るべきところを我ながらうまくこじつけたぞ

 バックに聴こえるコーラスには、もちろん杉真理クンも参加。こういう曲をカラオケなんかで上手に歌えると、さぞかし気持ちイイでしょうねぇ~



 ・・・さて、今回の記事はこんなところでしょうか。今回の独偏ベストテンにランクインした作品のうち、皆さんはいくつご存知でしたか(←かなりおそるおそる訊いているワケですが) もし一曲もご存知なかったとしても、「初めて聴いたけど良かった」と思って戴ける作品を一つでも提供できたとすれば、この上ない喜びなのですが・・・

 次回は 【独偏ベストテン 26-2】 杉真理の作曲シングル作品 (資料編) と銘打ってお送りしますので、皆さん引き続きお付き合い下さいね~。それでは、またお逢いしましょう



【2013年3月4日追記】
 本記事で独偏ベストテン第1位として取り上げた須藤薫さんが、病気のため昨日お亡くなりになったそうです。須藤さんのポップで爽やかな歌声にどれだけ励まされたことか・・・。素晴らしい作品の数々を本当にありがとうございましたm(u_u)m。ここに謹んでご冥福をお祈りいたします