真太は想いをぶちまけた。ネットではものすごい批判が飛び交っていた。
「真太うぜー」
「関係ない奴が横から口出しするな」
「どうせ明人が真太に頼んだんだろ」
「自分の力じゃどうにもできないのかよ」
「人に頼むなんて卑怯な明人」
「嘘ばっか言ってるんじゃねーよ」
「真太って奴勝手に暴走しすぎじゃね?」
それを見た英次や初音は言う。
「あんたらのほうが嘘ばっかやん」
「俺もそう思う。口から出まかせであっきーを苦しめといて何が嘘言うなだよ」
ラジオでもネットでの批判とは裏腹に多くのファックスが寄せられてきた。
「先ほどの真太さんのラジオでの叫びに対して私も本当にあっきーこと明人さんに対してのことすごく許せないと思いました。発達障害が原因で人と同じようなことができないことがあるのに、ご家族も明人さんのことを全く理解しないで頭ごなしに明人さんのやることを否定し、コミュニケーションができないことをいいことに過去のことはすべて明人さん一人の責任にするなんてはらわたが煮えくりかえりました。しかも、学校の教師もそれに加担をしていたなんて、集団いじめもいいとこですし、理不尽すぎますね。そのことに関して、多くのファックスが寄せられていますので紹介します。」
これを聴いていた英次と初音は言う。
「そりゃそうやろ。だってあっきーが受けてたことほとんど強要といじめと理不尽やん」
「私も思った。家族も酷過ぎるよ。虐待と一緒やし」
「多くの人があっきーのこと分かってくれてるといいけどね」
「紹介します。まずはラジオネームおおたきひかるさんからのファックスです。」
「真太さん、よく言ったと思います。最近ネットもそうだけど、人と違うからと言ってそういうのを排除しようとする奴ら。本当に狂ってますよね。やってることは理不尽極まりないですし実際、僕の友達はいじめを受けてどうしようもできずに学校を転校してしまいました。全部、加害者や地域と学校側がもみ消したんですよ。酷いですよね。ただ、明人さんと違っていたのは家族の理解があったかなかったか。その差だったんです。いじめを受けた友達は家族の理解があり、引っ越すことができたんです。また、精神疾患で強迫性障害というものがあるのですが、それも早期発見でき、治療まで的確に行われ今は、明るく社会人としての第一歩を踏み出しています。それがうれしくて、今はその彼とたまに居酒屋で楽しく飲んでいます。理由もなく、いじめをするものもそうですが、全く理解をしない家族は言語道断です。明人さんも明るい日々を送れることを心から祈っています」
「本当にその通りです。少なくとも誰かが理解しないとこういう原因を断ち切ることなんてできないですよね。いじめを受けて、もみ消されるという理不尽。それをいいことにまたいじめを行う。そうなったら住んでいる環境を変えないとどうしようもないですよね。続きまして、ラジオネームあかりさんからのファックスです」
このように、明人に対する応援と真太に対してのねぎらいのファックスや「スカッとした」といった内容のメッセージが番組終了まで多く寄せられてきていたのだ。
ネット、2ちゃんねるでは、「おかしい」だとか「納得いかない」などといった内容の発言が多く、中にはラジオの司会者に対して「擁護してるんじゃねーよ!」といった内容の書き込みも多くみられた。しかし、ここで芸能人がこの内容に対して初めて介入してきた。
黒崎美来だ。ブログでこう言った書き込みをしていた。
「福岡で、あるラジオ番組をたまたま聴いていました。聴いていて思いました。いじめを受けていて、その根本的な原因が発達障害にあった。それを全く理解しない地域や学校側、その障害が原因でコミュニケーションがうまくとれないことをいいことに、被害者だけの責任にして丸投げ、もみ消し。さらに家族の無理解。そして家族や学校側の強要行為に、行き過ぎたしつけ。被害者の方がものすごくかわいそうだと思うと思わず涙が出てしまいました。これ、家族も含めて本当に被害者に全員土下座ものだよね。いじめをしている人たちの頭の構造がよくわからん。私だったら自殺してるか、一人だけで家を出てできるだけ遠くに離れていると思う。被害者の人もよくここまで耐えたと思うし、ラジオで告発してくれた人もよく言ったと思います。被害者の彼が、明るい未来を送れることを私も祈っています」
その書き込みにファンは驚いただけでなく、そのままリンクをシェアしている人たちも多くみられた。それだけ、真太の告発が大きなものだったのだ。
(28)に続く。