イムズガーデンにある飲食店で軽くランチをとりながら話が始まった。
「まずは、小説の大ヒット、テレビ出演おめでとうございます!!わたしもビックリしましたよ。」
「いえいえ。」
「しかも来年春に映画化されるそうですね!!」
「そこまで行くとは思わなかったっす。」
そう。祐介の小説は平成二十五年五月に映画化されることが決まった。
「郷田さん。郷田さんは、わたしは悪い人だと思っていませんでしたよ。ネットではあんな酷いこと書かれていますけど。当然わたしはあんなの書いてないですし、あそこにいた人間でそういうこと書いている人がいたというのが信じられないくらいです。むしろ、ああいうことする奴のほうが嫌いです。」
意外なことを知った祐介。まだ、前職の同僚からの話は続く。
「郷田さんは、仕事でも思っていたんですが、不器用ですよね。それでも人にすごく優しかったの覚えています。その優しさと、潔さをどうしてもっと上手に使えなかったんですか??それをうまく使えていたら、あんなことにはならなかったでしょうし、今でもあそこで続けれていたかもしれなかったのに、残念というか、もったいないです。フェードノートもされてるようですね。プロフィール見たんですけど、同じ年じゃないですか。今のやりとりもたまに見ていますが、今すごくいい仲間たちがいるじゃないですか。ボランティアの人たちに今の郷田さんの職場の同僚さんといい、わたし、今郷田さんがすごくうらやましいです。その今のつながりの人たちを、ぜひ大事にしてください!!きっと郷田さんならできますよ。」
意外と楽しかったランチタイムも終わり、その元同僚と別れた。フェードノートで友達申請が来たのですぐに承認するとメッセージが来た。
「郷田さん、わたし、応援していますよ!!頑張ってください!!」
前職の意外な人からの応援だったので余計にうれしかった。
やがて夕方六時を回った。祐介はいつものように天神のドトールコーヒーでワッフルとコーヒーを頼み、いつもの二階の禁煙席でくつろぐ。その十分後くらいだった。
「やっと見つけた!!やっぱりここだったんだ。」
「・・・・・・っ!!」
声が出なかった。足が動かなかった。逃げられなかった。逃げるなら完全アウェーだった。そして、動悸が激しくした祐介。
「祐介君、久しぶり。」
「・・・・・・ひ、久しぶり。」
小夜子と加奈がついに祐介と邂逅した。彼女の訴えが祐介に突き刺さろうとしていた。
(32)に続く。