娘を日本で出産した時に
私は結婚当時変えなかった自分の苗字を
(その時はどうしても外人の苗字になるのが嫌だった。笑笑)
夫と私の二つの苗字に出来ないかと
家庭裁判所に伺いを立てた。

理由を聞かれた時に、これから娘を連れて外国で暮らす事になるが、その土地で何事か起きて混乱状態の中で出国するような事があった時にパスポートの苗字が違ったら大変な事になるかも知れない、と答えたらびっくりされた。

結局日本の法律は複雑すぎて無理だった。

イギリス国籍と日本国籍を持つ娘には日本人としてもイギリス人としても生きていけるように両方の言語を教える事は親としての義務だと信じてきた。
娘から選択の余地を奪う事になるからだ。
外国で暮らしていると特に漢字が難しくなる辺りで日本語の勉強を諦める子供も多い。
「どうせ日本には住まないし」と勉強を止める友達を横目に娘には「おかーさんが死んだら日本でメニューを読んで美味しいモノ注文できないよ!」と言うと頑張って勉強したものだ。
または「うちは財産もないしお前には何も残せないから日本語が財産だと思え」とも。

果たして12歳で日本に来ていきなり中学に入った娘は苦労はしたが日本人として教育を受けて暮らせる程度の日本語はできるようになった。

周囲には同じように二つの国籍を持っていても日本語を全く勉強しなかった子供もいるし、子供の為に日本国籍を取得していない親も居る。はたまた日本国籍しか持っていないのに日本語が出来ない子供も沢山いる。

今になって石にしがみついてでも両方の言語を学ばせて良かったとつくづく思う。
イギリスが現在のような状況になるなんて
想像すらしなかった。コロナとブレグジッドでこの先、国の存続すら心配になるような。
イギリスは絶対安泰と信じて子供の日本国籍、日本語にこだわらなかった日英カップルが今頃どうしているだろうと思うと心が痛む。

人一倍苦労するけれど人生の選択肢を可能な限り増やせる事はこれからの世界にはありがたいとしみじみ思う。