私は「母の付録」

 

 

 

その当時の母は口癖はこうだ。

 

「お父さんが一生懸命働いたお金で、~」

 

当然である。

 

私は母の付録であるのだから。

 

 

 

 

 

 

 

小学生何年生かは覚えていない。

 

いつかの夏の日の事だ。

 

 

 

「冷蔵庫のスイカを切って、妹と二人で食べて」と母に言われた。

 

冷蔵庫からスイカを取り出し、適当に二人分切り、お皿に乗せた。

 

それにスプーンを付けて、妹へ出した。

 

 

 

 

夜ご飯中、急に妹が、「お父さん、今日お姉ちゃんが大き方のスイカを取って食べたのよ」と、父に言いつけるような口調で言った。

 

お父さんは、「そんな意地汚い」と小さな声でボソっと言った。

 

母は、驚いた口調で「まぁ、そんな事をして。普通は大き方を妹へあげるでしょ」と言った。

 

 

 

 

大抵の事では反応しなくなっていた私も、これは物凄くショックだった。

 

大声で怒鳴られた時より、何より、「意地汚い」という言葉がナイフのように心に突き刺さった。

 

これは、実際血の繋がった父親の言葉なら、右から左だろう。

 

母のセリフも追い打ちをかけたが、そんなにダメージはなかったからだ。

 

 

 

大きい方、小さい方、などという意識が私には全くなかったから、妹がそう思っていた事にも驚いた。

 

大人になった今思えば、子供独特のただのいたずら心で父にそう言っただけだと思う。

 

 

 

私には、食い意地というものはない。

 

美味しい物を食べたい欲求があまりなく、お腹がいっぱいになれば、そんなに激マズでない限りは大丈夫なタイプだ。

 

衣食住で言えば、一番お金をかけるのは「衣」のタイプで、かわいい洋服を見ながらご飯にふりかけで幸せだ。

 

 

 

 

 

 

 

「お父さんが一生懸命働いたお金で、本当の子供の妹じゃなく、私の方が大きい方のスイカを食べた」

 

本当に意地汚い事をしてしまったような気がした。

 

そんな自分がすごく嫌で恥ずかしくてたまらなかった。

 

 

 

他人が親になるとは、現実の生活の中ではこういう事の連続だ。