人間は,
言葉を用います.
言葉は,
ある対象を指示します.

いま,
あなたの目の前に,
「リンゴ」があります.

それを指して,
あなたは,
「このリンゴ」,
と言います.

「このリンゴ」,
という言葉は,
「あのリンゴ」ではなく,
「そのリンゴ」でもなく,

いま,
あなたの眼前にある,
《リンゴそのもの》を,
指しています.


では,
「私」という言葉は,
何を指示するのでしょう?

これに対して,
いくつかの仮定が,
生まれます.


仮定・①
「私」=「身体」

「私」の最も身近にあり,
はっきりと認識することが出来るもの,
それは「身体」です.

「身体」を通して,
私たちは,
眼で見て,
耳で聴き,
鼻で嗅ぎ,
舌で味わい,
皮膚で感じます.

この仮定によると,
次のように推測できます.

人間は,
《死》という現象により,
ある時点になると,
「身体」が,
機能しなくなる.

「身体」と「私」は,
同じものである.

従って,
「身体」が機能しなくなると,
「私」も機能しなくなる.


では,
「私」が機能しない,
とは,
どういう状態なのでしょう?

「私」が存在しなくなる?
「私」の記憶がなくなる?
「私」という意識がなくなる?

これらの問いには,
ある共通点があります.

それは,
とても単純なことです.

次回は,
その共通項について,
お話したいと思います.

私たちは人間です.

人間は,
「言葉」を使います.

そして,
自分のことを指し,
「私」と言います.

しかし,
その「私」とは,
一体何なのでしょう?

身体?
心?
それとも,
身体でもなく,
心でもないもの??

皆さんは,
どう思いますか.

次回から,
私の考えるところを,
書こうと思います.