(5)ヘルメットが脱げた時の計時の変更

 ボールキャリアがギャングタックルを受けてヘルメットが脱げてしまう、という場面を時々目にします。日本ではあまりないのですが、本場アメリカのPlayerは自分の頭のサイズより少し大きめのヘルメットを着ける傾向があるようで、ボールキャリアに限らず、NFLなどでもTVで見る事が多いですよね。

 現在のルールでは、ボールを持っている選手のヘルメットが脱げると、Playは終了し、ゲームクロックが停止することになっています。タックルしたPlayerのヘルメットが脱げてもPlayは続くので、ある意味危険な部分はあります。


 このゲームクロックの計時停止が今季からは他のルールで規定されない限り、停止しないことになりました。他のルールでの規定とは、一番わかりやすいのが、タックルされてヘルメットが脱げた時にサイドラインを割って外に出てしまうケースでしょうか。


 先日今春初の審判をやってきました。その試合で、タックルに行ったPlayerのヘルメットが脱げて、本人はタックルし続けたいのに、ヘルメットがないので、躊躇しているのですが、腕だけはボールキャリアに向けている場面に遭遇しました。危ないのでヘルメットが脱げたらPlayから離れるようにしましょうね。

(4)資格を没収されたプレーヤーに対する規定の追加

 資格没収(いわゆる「退場」ですね)は、プレーヤーにとって最も不名誉な反則といえるでしょう。アメフトはスポーツなのですから、いくら格闘技だとはいえ、ルールを越えての乱暴行為は認められるものではありません。プレーヤーの安全確保と同時にこのようなPlayが発生しないように審判は目を光らせているのも事実です。

 雉達では過去に2人、この不名誉な記録保持者がおりますが、どちらもPlayと関係ないところでの「殴り合い」でした。


 今回の変更は、これまで審判の管理下にあったこの資格没収者をチームの管理下に置き、かつ資格没収されてからはチームエリアから離れなければならない、という内容です。


 もともと、退場したプレーヤーにはショルダーをはずして、ベンチから離れているように指導はしていましたが、これがチームの責任で行わなければならなくなるのです。


 「必要のない乱暴行為」(アンネセサリーラフネス)は、あくまでもルールの範囲でのアフターホイッスルなどが対象ですが、アメフトでは相手に拳や足が当たらなくても殴ろうとした行為や蹴ろうとした行為そのものが「ルールから逸脱した行為」として退場の対象になります。また、近年厳しく判定するようになった「無防備なプレーヤーに対する突き当たり」や「ヘルメットの頭頂部(クラウン)をつかった突き当たり」の程度が激しいものは退場の対象になります。もちろん、サッカーと同じように、ベンチのスタッフが必要以上に相手に罵声を浴びせたり、審判に対して暴言を吐いた場合も退場の対象になりますので、注意してください。

(3)ゴールラインの定義の変更


 今回の変更項目の中で、解釈が難しい変更の1つです。


従来ゴールラインは「面」として認識され、この「面」をボールが通過すれば得点となる、という解釈でした。そしてこの「面」はサイドラインの外側にも延長して存在するとされていました、つまりしたの画像で#12はパイロンの外側に向かってボールを差し出していますが、ここにも延長されたゴールラインの「面」が存在するので、このPlayは得点として判定されていたわけです。(厳密に見ると#12の右足はサイドラインを踏んでいるので、NGとも取れるのですが・・・)





アメリカンフットブログ-GB2



 今季からはこの「面」はパイロンとパイロンの間のみに存在することになります。つまり、上の写真はNGという判定になります。


 ただし(この「ただし」がやっかいなのですが)、ボールがデッドになる前にボールキャリアがエンドゾーンに入っているかパイロンに接触していれば、ゴールラインの「面」は延長されます。上の写真でいえば、#12の右足がこの時点でパイロンに接触していれば得点となるわけです。





 これは質問が殺到しそうですね。現時点でわかる範囲でお答えします。

(2)タオルの装着場所に関する規定の削除

 何年か前に装着場所が「Playerの前面または側面」と規定されていた4inch×12inch(10cm×30cm)のタオル。ハンドタオルを3分の1に折った状態なのですが、この装着場所の制限が今年度からはなくなります。

 ただし、「白色であること」「無地であること」「文字・ロゴ・数字などのマークがないこと」「1人につき1枚のみ装着できる」「攻撃側の1人以外はサイズを規定されていること」は変更がありません。まあ、言ってみれば後ろに着けてもいいよ、という変更ですね。


 昔は土のグランドしかなかったので、雨の試合ではCの後ろにタオルを着けて、QBがPlayCallをする前にまずCのお尻に垂れ下がっているタオルを捲り上げてからPlayに入る、という光景をよく見かけました。ゴムのボールなどが普及していない頃でしたから、ボールボーイも大変でしたが、審判(特にボールのセットをするU)は試合前にチームから乾いたタオルを借りて、セットされたボールの上にかけて、Cがハドルから来るまで雨粒からボールを守ったりしていました。

 その名残というわけではないのでしょうが、オフェンスのインテリアラインの1人だけはサイズの規定のない白い無地のタオルを装着することができることになっています。


 関西ではボールのサイズより一回り大きな人工芝のマットをグランドに敷いて、そこからPlayを開始、マネージャーがオフェンスハドルの後方に控えていて、Playが終わる毎にマットを交換する、というローカルルールもありました。


 

 ものすごく久しぶりの更新です。5月からは職場も変わることになり、従前通り土・日は休みになる普通の生活に戻ります。つまり、今季の審判生活は、再びコキ使われるっていうことですね。


 さて、日本協会の競技規則委員会から今年度の公式規則変更の予定報が公表されました。毎年やっている、変更に関するルール解説を今年も実施します。(一部は関東で春から実施されるものもありますが、原則的には秋のシーズンからの適用です)


(1)グローブおよび手のパッドの色の規制の削除

 これまでは相手チームの着用ジャージの色やボールの色に近い茶色のグローブやハンドパッドなどは使用できませんでした。OLがDLのジャージに似た色のグローブをしてブロックをすると、Holdingが見づらい、という審判目線の理由もあったようです。実際には審判の目線は手の動きというよりは、手のひらが開いて相手に向かっている(いわゆるパーの形)か、握っている(いわゆるグーの形)かをまず見ます。もちろん同じ色だと見づらいともいえますが、慣れてくるとブロックしている形は動きでつかんでいるかどうかの見極めはつけられるものなのです。


 これが今シーズンからは、規制がなくなり、相手がアウェイで白いジャージを着ていても白のグローブでもOKということになります。アメリカのように、メーカーが無償でグローブなどをチームに支給することがない日本では、ありがたい改定なのかもしれません。


 Holdingについては、Run PlayではRunnerが通る所(アタック・ポイント)付近でのものを特に注視しています。Pass Playの場合は、もちろんパスプロテクションをしているラインやバックスの手の動きを注視しています。もちろんルールで規制されている動きなのですから、どこで発生しようが反則は反則なのですが、Playと関係のないところで発生したものまで目くじらを立ててフラッグを投げるのは試合の興趣を削ぐものといえるでしょうね。