「ここアテネには自分の未来はない」って考えた若者と彼女がイカリア島に移住して新しい生活を始める姿を追ったドキュメンタリーです。

今年始め、預金封鎖で年金すらも引き出せなくて、情けなさのあまり泣いてたおじいさんの映像をニュースで見て、なんともやるせない気持ちになったのを思い出しましたが、この作品でも始めにギリシャの現状についての説明があって、若者の失業率は5割を超えているようです。

仕事がないので海外を目指す若者が後を絶たないようですが、彼は「長寿の島」で名高いイカリア島に移住することを決めます。

そんな彼を追っかけたドキュメンタリーなので、内容はまあ映画を観ていただくとして、この映画はまさに「マスターキートン」そのままの、現地のおばあちゃんのかっこいいセリフがたくさん出てきます。

幸せは自分の価値観に宿るってことを教えてくれる作品。

「マスターキートン」は「いい男の定義を教えてくれるハードボイルド」でもありますが、そういうこともテーマとしてあったんだなぁってことを気づかせてくれました。



1996年の大遭難事故をかなり忠実に再現した作品。

いろんなレビューを見ると、どうもストーリー展開が高評価にならない理由のようですが、ほぼドキュメンタリーなのでこれはやや的外れかと思います。

当時ベストセラーになった「空へ」を出版当時に読んだ自分としては、あの事故をここまでリアルに再現した今の技術や撮影陣の努力にただただ感嘆の作品でした。

本作は「高度」を「IMAX 3Dカメラ」で表現するという「今の技術」を最大限に発揮しようという意欲的な作品でもあり、とても効果的で美しい空撮シーンが何度も出てきます。

その映像はジオラマティックでそれはもう本当に美しく、そのシーンだけでもIMAX 3Dでの鑑賞価値があると言えます。

しかしゼロ・グラビティ同様、その美しさは「人間が存在できる場所ではない」極限状況をも意味し、そこは迷いや判断ミスが瞬時に死に繋がる場所でもあります。

本作でもリーダーの「14時には下山を始める」という言葉が何度も出てきます。
それなのに実際にはそれが守られず大惨事になってしまう...エベレスト登頂の商業化と、それがもたらす様々な問題が本作のもう一つの見どころです。

過去の経過(何度かの登頂断念)や登頂者の持つ個人的背景(1回の登頂に65,000ドル以上かかること等)が生存の絶対ルールを曲げさせる要因に繋がるわけですが、ここに(しょせんは地上である)エベレストと宇宙の絶対的な差がありますね。

しかも登りはみんな目標があるので気合入りまくり。
宇宙ではおそらく介在しないであろう「気合」という概念も大惨事を引き起こす要因でしょう。
そもそも下山時の方が圧倒的に事故の事例が多いわけですし…。

でもあの状況で「登頂を断念させることができない」リーダー(しかも相手は顧客)の気持ちも痛いほど解るし、あの高度での酸素不足がもたらす判断力の低下も相当影響するようです。

そんな中、作品にちょいちょい出てくるIMAX撮影隊。
彼らの行動は当時大いに賞賛されたそうです。

自分たちの酸素ボンベを惜しげもなく提供し、遭難救助にも積極的に関わり(当時、同時期に登頂挑戦していた台湾隊や南アフリカ隊は救助活動に協力せず、後に大批判を浴びることになります)、この約2週間後に見事登頂を成功させます。

このIMAX撮影隊の作品は別の「Everest」という作品で、こちらも嬉しいことにDVDが発売されています(残念ながらリージョン1なので見られない可能性大)。

想定外の本事故に遭遇したことで、その撮影にフィルムを消費したせいか、登頂成功時の映像が少ない作品だそうですが、本作のおかげでぜひとも観てみたい作品となりました。

地球上で最も高い場所を手軽に体感できるIMAX 3D鑑賞で、ぜひエベレストを体験してみて下さい。
そしてできれば鑑賞前後どちらかに「空へ」を読んでほしいです。


アメリカには75,000以上のダムがあるそうです。
背景には工業化に伴う水力発電需要や(大恐慌時代の国策としての)雇用の創出があったようですが、それらのほとんどが30年という短期間に作られたことに驚きます。

単純に1年で2,500基なので1日およそ8基。3時間に1基がつくられた計算です。
そして時代の変遷と共に今度はダムの環境問題が叫ばれ始めました。

この作品ではサケをテーマにダムの環境破壊問題を取り上げていますが、活動家たちのフェアかつユーモラスなスタンスにアメリカらしさを感じさせられます。

ドキュメンタリーとしては一流の作品で、アニメを使った見せ方も上手。
ダムのすべてを否定するのではなく、まずはダム問題について知ってほしいという作り手の意欲が伝わります。

このダム問題にしても原発問題同様、一概には語れないテーマですが、活動家の姿勢・手法という点においては間違いなく大いに参考になる作品でした。