その後日、またさらに祐介に攻撃をしてきた輩が出てきた。

そう。祐介の前職の人間だ。

三人の社員に囲まれた。そのうちの一人はテレビにも出演経験が豊富なスタッフだ。

「あんな派手に書いておいて逃げられると思うなよ??」

「中山祐太っていうお前の友達とか言う奴も気に食わんな。」

「黙ってあんな派手な作品書いておいて、うちらは全国の恥さらし。マジふざけんなよ??分かってるの??」

「あんなこと書くなら竹内に直接言え!!人を馬鹿にするな!!」

矢継ぎ早に三人の社員から言い固められる祐介。

さらに、元上司の社員のこの一言も凍りつかせた。

「本当に調子こきやがって。ふざけんのも大概にしておけよ??」

と、その彼が祐介に手を出してきたその時。後ろから社員を羽交い絞めにする一人の男がやってきた。ボランティアで知り合った男の一人と、見慣れないサラリーマン風の男だ。

「放せ!!何をするんだ!!」

「みっともないですよ??大の大人が三人で寄ってたかって一人の弱者を攻撃するなんて、恥を知れよ!!というより、寒いことしてんじゃねーよ。」

「くっ。覚えとけよ。いいか??お前の出した小説、あれはやり方が卑怯すぎる。正々堂々と勝負しやがれ!!」

と捨て台詞を残し男女三人の社員は去っていった。

「これで、いいんですよね。宏さん。」

「うん。ばっちり!!」

宏がやってきた。どうやらさっきのやり取りをたまたま見ていたようだ。

「ごうちゃん。ああいう奴ら気にしちゃダメだよ。あの人たちは、ただ自分のやった愚行を隠ぺい、改ざんしたいだけやけん。」

「そういうことですよ。郷田君が気にすることなかけん。」

このように、祐介の本が売れたことにより、祐介を僻んで批判する奴らも出てきた。

仕事が早く終わって祐太のカフェでご飯食べていた時も、常連のおじさんからネット掲示板を見せられたのだが、ネットでも祐介批判をする輩がいた。

「俺たちはこれが適切でやってるだけ。この書き込みも。」

「祐介はみんなのライフのレールから外れていた。ただそれだけのことなんだ。」

「外れてた??俺が外れてただと。」

「クラスにもいるだろ、一人や二人くらいズレた奴。祐介はまさにそれ。そんな奴と関わり合いになりたくないし。」

「ハブられたことを腹いせにあんな話書くんじゃねーよ。」

「あの人はウザいのは確か。でも運もあったんじゃないの??」

「確かに。こんなとこに生まれてきたのが運の尽き。しかも、病気、障害持ちらしいよ。」

「それは知らなかった。要するにガイジだったんだ。親もバカってことか。」

親を馬鹿にされた書き込みもあった。でも確かに運もあるかもしれない。でもそれを抜きにしてもやりすぎだ。祐太も呆れてこう言った。

「運ねぇ、そうだとしても、やりすぎだ。この書き込みはやりすぎだ。それだけしておいて、俺がラジオであれだけ訴えたのに、まだ懲りずに書いてやがる。本当にバカだな。しかも適切なやり方だったって、どう考えても適切じゃないだろ。ただの言い訳か自分を美化するための逃げ口上じゃねーか。そして祐介の本が売れた腹いせに書いてるだけやん。」

そんなある日。祐介は仕事が休みで、天神に遊びに来た。博多方面を歩いていると、ただならぬ殺気がした。そう。ベイサイドプレイスで感じた悪寒と一緒だった。

ついに祐介は、見かけてしまった。小夜子と小夜子の友達の加奈を。

二人の反応やきついこと言われると思っていた祐介は顔を真っ青にし、さすがに走って逃げるのは子供の喧嘩だし大人気ない。

いろいろな想いを持っていた。祐介は小夜子たちが、気がついてないのを利用し、気配を最大限に消しその場を去った。しかし、気配を消した瞬間、小夜子が気づいてしまう。

「あ!!あれって!!」

「どうしたの??さよ??」

「祐介君!!」

「祐介君って、あのネットでも噂になってる小説家の人??」

「う・・・・・・。」

「やっぱりそうなのね。隠しても無駄よ。嘘つくのさよ下手なの分かるから。」

「わたし、あの人にずっと言いたいことがあるの。言わないとわたし、ずっと犯人扱いされる!!ずっと恨まれる!!それに、小説のネタにしてるヒロイン。あれわたしなの!!」

「・・・・・・!!」

「わたし、言わなきゃいけない!!あの人に思っていることとは違うってことを!!」

「さよ!!わたしも手伝う!!」

こうして小夜子と加奈は動いた。

「絶対祐介君に言わんといかんね。一日でも早く!!」

祐介は天神のイムズ地下二階に来ていた。気分の悪さは収まっていた。

「なんで、こんなときにあいつが!!」

そう思っていた、その瞬間だった。

「郷田さん、お久しぶりです。ちょっとお時間いいですか??そんなに怖がらないでください。大丈夫ですよ。」

優しく声をかけてきたのは祐介の前職の同僚の一人だ。クールな女っていうイメージがあった。意外な再会をした祐介の長い一日がここから始まろうとしていた。


(31)に続く。



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