インド準備銀行(中央銀行、RBI)は26日、2008年12月末時点の国際投資ポジション(IIP、速報値)を発表した。IIPとは印国内居住者が海外で保有する金融資産(対外金融資産)と、非居住者が印国内で保有する金融資産(インド側から見れば負債、すなわち対内金融負債)を一表にまとめたもの。言わばインドの対外的な「貸借対照表」だ。具体的な項目は、①直接投資、②証券投資(株式と債券)、③貿易信用、④貸付、⑤現金・預金、⑥外貨準備資金、⑦ その他、の7つで、外貨準備資金は資産側にだけ計上される。資産から負債を差し引いた純IIPは08年12月末で(-)801億米ドル。1四半期前(9月末、部分改定値)と同じ負債超過で、超過幅は(-)655億米ドルから146億米ドルほど拡大した。以下ではまず、資産と負債のそれぞれを項目別に見ていきたい。
資産の大半は外貨準備資金
資産から見ると、08年12月末の残高は総額が3,403億米ドルで、9月末との比較では167億米ドルの減少。内訳は直接投資が618億米ドル(前期比59億米ドル増)、証券投資が6億米ドル(同1億米ドル減、うち株式が6億米ドル、債券はゼロ)、貿易信用が36億米ドル(同30億米ドル増)、貸付が44億米ドル(同27億米ドル増)、現金・預金が71億米ドル(同16億米ドル増)、外貨準備資金が2,559億米ドル(同304億米ドル減)、その他が68億米ドル(同4億米ドル増)となっていた。
残高全体に占めるシェアは、直接投資が18.2%、証券投資が0.2%(うち株式:0.2%、債券:0.0%)、貿易信用が1.1%、貸付が1.3%、現金・預金が2.1%、外貨準備資金が75.2%、その他が2.0%。残高の絶対額とシェアの双方で外貨準備資金が圧倒的に大きいものの、上で見たとおり、9月末からは大幅(304億米ドル)に減っており、シェアも5.0%ポイント低下した。外国為替市場でルピー安が進行するのを阻止するため、RBIが米ドル売り、ルピー買いの介入を繰り返したからだ。同行は12月末までの3カ月間にネットで220億8,500万米ドルを売却。これが外貨準備資金から差し引かれており、同資金の減少に対する寄与率は73%に達している。
負債は直接・証券投資と貸付でバランス
負債に目を転ずると、08年12月末の残高は総額が4,203億米ドルで、9月末に比べて22億米ドルの減少。内訳は直接投資が1,233億米ドル(前期比19億米ドル増)、証券投資が934億米ドル(同87億米ドル減、うち株式が同92億米ドル減の708億米ドル、債券が同6億米ドル増の227億米ドル)、貿易信用が458億米ドル(同30億米ドル減)、貸付が1,152億米ドル(同85億米ドル増)、現金・預金が411億米ドル(同4億米ドル減)、その他が15億米ドル(同5億米ドル減)だった。
各項目のシェアは直接投資が29.3%、証券投資が22.2%(株式:16.8%、債券:5.4%)、貿易信用が10.9%、貸付が27.4%、現金・預金が9.8%、その他が0.4%。絶対額、シェアともに直接投資と証券投資、貸付の数字が近く、外貨準備資金に偏重している資産サイドと比べてバランスの取れた構成と言えるだろう。また、9月末からの変動では株式の減少が顕著だが、9月半ばに世界的な金融危機が勃発した後、外国機関投資家(FII)の間で手持ちのインド株を処分する動きが加速した結果だ。
次回は印IIPの特徴点を挙げるとともに、今後の推移を考えてみたい。(続く)(山崎俊雄・編集部)