「流し」では、交通ルールは完全に無視。


東京からUターンした札幌の不動産屋のここだけの話。

直管の爆音コールで赤信号でも止まらないし、ウインカーも出さない。


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逆車線も平気で走行して、バイクのステップがアスファルトと擦れて火花が散るくらいの蛇行運転をする。

走行中にタンクの上に立ったり、逆車線に突っ込み一般車両と正面衝突してボンネットに転がったり、

パトカーに火炎瓶やペンキ入りの水風船を投げつけたり、何でもありだった。


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走りを邪魔する奴がいたら誰であろうが容赦しない。

とにかく走り出したら、絶対に止まらない。命懸けの走り。


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何事もルールや規則で縛られた社会から解放されて

自由になったような気になり自分が生きている事を実感する。


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でも、いくつか決まりごとがある。


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最初に赤信号の交差点に突っ込み、他の一般車両を止めるバイクやクルマ。

パトカーに追われた時、進路を妨害するケツ持ちのバイク。


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曲がる時の合図。警察が来たときの合図。

ケツに乗ってる奴は運転している奴にタバコの火を付けて渡してやったりする。


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そして、暴走族やチーマー等、不良以外の一般の人には危害を加えない美学みたいなものがあった。


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個人的には創○○トンネルを走行する時のトンネル反響音が一番、好きだった。




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東西線地下鉄○○駅をクルマで通ると、

少年だった夏の日の夜の出来事を


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今でも一瞬、タイムスリップして当時を思い出す・・。


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まだ17歳だった8月の終わり。札幌ではめずらしい蒸し暑い夜だった。


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その日、「流し」をする事になり、各自、連絡を取り合い

地下鉄○○駅で合流して出発すると決めていた。


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当時、暴走族取り締まりの為、警察による検問や

写真撮影が行われるようになっていた。


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みんなカラスマスクに半ヘル、タオルにキャップ、サングラス等で

頭や顔を隠すようになり、暴走族名が入った刺繍入りの特攻服を着るのは

札幌祭りの集会くらいになっていた。


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中島公園の集会では警察にバシバシ写真を撮られる。

年に一度、札幌中の暴走族が一同に集まる為、数百人の集団だった。


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検問では警察が石の入った泥水をバケツに作っていて



その泥水を掛けられたり、長い警棒を振り回してくる。



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暴走時の証拠写真からメンバーが警察にパクられていく為、

大規模な「流し」は難しくなってきていた時期で、他グループの暴走族でも比較的、

仲の良い奴らにも声を掛けて新港に札幌中から集結して市内を「流す」のが一番、規模が大きかった。

気合の入った奴はバリバリの刺繍入り特攻服で来る。


兄貴の口癖は、「人との出会い、人脈と信用を大事に。」


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「人は金で変わる。いくら成功して金を掴んだとしても金銭感覚だけは間違うな。」


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商売で詐欺まがいのアウトローな連中に引っかかりそうになると

決まって「見てろ、合法的にぶっ潰してやる。」だった。


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数年後、「真剣な話がある。不動産会社って、いくらあれば出来るんだ?

3千万までやるからやってみないか?」と言われた。



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諸事情があり、結果的に話は断ったけど、自分の事を少しは認めてくれたのかな?

と思って本当に嬉しかった。


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そんな兄貴と久しぶりに電話をしたら、国営事業の下請け会社として数億円を初期投資して新会社を立ち上げていた。

現状に満足することなく常に次の一手を考えて行動している。


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「札幌なんか近いだろ、国内線にもファーストクラスが出来たんだぞ。日程調整するから今月、一度札幌に遊びに行く。朝まで飲むぞ!」と、久々の飲み会が楽しみだ。