年々、夏が苦痛になる。
暑さもさることながら湿度に非常に弱く、梅雨入りするかしないかくらいの時期から
夏バテが始まる。
食欲が落ちて、何をする体力も気力もなくなる時期が残暑が終わる頃まで続くので、
一年の半分は自然と痩せて、寒くなり始めたあたりから再び丸みを帯びていくのだ。
一昨年の7月だったか、緩和病棟のベッドに横になった母が
見舞いに行った私をしげしげと眺めて
「あんたはしょっちゅう、肥えたり痩せたりするねぇ」と呆れた口調で言う。
それが、つい最近のことのようにも、遠い昔のことのようにも思える。
今年は三回忌で・・・とは言え、参列者は兄と私と私の息子の三人だけなのだが・・・
法事の数日前からかなり私の体調が悪かった。
結局、出発のギリギリまで様子を見たが、とても遠出できる気がしなかったので、
やむを得ず、母の好きそうな花や住職にお出しする菓子と懐紙を息子に託した。
体調が落ち着いたある日のよく晴れた週末に、せめてお墓参り行くことにした。
行きの電車のシートに座ってふと顔を上げると、ドアの端に立っている若い女性のシャツに
視線が釘付けなった。
一瞬、派手だなと思ったのは、全体に500円玉サイズくらいの赤い花が配置されていたからだ。
しかし、グレージュのような落ち着いた色味の生地に、白抜きの茎と葉、そして花弁の赤・・・
それもデフォルメされた花ではなく、かなり精密な描写で、とても美しいと感じた。
布はおそらくリネンで、程よい張りと厚みに見えて着心地も良さそうだ。
「このシャツ、欲しい!」
・・・私にはとても稀な感覚だった。
基本的に無地の黒、グレー、ネイビー、カーキなどの無難な服しか選ばず、
ましてや真っ赤な花柄とかアリエナイ。
この花は・・・その花弁やつぼみの形からすると、ひなげしかな。
葉はシダのようにも見えるけど、ひなげしの葉っぱってこんなカタチだっけ?
それにしても、どこのブランドなんだろう?
こんな特徴的な柄だったら、検索すればもしかするとすぐに見つかるかも?
流石に突然声を掛けて「素敵なシャツですね、これはどちらのブランドですか?」などと、
見ず知らずの人に尋ねられるほどのコミュ強ではない。
いや、私と同年代の相手であれば、かなり思い切ればできないこともなかったかも知れない。
が、相手は若い女性だ。
きっと「何、このおばさん!」とドン引きされるに違いない!![]()
あれこれ考えている内に、その女性は電車を降りて行ってしまった。
帰宅後、覚えている限りの情報と検索力を持って調査したところ、やや苦戦したものの、
ターゲットはちゃんと見つかった。
ただし、その情報は嬉しいが半分、がっかりが半分の結果となった。
最初に見つけたのは、私が探している赤い花柄の生地でブラウスを自作されていた方の
制作過程を公開しているブログの生地だった。
ただし、この投稿は5年前。
色違いも含む同じ生地の紹介をしているサイトにもたどり着いたが、
それも先のブログの半年ほど前。
つまり、私が探している生地自体は5~6年前に発売されたもので、
少なくとも現時点でこの生地が販売されているサイトは見当たらなかった。
メーカ製の製品ではなく、生地自体も既に販売されていないとなるともう詰みだ。
折角、珍しく華やかな衣類にインスピレーションを受けたのに。
まだ何らかの手段が残っているかも?
(興味があるごく狭い範囲では)納得できるところまで突き詰めたい性格なので、
次は同じ生地を使ってハンドメイドされている人に可能性を賭けてみよう。
そこで今度は「画像検索」を使ってみることに。
先ほど見つけた記事の写真のスクショを撮って、それと似た画像を検索してみたところ、
2つのサイトで別々の作家さんが出品されたものが見つかったものの、いずれも在庫なし。
その代わり、あるブランドで同じ生地で作られたシャツワンピースが、
複数のサイトで販売されているのを発見!
usedでも安価とは言えない価格なのと、流石に総柄のワンピースを着る度胸はないため、
いつもは即断即決の私も数日は悩んだのだが、同じ中古なら少しでも早く程度の良いものをと、
結局、えいや!で購入してしまった。
ワンピースとしては着ないし、私は洋裁はおろかミシンも不得意なので、
さて、これからどうしよう?
