やまんばのむすめ まゆシリーズの
富安陽子さんの児童書。

多分対象年齢は小学校低学年~だと思いますが
ラ○マでお安く出品されていたので購入しちゃいました。



「盆まねき」というのは、八月のお盆の三日間に
ごちそうを用意して親戚の人たちを家にまねいて
みんなでご先祖さまの供養をするという行事です。

その間におじいちゃん、おばちゃん
おおばあちゃんから聞いた
不思議なお話の短編集。

「それ、ほんとに、ほんとの話なの?」

「うそとホラは、すこうしちがう。
人をだますのが、うそ。
人をたのしますのが、ホラ。
ほんとでもいい。
ほんとじゃなくてもいい。
楽しかったら大成功。
それがホラなんだよ。」

おじいちゃんは、とってもかしこいナメクジを飼ってたんだって。
ナメクジが「さよなら」って書き置きを残して消えた夜に虹を見たんだって。

お月さまのなかには田んぼがあるんだって。
月のうさぎがおもちをくれたんだって。

対馬の海にはかっぱが大勢すんでいて、
秋の満月の夜には磯わたりをするんだって。
おおばあちゃんは、かっぱが落とした「青海魂」を拾って、返してあげて
サンゴの玉をもらったんだって。


ほんとのような、
つくり話のような
昔話が続きます。


「おじいちゃんのお兄さんのシュンスケおじさんは
どうして死んじゃったの?」

「戦争で死んじゃったんだよ」

シュンスケさんは。
飛行機に乗って、アメリカの大きな軍艦に
体当たりをして死んじゃったんだって。

「どうして体当たりをしたの?
そんなことしたら、飛行機も爆発しちゃうでしょ?」

「そんなの、やめようって言えばよかったのに。
自分も死んじゃうのに…」

「そういう時代だったんだよ。
戦争でたたかって死ぬ人は、
みんなりっぱだ、あっぱれだって言われたんだ。
ほんとに、おかしな時代だったよ。」



盆まねきのさいごの日
盆おどりに出かけて、はぐれたなっちゃんは
不思議な光景を見ました。

「…つまり、えっと、この人たち
みんな幽霊ってこと?」

「だけど、こわがらなくても大丈夫だよ」
「こわいことなんて、ないんだ。
みんな、いつかは、あっち側にいかなくちゃいけないんだからね。
お盆がもう終わるから、あの世へ帰るんだ。」

「人間は、二回死ぬって、知ってる?」

「一回目は、心臓が止まったとき。
二回目は、みんなに忘れられたとき」

「思い出してくれてありがとう」



さいごにほんとうのお話をひとつ。
富安陽子さんのお父さんのお兄さんは、
俊助さんといって
アメリカの艦隊に突っ込んで亡くなったそうです。



……

………

子どもに読ませたいけれど、
号泣してしまい読み聞かせできる気がしません・゜・(つД`)・゜・


仕事で、古い戸籍を見ることがあります。

子どもに恵まれず相続人無しとなってしまったご夫婦や
何人も何人も、小さな子どもが生まれては亡くなる戸籍に胸を締め付けられる思いをしています。

戦死の戸籍もたいてい
亡くなった年からずっとずっと後に記録されていたりして
それまで、僅かな希望を繋いで
ずっと帰りを待っていただろうご家族を思うと
もう……(つд;*)



昔の話を語り継ぐことは
大切なことだと思います。

お勧めです!