湘南ワインストーリーの放送後記

湘南ワインストーリーの放送後記

レディオ湘南のラジオ番組「湘南ワインストーリー」のアーカイブ専用ページ。
番組で放送できなかったエピソードなどをご紹介していきます。

Amebaでブログを始めよう!

高橋葡萄園は、岩手県花巻市大迫町(はなまきし・おおはさままち)でワイン造りを営んでいますが、まだ自社のワイナリーがありません。自社畑で3種類のぶどうを栽培し、2012年から本格的に委託醸造でオリジナルブランドのワインをリリース。岩手のエーデルワイン、自園自醸紫波ワイナリーの醸造担当、責任者を務めるなど栽培・醸造の経験が豊富で、委託醸造ですがほぼ高橋さんが管理しています。オーストリアで1年半ワイン造りを学んだ経験もあります。現在、自宅敷地内に自分のワイナリーをつくるための準備を進めています。ワインの味もさることながら、なんといっても高橋さんは人柄が素晴らしく、個人的に好きなワイン生産者のひとりです。

第9回放送でご紹介した高橋葡萄園の白ワイン「リースリング・リオン 2013」は自社畑で育てられたリースリング・リオンを使って作られています。リースリング・リオンはリースリングと甲州三尺との交配種で岩手の土地柄にあった品種といわれています。キレのいい酸が特徴的で、ライムやスダチなどの柑橘系の香りと青りんごの爽やかで伸びのある果実の風味。どこか日本人の心の中にある“ふるさと”を感じさせてくれるような、優しさがあります。どのような経緯でその味わいに至ったのか・・詳しくは番組オンエアーダイジェストをお聞きください。

 

番組オンエアーダイジェスト「第9回放送」

 

高橋葡萄園がつくるワインは現在3種類。「リースリング・リオン」のほか、同じく白ワイン品種の「ミュラートゥルガウ」、そして赤ワイン品種の「ツヴァイゲルトレーベ」。樹齢は18年と高く、樹生も安定しています。ぶどうの風味をそのまま生かすため、無濾過・無添加で仕込んでいます。

こちらはリースリングの畑です。マンズレインカット(雨よけ垣根栽培)を採用しています。除草剤はつかっていません。

この日は天気が良かったので、青空とぶどう畑のコントラストがとても綺麗でした。

実も膨らんできています。収穫は全体的に遅めで、特にリースリング・リオンが最も遅いそうです。

土ごと発酵という栽培方法を採用しています。地中の微生物を活性化し、肥料管理によって枝の強度を増し病気や暑さに負けないぶどうをつくる。そうしてできたぶどうは、味の濃さが全然違うそうです。もともと川だった場所なので石がごろごろ、水はけがいいので、ぶどう畑としてはいい状態です。

葉っぱをみると生育状態が分かります。それほど大きくなく、しっかりとつやがあり、葉脈が先端まで同じところから伸びているのは、病気に強く健全に育っている証拠です。養分などが足りなくなると葉脈の枝分かれがばらけてきてしまうそうです。

岩手は地質が古く、水がきれいでぶどうの生育にもいい。大迫町は市街地化していないので、ぶどう畑の周辺はのどかな田園風景が広がっています。

高橋さんの自宅の作業場で試飲させていただきました。窓の外に広がる田園風景を眺めながらティスティングしているとほんとに美しい景色で、少し小高い場所にあるので心地よい風も吹き込んできて、岩手の気候風土ならではの味わいがより身近に感じられる、楽しいひとときでした。

こちらが作業場の窓の外に広がる景色です。思わず吸い込まれそうになるほど美しいグリーンです。岩手の農家も高齢化が進んでいて、辞めていく農家もでてきています。将来的には農家でもワイン用ぶどうできちんと生計が立てられて、続けられるようにしていきたい。大迫町のぶどう産業を残して継いでいく、地域の食文化のひとつとして守っていきたいという思いで今後も地元に根ざしたワイン造りを続けていきたいそうです。

ワインも農作物です。自分で生まれ育った場所でつくるからこそ、何か肌で感じるものがあるともおっしゃっていました。まさに「ワインはふるさと」ですね。

2015
年には自宅の敷地内にワイナリーを建設予定です。現在の生産量はトータルで2800本程度ですが、ワイナリー設立後は1万本ぐらいまで生産量を伸ばしたいそうです。来年の春にはピノノワール、リースリング、カベルネフランを植える予定です。高橋さんが造ったワインを飲みながら、ワイナリー完成を心待ちにしたいと思います。そして、ワイナリー完成後にどんなワインが造られていくのか、今後の動向に注目していきたいと思います。

 

【ワイナリー情報】
高橋葡萄園
028-3204 岩手県花巻市大迫町亀ヶ森第47地割4番地
TEL : 090-6220-6671

 

文:tack

ルミエールワイナリーは、山梨県笛吹市一宮町(ふえふきし・いちのみやちょう)でワイン造りを営むワイナリーです。ミエールはフランス語で「光」を表すように、ルミエールワイナリーはとても美しいワイナリーです。社長の木田茂樹さんは5代目、元工業デザイナーということで、いたるところに高い美意識を感じます。

敷地内にはフレンチレストラン「ゼルコバ」があり、山梨の食材を使った旬の料理と、地元のワインを味わうことができます。都会の喧騒を離れ、自然の中でゆったりとしたひとときを過ごす、なんとも贅沢な時間を楽しめる環境がルミエールワイナリーには揃っています。また、従業員も半数近くが女性という、女性が活躍するワイナリーでもあります。

第8回放送でご紹介したルミエールワイナリーのスパークリングワイン「ルミエール ペティヤン2012」は南野呂の甲州ぶどう100%を使った、瓶内発酵の本格的なスパークリングワイン。2007年から一般販売スタート。IWC(インターナショナルワインチャレンジ)で銀賞を獲得、また世界的に権威あるロンドンのワイン専門誌「デキャンタ誌」のコンペでも銀賞を獲得するなど、世界的にも評価されているワインです。瓶内発酵ならではのきめ細かいクリーミーな泡、甲州が持つグレープフルーツ、レモンといった柑橘系の香りや、桃、ナシといった果物のやわらかい風味を繊細に表現。泡の感触を楽しみながら、すっきりとしたフィーリングを感じてもらえます。どのような経緯でその味わいに至ったのか・・詳しくは番組オンエアーダイジェストをお聞きください。

 

番組オンエアーダイジェスト「第8回放送」

 

「ルミエール ペティヤン」を「日本のシャンパーニュ」と表現するほどスパークリングワインが大好きな木田夫妻は、特に繊細な泡が好きで瓶内発酵で本格的に作りたいという思いがあり、スパークリングワインに対して熱い情熱を注いでいます。

ワイナリーの前には自社畑が広がっています。ルミエールワイナリーの美意識は、畑の美しさにも表れています。夏にはブドウの木のトンネルが出来るという、棚フェンスを利用した垣根栽培。手前にメルロー、甲州、奥にはシャルドネが植えられています。

ワイナリーを訪れたときは、ちょうど実が膨らみ始めていました。

少し歩くと今度はジェノバカーテン式の畑が見えてきます。こちらにはミルズ、ベリーアリカントA、メルロー、カベルネソーヴィニヨンなどが栽培されています。

この畑のカベルネソーヴィニヨンだけで作ったワインもありますが、タンニンも柔らかく日本ならではの繊細でバランスのいい味わいになっているそうです。

ルミエールでは、2004年からビオディナミを導入。自然のサイクルを大切にした草生栽培で、畑には自然な強さが宿っています。

畑の土を触ると指がすーっと入っていくほど、何年もかけて幾重にも積み重なった草のクッションが利いていてやわらかく、水はけもよいので、ぶどうの生育にとてもいい状態に保たれています。

この辺りはルミエールの中でいわゆるグランクリュにあたる上質な畑。最上部にはテンプラニーリョが栽培されていました。その他、プティマンサン、タナ種など30種類あまりのぶどうを栽培。温暖化が進行する中で、つねに環境にあったぶどうの栽培を模索しています。

78年前に新しくしたという醸造所。8月のシードルの仕込みスタートまでしばしお休みです。その間も掃除はせっせとやっています。サーマルタンクがまだない時代にどうやってワインを造っていたか・・その名残を残しているのが石蔵発酵槽です。

全面が御影石で出来ている発酵槽。1つで8000本のワインができるぐらいの大きさです。ルミエールには10個あったそうですが、今でもそのうち1つを9月の第3土曜日のイベントの際に使用しています。参加者みんなでマスカットベリーAを使って石蔵発酵槽で「石蔵和飲」というワインを造ります。発酵槽は地下にあり、まわりに地下水が流れているため、発酵の際に温度が上がらず自然に低温発酵が出来ます。

この石蔵発酵槽は国の登録有形文化財にもなっています。

地下の樽発酵室の入口にもロゴ入りのガラスの扉があって、とてもお洒落です。

シャルドネ、デラウェア、甲州などの高級ラインをフレンチオーク樽で発酵しています。9月~10月頭の発酵中にはそれぞれの樽の発酵栓がポコポコと可愛らしい音をだして何とも心地よいアンサンブルを奏でるそうです。

元コンクリートタンクがあったという奥の樽熟成庫には産地やクラス、品種ごとに分けて約300程度の樽が貯蔵されていました。また、ルミエールではワインに余計な負荷を与えないよう、重力に従って優しく果実やワインを移動させる“グラヴィティ・フロー”の方法を採用しています。細やかなワイン愛を感じますね。

1階のショップでは、ルミエールのワインを購入することができます。

併設のカウンターでは試飲することもできます。

傍らにワイナリーの歴史を辿る資料コーナーもありました。

テラス席もあるので、天気がいい日はワインを片手に美しい葡萄畑を眺めるのも気持ちよさそうです。

ショップの横にはレストラン「ゼルコバ」があります。「ゼルコバ」は英語で「ケヤキの木」を意味します。

葡萄畑を眺めながら美味しい料理とワインを楽しむ、なんとも贅沢な時間が過ごせます。

通路に社長の手作りのアート作品がさりげなく置いてあるところもニクいですね。隙間から漏れる光すらお洒落に感じてしまいます。

試飲させていただいた離れは、以前ゲストハウスとして使っていたそうで「ゼルコバ」が出来る前は、奥様の手料理でゲストをおもてなしされていたそうですよ。

大きな窓の外にはルミエールのグランクリュ畑が広がっています。

柔らかな光に満ちた落ち着いた空間で「ルミエールペティヤン」を飲むと、何ともいえない平和な気分になりました。

「良いワインは良いぶどうから」というように「土地の味」を追求し「自然な味」を大切にするルミエールのワインは、日々の食事にさりげなく寄り添い、和やかな時間を演出してくれる優しいワインだなと思いました。今後のルミエールワイナリーの動向に注目していきたいと思います。

 

ぜひ一度ワイナリーに足を運んでみてはいかがでしょうか。

 

【ワイナリー情報】

ルミエールワイナリー

405-0052 山梨県笛吹市一宮町南野呂624

TEL0553-47-4624 (レストラン Zelkova【ゼルコバ】直通)

TEL0553-47-0207 (ルミエールワイナリー)

 

文:tack

麻屋葡萄酒は大正10年創業、90年以上の歴史を誇る代々家族経営の老舗ワイナリー。昔ながらの「地域の人が一升瓶のワインを持ち寄って飲む」という文化を継承しつつ、かたや欧州系の品種を取り入れて世界と勝負できるワインを作るなど、幅広い商品ラインナップを揃えています。

現在、自社畑や契約農家合わせて14の品種を育てていますが、品種は絞りながら、時代に合ったワインづくりを心掛けています。ブランデーの免許も持っており、いつか蒸留所も復活させたいと思っているそうです。

第7回放送でご紹介した麻屋葡萄酒の白ワイン「1016」は、契約農家の単一畑の甲州ぶどうのみを使って作られた特別限定醸造のワイン。現在は「天野さん」という農家さんのぶどうのみを使って仕込んでいます。「1016」は仕込んでいるタンク番号。産地の個性をより強く打ち出すため、農家さんと二人三脚で高いモチベーションを持って、より高い品質を目指しています。一言でいうと、「畑でぶどうを食べたときの味がするワイン」。白桃や和ナシのニュアンスが感じられます。雨宮さんが果実感150%と表現するとおり、ぶどうが本来もつピュアな果実感をそのままシンプルに表現したワインです。どのような経緯でその味わいに至ったのか・・詳しくは番組オンエアーダイジェストをお聞きください。

番組オンエアーダイジェスト「第6回放送」


1016」のエチケットに農家の「天野さん」の名前を入れるのは、ぶどうを造る農家さんの思いを大事にしたいからで、これは麻屋葡萄酒が先がけだそうです。また、委託醸造で地域の農家さんとのコラボワインを造るなど、農家さんとの関係を大切にしています。写真は勝沼町菱山地区の三森農園さんとのコラボワインです。

醸造所では、まだ仕込み前の静けさがあります。使い込まれた味のあるホーロータンクが並んでいます。7月からは仕込み準備で機械のメンテナンス、試運転、洗浄・殺菌をやっていきます。

樽はフレンチオークとアメリカンオークもあり、品種によって使い分けをしています。

昔のコンクリート製タンクの上に建てられたという売店には、いつも心地いい音楽が流れています。昔のワイン造りの道具なども展示されていて、とても居心地のいい空間です。

窓から差し込む陽の光と木の温もりが感じられる雰囲気で試飲は自由にできますので、音楽とワインに耳を傾けながら、ゆったりと過ごせます。

自社畑は全部で6か所。勝沼町内に4つ、山梨市に2つあります。試験的に栽培しているものを合わせると、欧州系のものを入れて14種類ぐらい。全体の2割程度。契約農家のぶどうが8割になります。

白は甲州、シャルドネ。赤はベリーアリカント(主に補助品種として使用)、アジロン、プティヴェルド、メルローなどがメインです。

雨が多いときは、草を伸ばして水分を草に吸ってもらって。昨年は猛暑時期は枝を落としすぎず日よけにするなど、天候に合わせて畑の状態を調整しています。次の世代が栽培しやすいように、新短梢栽培に力を入れています。

石碑には「土地感覚」という文字が刻まれています。「地域に根ざした仕事をしろ!」という教えが込められています。ポリシーは曲げずに柔軟な発想で時代の変化に対応していく。

サンジョベーゼやテンプラリーニョも試験的に栽培していました。

これは娘さんが書いた看板だそうです。10秒まで表現するあたりが何かいいですね。

看板を頼りに1分10秒ほど歩くと・・こちらの酒屋も麻屋葡萄酒のお店です。中に入ると昭和レトロなアイテムが目につきます。

ボンカレー、その時代を生きていたわけではないですが、何とも言えない懐かしさがあります。

そして、店の中央にある蓄音機。これ、今でも聴けるんです。実際に聴かせてもらいました。手で回して・・超アナログです!

壁にはワインの木箱が敷き詰められていました。生ワインやぶどうジュースも販売してましたよ。

右は雨宮さん。左には醸造責任者の清水さん。番組用のコメントは清水さんにいただいたのですが、後ろから見守る雨宮さんの優しい眼差しが印象的でした。

間前掛けにある「滋養」「美味」の文字。昔からワインは「滋養強壮」に良いとされて地元民に親しまれてきました。麻屋葡萄酒のワインは「人間味あふれる滋味深い」ワインでした。ワインは「ワイナリーの歴史や思いまで、全てを映し出す鏡のようなもの」。100周年に向けて、自社畑の整備や次世代のための環境整備、タンクもステンレスに切り替えるなど、設備面でもストレスのないワイン造りをするための環境整備が必要だと語ってくれました。これからも、蓄音機のようなアナログで温かいワインを造り続けて欲しいと思います。

ぜひ一度ワイナリーに足を運んでみてはいかがでしょうか。

 

【ワイナリー情報】

麻屋葡萄酒
〒409-1315 山梨県甲州市勝沼町等々力166番地
TEL:0553-44-1022 FAX:0553-44-1023


文:tack

まるき葡萄酒は明治24年に創業。現存する日本最古のワイナリーです。日本人として初めてワインの醸造技術を学びにフランスへ渡った土屋龍憲が初代当主。2013年社長が交代されてからの大規模な改修工事によって、醸造所や樽貯蔵庫などの設備を新しくして増産体制も整えており、スピード感をもって新しいことに次々とチャレンジしている注目のワイナリーです。

るき葡萄酒は、「日本食に合うワイン」造りを大事にし、「甲州」「マスカットベーリーA」を中心に、最近では「ブラッククイーン」と「カベルネソーヴィニヨン」を交配して生まれた醸造用品種「甲斐ノワール」という品種にも力を入れています。

売店2階のテラスからは、甲府盆地が一望できます。この日は雨空でしたが、晴れた日は壮観でしょう!勝沼のワイナリーで一番の眺望ですね。

自社畑にはマスコットの可愛らしい羊がいます。毛刈りをしたばかりで、一瞬ヤギかと思いました。ベースにあるのは「サスティナビリティ」。この羊たちが雑草を食べ、糞が飼料になり、畑の状態を良くしていく。持続可能な葡萄の生育環境を整えていくことを大切にしています。

第6回放送でご紹介したまるき葡萄酒の白ワイン「自園ブラン2012」もそんな自社畑で育てられた甲州のみを使って作られています。2013年からは「レゾン甲州」と商品名を変え、エチケットもリニューアル、容量も750mlに作り替えています。ひとことで言うと、「優しい爽やかなワイン」。みかんやかぼすといった和の柑橘系の爽やかな香りが特徴的で、程よい酸があって、バランスの取れた優しい味わいです。どのような経緯でその味わいに至ったのか・・詳しくは番組オンエアーダイジェストをお聞きください。

番組オンエアーダイジェスト「第6回放送」


まるき葡萄酒ではまさに大改築工事の真っ最中でした。

醸造所も増築して、従来のホーロータンクに加えて、新たにステンレスタンクを導入するなど増産体制を整えています。最近は畑単位での小さな仕込みを多くするため、比較的小さめのタンクを導入。8月から早速デラウェアの仕込みが始まります。

スパークリング用の設備も新たに導入され、瓶内二次発酵の本格的なスパークリングを仕込めるようになりました。商品にもスパークリングがラインナップされて選択肢の幅も広がりますね。瓶詰ラインも夏には新しい機械が導入されるようですよ。

樽貯蔵庫もリニューアルされて、温度コントロールも出来るようになりました。樽はブルゴーニュタイプとボルドータイプの2つを使用しています。樽香をつけすぎないためのステンレスの樽もありました。

醸造所の裏には自社畑があります。現在、甲州、マスカットベリーA、カベルネソーヴィニヨンの3品種を栽培しています。

自社畑の葡萄は、不耕起草生栽培によって極力農薬を使わず作られています。

上の写真がマスカットベリーAの畑です。

地下の貯蔵庫は50年前ぐらいにつくられたもので、傾斜地にあるので地下2階ぐらいにあたります。昔はテイスティングルームに使っていたそうです。

薬袋さん曰く、テーブルの上の考える人はまさに赤ワインを飲もうとしていて、ボルドータイプとブルゴーニュタイプのグラスのどちらで飲もうか考えている人だそうです。笑

足元には湧き水が通っており温度と湿度を保っています。夏の暑いときだけスプリンクラーで水を撒いています。

歴代の古酒がずらりと並んでいます。1960年代のものから4万本近くあります。昔は王冠で栓をしていたのでワインの酸で腐食して穴が空いて漏れ出してしまいました。今残っているものは一升瓶にコルクを打って王冠をしています。ほとんどが甲州の甘口。辛口よりも甘口の方が寿命が長い。これらの古酒は20年経ったときに古酒として販売。現在は1972年~1994年までヴィンテージが揃っています。甲州の古酒はシェリー酒のような味わいになります。50年くらい経つとブランデーのようなニュアンスになってしまいます。現在は甲州の辛口が流行っていますが、もっと古酒に注目が集まってくると面白いかもしれません。ものすごく感動する味わいのものと、そうでないものとばらつきはあるそうですが、あまりよくないものは酸化が進んで苦みが増してくるため、飲みづらくなってしまいます。

商品ラインナップは多彩です。一部、試飲させていただきました。全体的に香りがとても華やかです。今後はスパークリングなども加わり、さらに面白くなりそうです。今後は自社畑を広げていくことが目標。シャルドネやメルローはまだ作っていないので作りたいと思っていますが、まずは山梨、日本にあるぶどう品種を順次見直して、和食に合うワインを広げていく。そんな中でもう少し重たいワインが好きな方向けには、シラーなどの品種を使って作っていく。そうやって少しずつ自社畑を広げていければいいなぁと展望を語ってくれました。自園のマスカットベリーA100%のワインも作ってみたいそうです。個人的にも非常に楽しみです。

薬袋さんはずっと柔道をやってきた武道家だったそうで、得意技はなく相手の変化に合わせるタイプ。そして今はぶどうでワインを作る葡萄家。ワイン造りでも無理に味を造るわけではなく、その時の一番いいところに着地させるスタイル。一生「ブドウ家」でいたいんです!笑いながらそう語ってくれました。

ワインは売店で購入することができます。

売店にも羊グッズが沢山ありました。畑の羊を見に行くだけでも癒されそうですね。

実はまるき葡萄酒にはお気に入りの逸品があります。それが「スモークド・タクアン」。ぶどうの木を含むチップでタクアンを燻製した、まるき葡萄酒特製のおつまみです。独特のスモーキーな香りと香ばしくも優しい味わいが甲州ワインにもよく合います。

番組では醸造責任者薬袋さんから聞いた話をもとに、まるき葡萄酒のワイン造りに対する思いやこだわりをお伝えしてきましたが、大規模な改修工事を終えて新しい設備で造られた2014年のワインはどんな味わいになるのか。そして甲州の本格スパークリングはどんな味になったのか。まるき葡萄酒の今後の動向に注目していきたいと思います。

ぜひ一度ワイナリーに足を運んでみてはいかがでしょうか。

 

【ワイナリー情報】
まるき葡萄酒
409-1313 山梨県甲州市勝沼町下岩崎2488
TEL0553-44-1005FAX0553-44-0650

 

文:tack


シャトー酒折ワイナリーは19915月開業、23年目を迎える比較的新しいワイナリーです。大正創業の輸入洋酒を扱ってきた「木下インターナショナル」によって建てられました。日本を代表するワイン産地、山梨県甲府市を一望できる風光明媚な酒折の高台に位置し、快晴の日には南アルプスが一望に見渡せます。


シャトー酒折では、甲州とマスカットベリーAに注力しています。マスカットベリーAは、日本の固有品種としてO..Vでワイン用ぶどう品種として認定され、国際的にも注目の品種になりました。シャトー酒折のワイン造りに対する考え方は多くのワイナリーが考えるように「ぶどうにこだわる」わけではありません。大量生産を目的に設備を作ったために、少量のこだわりぶどうでワインを作るのが難しい。ただし「いいワイン」はどんなワインなんだというのを考えたときに、必ずしも高いワインでなくてもいい。普通のブドウから安くて美味しいワインを作っていく、つまり「美味しいデイリーワイン」を作ること。醸造責任者の井島さんが理想とする「いいデイリーワインというのは、晩ごはん時に1本空くワイン」なんだそうです。

第4回放送でご紹介したシャトー酒折の赤ワイン「マスカットベリーA樽熟成2011」も「いいデイリーワイン」代表のような非常に飲みやすくてスルスル飲めてしまうワインです。しかも華美なキャンディ香や嫌な雑味が一切ない、ホントにピュアでキレイなワインに仕上がっています。どのような経緯でその味わいに至ったのか・・詳しくは番組オンエアーダイジェストをお聞きください。

番組オンエアーダイジェスト「第4回放送」


シャトー酒折で大事にしているのは「掃除」です。ワインは水を一滴も使わずに作るため、素材の味が出やすいお酒です。普通のブドウから美味しいワインを作ろうと思ったとき、ポイントになるのは「掃除」だけ。大きな設備の部品、機械器具やタンク、ホースといった部品を全て分解して徹底的に洗うそうです。そのため、掃除の時間が仕事の半分以上を占めます。結果、雑味の少ないピュアなワインが生まれてくるんです。

実際の洗浄作業のやり方についてもお聞きしましたが、非常に細かい作業です。

画像に丸い水槽が2つありますが、左の水槽で強力なアルカリ性の洗剤に漬け込んで、まず汚れを浮き上がらせます。赤ワインの色素もすぐ取れちゃうほど強力です。細かい汚れはスポンジや歯ブラシで丁寧に取り除きます。水で洗ったあと、右の水槽でクエン酸に漬け込んでアルカリを酸で中和します。その後にもう一度水洗いをして使います。そうすることで掃除後もワインの酸を損なわずにすみます。飲みやすいワインを作るには、この手間が欠かせないんですね。シャトー酒折ではこの洗浄作業をポンプ、ホース、タンクなどの器具の使用前と使用後にみっちりと行っています。世界的にみるとカリフォルニア、オーストラリアやニュージーランドなどの南半球のワイナリーは同じような洗浄作業を行っているそうです。

日本の酒造りは日本酒が基本になっています。日本酒は熱を結構つかいますが、ワインの場合は熱を一切加えないので、洗浄がおろそかになると菌が発生しやすい。日本は高温多湿なので余計にデリケートになります。洗浄をやり続けることで汚れが付きづらくなるそうですが、シャトー酒折の醸造設備をみると、本当にピカピカに磨き上げられています。

「マスカットベリーA 樽熟成」の発酵には8トンを一気に発酵できる写真の黄色いタンクを使っています。酸素を供給する手間はかかりますが、撹拌する手間は楽になります。

貯蔵タンクは温度管理を10度で管理していますが、少量だと酸化が進みやすいので満量まで入れたいですが、タンクが大きくてなかなか満量にできないので、酸化防止のために毎日帰るときにドライアイスを入れて、炭酸ガスの膜を作っています。

貯蔵庫は年間通じて17度以下になるような温度管理をしています。湿度は60%程度。湿度を調整するのは、一般的にコルク栓のためだとよく言われますが、シャトー酒折ではそれほど長期の熟成をするわけではないので、どちらかというと樽のため。樽は木目から蒸発する。なので液体の量が減る、1か月間でボトル1本半ぐらい。減った分は補てんしないといけない。なので、蒸発量を緩和するために湿度管理をしています。フレンチオークの樽がメインですが、アメリカンオークも3%ほど使っています。アメリカンオークの方が甘味が強くてバニラの香りがダイレクトにつくため、フレンチオークのローストした香りとのブレンドで、ベリーAの甘い香りがいい感じで中和されるそうです。

このように普通のぶどうから美味しいワインを作っていったことで、現在では逆にいいブドウが手に入るようになってしまいました。ワインの味はぶどうへの依存度が非常に高い飲み物なので、原料が良ければ味わいが劇的に変わります。

シャトー酒折には、ワンランク上の「マスカットベリーA」があります。写真の一番左が「キスヴィン マスカットベリーA」。2007年から塩山の農家の萩原さんがつくったぶどうで造られています。香りは華やかで香ばしく、膨らみのある果実味が感じられますが、ぎゅっと引き締まったタンニンがしっかり味のバランスを支えていて、とても官能的な味わいのワインです。醸造の際にぶどうの梗も入れることで、タンニンが強くなり旨みも増します。萩原さんは2013年からワイン造りも始めたそうです。


写真の真ん中は、県内で非常にいいぶどうを作る農家さんの一人、池川さんがつくるぶどうで作った「キュベ・イケガワ」。先ほどの萩原さんの仲間で、池川さんが「マスカットベリーA 樽熟成」を飲んだときに、自分が作ったいいぶどうで作ったら、もっと美味しいワインが出来るんじゃないか?という話から、コラボレーションして造られたワインです。この「キュベ・イケガワ」は先ほどの萩原さんのワインとは対照的に繊細でエレガント、とても綺麗なワインに仕上がっています。芳醇なベリー香と上品な樽香、凝縮感のある果実味が魅力。軽すぎずしっかりと芯のある味わいが感じられ、余韻も長い。個人的にも大好きなお気に入りの「マスカットベリーA」です。

現在自社畑では垣根栽培でシャルドネ、シラー、メルロー、マスカットベリーAを栽培していますが、このコラボがきっかけで、今では池川さんがシャトー酒折の栽培管理をしています。シャトー酒折では「農家との共存」を大事にし、自社畑の拡大よりも池川さんのような農家さんとの連携で山梨県完結型のワインづくりをしていきたいそうです。

「マスカットベリーA」は池川さんや萩原さんのぶどうによってワンランク上の味わいを実現しました。「今後はシャルドネなどの国際品種にもチカラを入れて、世界的な品質に育てたい!」と井島さんは意気込みを語ってくれました。

シャルドネなどの国際品種はもともと県内で栽培されていなかったので、栽培方法をワイナリーで確立して農家さんにフィードバックしようとしましたが、これは大きな間違いで、栽培のことを何も知らなったために海外の栽培方法をお手本にしてしまい、日本の気候風土では思うような品質のいいぶどうが取れなかった。ですが、池川さん達が作ると美味しいぶどうが出来る。その技術を活かしてもらった方が早く美味しいワインが出来ると考えるようになりました。今後はこういったスタイルが主流になっていくのでは?と井島さんは考えています。

写真はシャトー酒折のすぐ前にあるシャルドネの畑です。この畑も池川さんが栽培管理をしています。

池川さんのぶどう栽培の哲学は「99%はぶどうが味を作ってくれるから、自分は1%の管理(手助け)をするだけ」という考え方。

その1%の管理の視点が違うわけですね。畑全体を均質に見るのではなく、1本1本のぶどうの木の状態によって管理方法を変えている。弱い木もあれば強い木もある。それぞれの状態に最適の方法で管理を行っています。

ぶどうの木も生き物です。管理の前提として「なぜぶどうの木は房をつけるのか?」ということを考えたときに子孫を残すために作っているとすれば、管理しているぶどうの木がどういった子孫を残したいか考える。ぶどうの木は種を自分のテリトリー外に運んでもらうために鳥などの動物を使うため、美味しい実をつけなければいけない。つまり子孫を残したいという気持ちが強いぶどうの木ほど、甘くて美味しい実をつける。ではどうやって子孫を残したいという気持ちを高めるのか?生き物は生命に危機感を感じると強い果実をつけます。世界の銘醸地では土地が痩せていて水が少ないという逆境で育てられているため、ぶどうの木が生命に危機感を感じ早く美味しい実をつけようとする。日本は土壌が肥沃で雨が多いので、普通にやると甘やかされて水分が多くなり味が薄くなる。池川さんは、どのように飢餓状態をつくって強い実をつけさせるかということを考えながら管理をしているので、強い木にはストレスを与え、弱い木にはすくすくと伸びるような対応をしています。「ぶどうが持っている基本的な能力を使う」というところが残りの99%になるわけですね。とても興味深いですね。

この考え方は井島さんの醸造哲学にも通じています。栽培では池川さん達がぶどうが持つチカラを引き出し、醸造ではそのぶどうが持つ本来のポテンシャルを引き出すために、基本をしっかりやり、徹底した掃除によっていい状態で発酵できるように注意深く見守る。このぶどうを中心とした連携がシャトー酒折のワインの味わいを支えています。昔ジャズをやっていたという井島さん曰く、ワイン造りはジャズセッションのようなもの。農家さんが作ったぶどうとセッションしながら作り上げていく。だから2度と同じものは作れない。これもワイン造りの魅力ですね。

これからマスカットベリーA以外の品種で私たちワインラバーをどう驚かせてくれるのか、そして第2第3の池川さんが出てきたときにシャトー酒折のワインがどう変化していくのか、今後の動向にも注目していきたいと思います。

ぜひ一度ワイナリーに足を運んでみてはいかがでしょうか。


【ワイナリー情報】
シャトー酒折ワイナリー
〒400-0804 山梨県甲府市酒折町1338-203 
TEL(055)227-0511/FAX(055)227-0512


文:tack


テロワールを変える大和葡萄酒は創業101年目を迎える老舗ワイナリー。現当主の萩原社長は5代目。創業当時は油問屋を営んでいましたが、ワイン造りは大正時代に2代目「保太郎」さんが始めたのがきっかけです。

大和1

大和葡萄酒では随所に萩原社長「独自」のワイン哲学が根付いています。初めて萩原社長にお会いしたときに、その人柄や発する言葉の端々からも他のワイナリーにはない「独自性」を感じましたが、実際のワイン造りにおいても「独自性」を貫いています。ただ闇雲に独自性を追求するのではなく、「基本」をしっかりやった上での「独自性」追求。ワイン造りは感覚的な部分が強くなりがちですが、大和葡萄酒では科学的アプローチにより「数値をデータ化」することで、葡萄の出来や醸造過程で環境が変わったとしても品質が保たれるよう、「再現性」を大切にしています。

萩原社長

大和葡萄酒の「独自性」については、番組でも少しお話しましたが、日本の古代品種や指定文化財になっている葡萄を使ったり、不可能と言われた「甲州の垣根栽培」にも日本で初めて成功させるなど、他のワイナリーにはない「個性」を持っていることはもちろんですが、最近特に力を入れて取り組んでいるのは「甲州ミネラルプロジェクト」と呼ばれる、土壌改良によって葡萄の品質を向上させる試み。よい葡萄を育てるためによりよい土壌を探すのが一般的ですが、大和葡萄酒ではそれだけに留まらず「今あるものをよりよくする」という発想で科学的アプローチにより土壌のミネラル分を高め、テロワールそのものを改良しています。その結果、「ハギースパーク重畳」などのミネラリーシリーズは、日本ワインらしい繊細さを残しながらも、ミネラルが豊富で深みのあるワインになっています。

ハギースパーク重畳

3回放送でご紹介した大和葡萄酒のスパークリングワイン「ハギースパーク重畳 2012」は、今年の「SAKURA Japan Women's Wine Award 2014」という審査員が女性のみという初めての女性目線でのワインコンテストで、ベストジャパニーズワインに輝きました。通常開けにくいスパークリングワインのコルクにも「ゾークキャップ」という新しいタイプのワインキャップを採用し、非常に開けやすくなっています。「甲州はスパークリングとの相性がいい!」ということが感じられるワインです。この相性の良さも大和葡萄酒の独自の取り組みがそうさせるのか・・どのような経緯でその味わいに至ったのか。詳しくは番組オンエアーダイジェストをお聞きください。

番組オンエアーダイジェスト「第3回放送」


番組で紹介した「ハギ―スパーク重畳 2012」のスティルワイン「重畳2012」も飲みました。このワインは先日のワイン&グルメジャパンというイベントで初めて出会ったのですが、その奥深い味わいと複雑さに驚きました。柑橘系の爽やかさとミネラルを感じる心地よい酸、樽香がとてもエレガントで味のバランスがいい。他の甲州ワインとはまた違ったインパクトのあるワインです。「ハギ―スパーク重畳」とも飲み比べましたが、奥深い複雑性をじっくり味わうならスティルワイン「重畳」、良質なミネラル分と甲州の果実味をすっきりと味わうなら「ハギ―スパーク重畳」といったところでしょうか。

写真の右側がスティルワイン「重畳」、左側が「ハギ―スパーク重畳」です。

重畳

また、大和葡萄酒ではワインのストーリーや歴史を非常に大事にしています。その魅力が詰まったヒストリーシリーズ。番組で紹介しようかと迷っていたもう1本のワインが、大和葡萄酒の看板ワインである「古代甲州」。この甲州ワインは指定文化財の「甲龍」から枝わけした葡萄を使っています。「古代甲州」は通常の甲州よりも奥ゆきがあります。甲州は酸が強いため、酸の強さに押されてワインの奥ゆきが感じられなくなります。「古代甲州」は酸を抑えて奥ゆき感、のど越しを楽しんでもらえるように作られています。


また、もうひとつの指定文化財になっている樹齢100年の「菱山三森」の原木は残念ながら2010年に枯れてしまったそうですが、枝わけしたクローンは管理しているので、大手メーカーとタイアップして商品化を検討しているそうです。

大和葡萄酒

地域の個性を生かすために、日本の古来品種の発掘にも力を注いでいます。日本の古来品種は全部で6種類、甲州、甲州三尺、竜眼葡萄、大阪紫葡萄、京都聚楽葡萄、水晶葡萄(調査中)があり、木を探し当てた大阪紫葡萄は今年初リリース、京都の京都聚楽葡萄も2年後にリリース予定だそうです。このように日本の地ワインのシーンを広げて、話題のワインを次々と生み出していきたいとおっしゃっていました。大阪紫葡萄は大阪に畑を作って、大阪の地元で楽しんでもらいたいという考え。地元の畑で葡萄を作って地元でワインを作って地元の人に楽しんでもらうというのが目標だそうです。

古代甲州

「よい葡萄から良いワインが生まれる」というワインの本質を体現するため、葡萄を育てる地域にもこだわっています。やはりいい葡萄を育てるには、日照のいい条件や水はけが大事になる。トータル5年間をかけて、勝沼から北杜までの地域でどの葡萄が一番いいかサンプリング調査で確認。収穫葡萄の糖度やアミノ酸値を計って、アミノ酸値が高くいい葡萄ができる水はけのいい砂地の土壌をダイヤモンドエリアと規定。200トンの収穫があるうち50トンを自社畑と契約農家さんが押さえている。枝わけしたクローンもそのエリアで育てています。アミノ酸のほかに、糖度、ホルモル窒素を測って、収穫のタイミングを決めているそうです。


裏の自社畑も見せてもらいました。実験的に作られた畑で、手前が甲州、奥の方がシラー。栽培についての詳しいことは、萩原社長でないと分からないそうです。

自社畑

垣根栽培の印象としては、木と木の間隔が広いですね。木もしっかり抑制されています。その秘訣は分かりませんが、今度社長に話を聞いてみたいですね。


萩原社長は日本のワインが世界に通用するようにするとしたら、この垣根栽培の方法しかないと信じていらっしゃいます。これは成長と抑制によっていい実をつける。できる葡萄が小粒になるため、凝縮感が強くアミノ酸の値も棚栽培と比較して1.5倍程度あるそうです。地面からの葡萄の距離が近いため土からの栄養素が伝わりやすい。四方から日光が当たる。ただ畑の面積に対する収穫量が少ないためコストがかかるのがやはり課題です。世界のワインの総アミノ酸は25003000ppm、甲州については垣根栽培で2000ppm程になりました。これは結果ではなく、日本のワインを世界のワインへと近づけるプロセスだそうです。

個人的には、大和葡萄酒の長野県の畑の展開も気になっています。メルローやシャルドネなどの海外品種も育てていますが、今後長野県の工場ではスパークリングワインに特化したワイン造りを目指しているそうです。瓶内二次発酵をする本格的なスパークリングワインにも挑戦していくそうですよ。またこのあたりの展望についても、詳しく聞いてみたいですね。

大和2

大和葡萄酒では萩原社長を中心に、一貫して「常識を疑い、科学的根拠を持って一歩一歩確かな歩みを進めていく」ことで、情熱だけではたどり着けない高みを目指しています。


今後の動向が気になりますね。


ワイナリーでは気軽に試飲もできます。

試飲

そして、大和葡萄酒では美味しい地ビールも作ってます。これから夏本番、ワイナリーを訪れたら、まず地ビールで乾杯!というのも楽しそうです。

地ビール

ぜひ一度ワイナリーに足を運んでみてはいかがでしょうか。


【ワイナリー情報】
大和葡萄酒株式会社
409-1315 山梨県甲州市勝沼町等々力776-1
TEL 0553-44-0433FAX 0553-44-1004


文:tack


地域の個性をだす

勝沼醸造は1937年創業、勝沼で取れるブドウに思い入れの強いワイナリーです。特に「甲州」ワインが8割を占めるほど、「甲州」に特化したワイン造りをしています。

看板

「美味しいワインは美味しいブドウから生まれる」という信念のもと、ブドウ栽培にチカラを入れています。それを体現した「アルガブランカ イセハラ」が放つ「ブドウのチカラ」が世界に注目されたことは、甲州の歴史が新たなステージに入ったことを告げる重要な出来事でした。

 

地域の個性を引き出すために、シュール・リー製法を主体に仕込むのは現在8地区、収穫期をずらしているため合計13区画に分けて仕込んでいます。今年初めて「穂坂」という地区のブドウを仕込んだそうですがとても出来がよく、日照状況が豊かで日本一雨が少ない明野村(あけのむら)の近く、非常に安定したいい土壌なんだそうです。

勝沼甲州シュールリー

第2回放送でご紹介した勝沼醸造の白ワイン「勝沼甲州シュール・リー2012」も勝沼の「藤井」「等々力」の2地区のブドウからつくられており、「産地を味わう」という醍醐味が味わえるワインとなっています。

どのような経緯でその味わいに至ったのか。詳しくは番組オンエアーダイジェストをお聞きください。

 

番組オンエアーダイジェスト「第2回放送」

 

同じシュールリー製法で作られたファーストブランドとして「アルガブランカ・クラレーザ シュールリー」というワインがありますが、こちらは「勝沼」「穂坂」「等々力」「甲府」「藤井」「金山」の6地区のブドウから作られており、「勝沼甲州シュールリー」よりもふくよかで拡がりのある味わいになっています。

クラレーザ

「アルガブランカ・クラレーザ シュールリー」は一番右のワイン。「勝沼甲州シュールリー」と飲み比べてみても面白そうですね。

 

勝沼醸造のブランド名「アデガ・ビニコラ・アルガ(有賀のワイン蔵の意)」は神戸のデザイナー綿貫宏介氏が考案。「アデガ」がポルトガル語でワイナリー。

 

「アデガ・ビニコラ・アルガ」は3つの商品ブランドで構成されています。

 

主に問屋などに卸す「勝沼醸造ブランド」。これに「勝沼甲州シュールリー」も含まれます。

 

また酒販やレストランに卸す「アルガブランカ」「アルガーノ」の2ブランドを展開。ワイン造りの思いまでちゃんと伝えてくれるような信頼できる酒販やレストランに卸しているそうです。エチケットのデザインもオシャレです。

 

「アルガブランカ(アルガの白の意)」は、甲州を使ったワインのみで構成されています。甘口から辛口まで味の表情に幅があり、食前からデザートまでサポートしています。

 

「アルガ―ノ」にはマスカットベーリーAなど甲州以外のブドウを使ったワインも含まれており、中でもポルトガル語で「風林火山」を意味する4種のワインがオススメだそうです。

 

国際ワインコンテスト「ヴィナリーインターナショナル2003」で勝沼醸造ブランドの「勝沼甲州樽発酵」が受賞したころから辛口の甲州の評価が上がったと思うとおっしゃっていました。食べるためのぶどうは繊細だから樽負けしてしまう(樽の個性に包まれてしまう)から、樽は使わない方がいいというのが定説だったが、それを覆して熟成タイプの甲州ワインを提案したのが「勝沼甲州樽発酵」。7年間のエイジングが可能だろうと。和牛のローストビーフといった肉料理にも合うしっかりとした味わいになっています。

 

勝沼醸造では勝沼で「風」という名前のレストランも経営しています。20年ほど前から始めたそうで、当時は洋食(フレンチ)にワインを合わせるというコンセプトで展開していたそうですが、現在は和風フレンチということで和をテーマに甲州ワインなどに合う料理を提供しています。看板メニューは赤身の和牛ローストビーフ、甲州ワインとともに味わってみたいですね。

有賀さん

有賀さんの目は世界を見据えています。「甲州」を後世に伝えていくために、食用ではなくワインを作るための甲州ブドウを作って世界に打って出ることでチャンスは更に広がる!我々の世代でピリオドを打ちたくはない。

 

ただ世界に驚きと感動を与えるためには、ワイン単品としてのパワーがまだまだ足りないと思っているそうです。ワインだけで飲んだときにどれだけ驚きや感動を与えられるかが勝負!「アルガブランカ イセハラ」は日本を代表するワインだと自負しており、日本政府の「おもてなし事業」でも「アルガブランカ イセハラ」が選ばれています。日本を代表する甲州ワインにならないといけないと決意を語ってくれました。ヴィナリーインターナショナルでステンレスを使った熟成タイプとして認められた、つまり世界が認めたのは「ぶどうのチカラ」。ただ世界に「甲州」を持っていくのは時期尚早。まだ「ぶどうのチカラ」が備わっていない。だったら農家さんと一緒にもう少し美味しいワインをつくるための工夫をしていけば、世界に通じるワインが作れるかもしれない。「俺のブドウで作ったワイン」と胸張って言える農家さんが出てくると面白くなる、と期待を膨らませていました。

取材

勝沼醸造で大事にしているのは「農家交流」。農家とのコミュニケーションが図れるのが財産。だとおっしゃっていました。美味しいワインを作るためのブドウづくりには農家さんの理解が不可欠です。

農家

線が引かれているのは、最近耕作をあきらめた農家さんだそうです。勝沼醸造がある農家さんが止めるのを阻止するのがワイナリーの使命だと考えていらっしゃいます。勝沼醸造は旧来甲州ブドウを最も多く産出した「祝村」に位置しています。だからこそ「甲州」にこだわりたいとおっしゃっていました。


レストランでワインを頼むときは「赤ワイン」「白ワイン」ではなく「ブドウ」で選んで欲しい、ぜひ「甲州ください!」って言ってみてください。とおっしゃっていました。

 

畑を見せていただきました。

20R

こちらの20アールの畑には、茎が太いのもあれば細いのもある。太いのは水太り、甘やかされている証拠。100年の古木がいいというよりは大地の栄養をいかに吸い取れるブドウを育てるかが大事。だからよりいいブドウの木を育てるために植え替えが主流になっているそうです。20本のブドウの木で5トンのブドウが取れるそうですよ。

草生栽培

こちらは農家さんに譲ってもらった畑。当時の糖度は16度。糖度を上げなければいけないため収量を調整したところ、糖度が19度になった。もっと収量を調整すれば20度になるのではと調整したところ、実をつけなくなったそうです。ブドウ栽培は難しいですね。それで植え替えて、伝統的な棚栽培に加えて根をいじめる草生栽培にしたところ糖度22度を実現しました。まだこのやり方が正解かどうかは分かりませんが、この畑からは世界のルールに則った高品質なワインが出来るそうです。

 

日本は補糖してワインを作るのが一般的、オーストラリアでは補酸が当たり前、だから世界から軽視されがち。やはり世界のルールに則ったワインづくりが大事だとおっしゃっていました。

実験畑

こちらは実験畑。最初は垣根栽培で先ほどの20アールの畑と同じ広さにシャルドネ300本、カベルネソーヴィニヨン300本植えて、600本の木から収量は2.4トン。先ほどの205トンと比べてかなり収量は少ないですね。これが食用とぶどう用の違いなんです。ただ糖度に問題があったそうです。それで棚栽培で甲州を植え替えた。アーチ状の金網は雨よけ、棚栽培で雨よけ(スマート方式)は新しい試みなので期待しているそうです。

 

こういった経緯を説明するために、垣根栽培の畑も残しています。

垣根栽培

過去にはフレンチオーク樽で3樽ずつ、900本ワインが出来た。ただ日当たりによって出来るブドウの糖度がまばら。そこで優秀な栽培スタッフの試みによって3樽ずつだった収量が半分になったものの、糖度が21.5度均等になった。20度を超えたのは初めてだったそうです。しかしそのスタッフは22度を目論んでいたため、がっかり。そこで新たな試みをして22度を達成!しかし収量が足りず1樽に満たないため、ワインが仕込めなくなったそうです。笑 そこでわざわざフランスから小樽を仕入れて仕込んだのが2001年。世界一高い農業コストの日本で垣根栽培を自社栽培でやるのはホントに大変です。

 

このように色々試行錯誤していますが、問題は尽きないそうです。そしてまた色々試してみる、高みを目指すための飽くなき探求。車でいうところのF1開発のようなものです。

 

農家さんとの交流を大事にして農家さんの個性を引き出す。そして農家さんとのコミュニケーションを密にしていく。地域で歴史を刻んだ農家さんの思いとタッグを組んで、ホントにワインに向くブドウを作って農家さんが「俺の畑のブドウで作ったワインだぞ」と胸を張って言えるようになって欲しいですよね!と展望を語ってくれました。

 

これからも勝沼に根付いた文化として、勝沼で取れたブドウにこだわっていく!と力強く宣言してくれました!そして真に価値のある1万円のワインを作りたい!と語る有賀さんの言葉が印象的でした。そんなワインの登場に期待しながら、勝沼醸造のワインを味わってみていかがでしょうか。

 

勝沼醸造では気軽に試飲をすることも出来ます。

テイスティング

事前申し込みが必要ですが、ワイナリー見学も可能です。

勝沼醸造内1

趣のあるワイナリーの中は居心地も良く、テラスもあってワインを飲むのが楽しくなる、そんな場所です。

テラス

ぜひ一度ワイナリーに足を運んでみてはいかがでしょうか。

 

【ワイナリー情報】

勝沼醸造株式会社

409-1313 山梨県 甲州市 勝沼町下岩崎 371

TEL/0553-44-0069 FAX/0553-44-0172

文:tack

丸藤葡萄酒工業

丸藤葡萄酒工業は、勝沼の中でも歴史の長いワイナリーのひとつです。
創業から120年以上経った昨年に、入口の壁を塗り替えました。

ルバイヤート

第1回放送では丸藤葡萄酒工業の白ワイン「ルバイヤート甲州シュール・リー2012」をご紹介しました。日本の固有品種「甲州」を使って作ったワインで、大村社長の思い入れの強いワインです。

シュールリー製法によって旨みを引き出した、辛口で繊細な味わいが魅力的。

「辛口」ワインを作っていくうえで「甲州」ではシャルドネで作ったワインには対抗できないというジレンマでシャルドネを植えたりするんですが、シャルドネを植えればフランスと同じようなワインができるかといえば大きな間違いで、じょじょに「甲州」は「甲州」だよねと、日本の食事に合うのはなんだろうと考えたときに、やっぱり「甲州」はいいんじゃないかと思うようになったそうです。今でこそ「辛口」ワインが市民権を得ているわけですが、そこに至るまでにはさまざまな葛藤や苦労があったわけです。

甲州シュールリー

甲州ワインのひとつの方向性を示したと評価されている「ルバイヤート甲州シュール・リー」。
どのような経緯でその味わいに至ったのか。詳しくは番組オンエアーダイジェストをお聞きください。

番組オンエア-ダイジェスト「第1回放送」

「旧屋敷」と呼ばれるシャルドネの畑がこちら。

旧屋敷

1998年に社長の自宅の横の畑でやったのが最初の垣根栽培。2年後にこの「旧屋敷」と呼ばれる2番目の畑にシャルドネを植えた。フランスと同じシャルドネを植えたがテロワール(気候や風土)が違うため、なかなかうまくいかない。土壌が豊かなので育ちすぎてしまう。色々試行錯誤を重ねて、今は1本の木に2本の枝が互い違いVの字型についている。50センチ間隔や25センチ間隔で植えてみたが今は1メートル間隔に落ち着いている。少しずつ良くなってきている気がするし、日本らしいシャルドネになればいいかなと思う。今は22列のうち、1列がソーヴィニヨンブラン。垣根栽培で紆余曲折はありますが、日本の土壌に合ったやり方があるんだなということが最近は分かってきたそうです。

甲州は「大棚」とよばれる畑で棚栽培で育てられています。

棚栽培

棚栽培で高品質の葡萄を作ろうとしている「試験園」ではプティヴェルドを、農家が高齢化で作れなくなったときに誰でも作れるようにと剪定方法を変え、一文字短梢栽培で育てています。伺ったときはちょうど剪定作業が終わったところでした。この畑のプティヴェルド単一品種のワインもつくっています。

試験園

また、ワイナリー見学も大歓迎だそうです。世界各国のワインが次々と日本に入ってきて競争が激しくなる中、「ワインとお金だけの交換」といった商売だけでなく、ワインの奥深さを知ってもらえるような運動をしていかないと日本ワインは生き残っていけないかもしれないと、危機感も感じてらっしゃいます。テロワールの中には人間の営みも含まれるという考えのもと、ワインだけでなくワインを作っている人も好きになって欲しいとおっしゃっていました。

ワイナリーの中には歴史が分かる展示スペースのほか、随所に歴史を感じる佇まいが感じられるスポットが満載です。

貯蔵庫

酒石がびっしりとついてきらきら光る壁、

酒石

「害虫誘殺器」とかかれた昔の虫取り器ガラスの容器をカバーに使用した世界でここにしかないランプ、

虫取り器

また出口の扉にあしらわれたステンドグラスは、あの三鷹のジブリ美術館のステンドグラスも手掛けている清里のステンドグラス作家、八田(やった)夫妻の作品で、ここにあるステンドグラスの方が先に作られたというのもちょっと自慢だそうです。

ステンドグラス
などなど、まるでワインのテーマパークのようになっています。

そして、「ルバイヤート甲州シュール・リー2012」の瓶のチャン(加飾)の部分にある刻印。

チャン

この刻印は、勝沼に所縁のある高野正誠と土屋龍憲という2人の青年をシンボル化したレリーフだそうですが、この2人は明治時代にメルシャンの前身「大日本葡萄酒」からフランスへぶどう栽培とワイン造りを習得しに派遣され、フランスの醸造風景などを絵に書いて勝沼に持ち帰ったのが勝沼のワインの歴史の始まりだそうです。ロマンを感じる話ですね。

この刻印が入った瓶は1988年に
勝沼の気鋭ワイン醸造家が集まって設立された「勝沼ワイナリーズクラブ」という組織で作られた瓶。審査会で品質が認めらたワインにのみ適用されるそうです。

裏面エチケットには高野正誠と土屋龍憲のふたりがイラストで入っています。

勝沼ワイナリーズクラブ
また、ぶどうの丘という勝沼の施設にこの刻印と同じモニュメントが飾ってありますが、この下に「100年経ったら開けよう」といっているワインが埋められているそうです。まさに「タイムカプセル」ですね。でも「100年後は誰も生きていないですよね。」と大村社長は笑っていましたが。勝沼のワイナリー各社のワインが眠っているそうです。せめて25年、50年ぐらいで飲めれば・・笑。

100年後

ワインには「夢」が詰まっていますね。

また毎年4月に地下貯蔵庫で「蔵コン」というコンサートを行っています。今年で26回目になる毎年恒例の人気イベントだそうです。

蔵コン

音楽家が奏でる心地よい音楽を聴きながらワインを飲むイベント。番組でご紹介した小野リサさんやcobaさんも「蔵コン」にも出演したことがあるそうですよ。美味しいワインを飲んで、酔い覚ましにいい音楽を聴く。贅沢なひとときですね。

ぜひ一度訪れてみてはいかがでしょうか。


【ワイナリー情報】
丸藤葡萄酒工業株式会社
〒409-1314 山梨県甲州市勝沼町藤井780番地
TEL:0553-44-0043 FAX:0553-44-0065

文:tack