先日、3歳の娘と難民の話題になりました。
きっかけは、文京シビックセンターで展示されていた、難民アスリートの写真展。
そもそもは、劇団かかし座「魔法つかいのおとぎばなし」という影絵の上演を当センターに見に行ったのですが、ちょうどその直前にNHKのニュースで、例の写真展が紹介されていたので、せっかくだから見に行こうと思って立ち寄ったのでした。
難民の話なんて3歳の子供には難しすぎるかな?と思ったのですが、意外にも娘の食いつきはよく、質問攻めにあいました。
祖国を追われて険しい顔をしている女性
食糧難で痩せ細った子供
オリンピック選手に選ばれて静かに喜ぶ女性
そんな人々の表情の理由は、娘には分かるはずもなく、
「なんでこの人、おこってるの?」
「なんで赤ちゃん、ぼーっとしてるの?」
「なんでみんなボート乗ってるの?」
「なんでこの人、泣いてるの?」
と、写真1枚1枚を見て、聞いてきました。
正直、ここまで食いつくとは思っていなかったので、どういう風に娘に伝えるべきか事前にあまり深く考えていなかったのは、親として反省です。
とは言え、「難民問題は3歳児には難しいだろう」と勝手に決めつけたくはないし、たとえ難しくても伝えることに意義があると思ったので、できるだけ簡単な言葉で、私なりに説明してみました。
でもそれはすごく難しいことでした。
もちろん、難民問題を私自身がどこまでちゃんと理解しているのか、という課題が立ちはだかってもいますし、いかに3歳児にも分かるように説明するかも容易ではないのですが、いちばん困ったのは、誰の立場からの「戦争」「内戦」を説明すべきなのか。
戦争といって、人と人が喧嘩して、殺されちゃう人がいること
自分が住んでたお家から逃げなくてはいけなかったこと
お洋服も食べ物のないから、生きていくのが大変なこと
死んでしまう子供や赤ちゃんもたくさんいること
これらは全て、難民の視点からの「事実」で、私も自然とそういう説明を娘にしていました。
でも途中でふと、これって唯一無二の「真実」を説明したことになっているのだろうか、と疑問に思い始めたのです。
もちろん難民アスリートの写真展を見ているので、難民の視点から説明するのは自然なことだし、難民の視点の事柄も、事実の一つなので、間違った内容ではないと思います。
そして社会問題として、難民の方が直面していることを子供に伝えるのも、意味のあることだと思います。
でも娘からの「なんで?」「なんで?」攻めを受けるうちに、そもそもなぜ人々は戦っているのか、という説明をしなくてはいけない場面もありました。
そのとき、私はつい、日本やアメリカで見るニュースと同じような立場で「悪い人」「間違っている人」を伝えがちです。でも戦争には必ず2つ以上の立場があって、私とは正反対の視点から戦争を見ている人もいる。それが私の価値観と合致していなくても、その人たちやその人たちの考え方が存在することはまぎれもない事実なので、その人たちの考えや行動を、いかに私の主観的なjudgement(評価)を入れずに話せるか、非常に難しいと思いました。
つまりは、難民の絵を見て、この人たちが「かわいそう」、こんな状況を作った人たちは「悪い人」だ、と無条件で思い込むような説明はしたくなかったのです。
(語弊がないように付け加えておくと、難民の人たちが非がある、と言いたいのでは決してないです。ただ、戦争をしている人たちも彼らなりの理由があり、それが第三者には理解できない価値観だったとしても、一方的に「悪者」と教え込むのは避けなければいけないと思っています。無知の人に対して「あの人は悪者だ」と教え込むのは、ある意味、こちらの言う「悪者」が一部の無知の市民に対して、こちら側を「あの人は悪者だ」と教え込んでいるのと同じ行為だと感じています。)
私は親として、自分が正しいと思うことは積極的に子供にも伝えていきたい。一方で、私が間違えていることも時にはあるだろうし、時代とともに変わっていく考え方もあるだろうから、親の言うことが絶対な3歳児に、いかにもこれが唯一無二の事実よ、と私の視点から物事を全て伝えるのは避けるべきだと思っています(もちろん、自分の意見を通すために人を殺すのは決して許されない、という考えは、絶対に間違っていないと思いたいですし、どんな状況でも絶対的に正しいor間違っていることは断固として伝えていこうとは思いますが)。そして娘には、親の意見はあくまで参考とし、彼女自身がどう思うのか、自分で調べ考えて意見を構築してほしいどう思います。
そうすることで、大きくなった時に、様々な視点を持つ人々と関わる中で、お互いを尊重しつつも自分の意見を表現できるコミュニケーション力や思考力を培うことができるように思います。
そんな思考回路を促すために、親としてどこまで情報を提供するのか、どこまで主観的な意見を言うのか、なかなか難しい線引きだなと思いました。ましてや、まだ3歳の子供に対しては。
今回の難民の話題を通じて、子供への教育を考える上では、親自身の日々の学びや意識付けが大切だなと改めて思った出来事でした。

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