はじめに

私は 2015年6月から12月までの半年間、ブラジルのリオデジャネイロに滞在し、カーニバルのチームである「ポルテーラ」に所属していた。その最中、チームの仲間から「ベイジャフロールは最悪だぞ」という話をされた。ベイジャフロールは同じくカーニバルのチームであるが、前年の2015年に赤道ギニア民主党の指導者テオドロ・オビアン・ンゲム・ムバソゴ大統領から1000万レアル(約4億2000万円)を受け取った代わりに赤道ギニアを讃えるテーマ「アフリカ赤道ギニアの夜明けをご覧。私たちは幸福の小道を歩もう。」をもとにカーニバルを作成した。また、アフリカに事業を持つ事業会社ケイロスガヴァオンとオデブロッヒからもいくらか献金を受けたことを発表している。

 このような献金問題が起こってしまうのはなぜだろうか。リオのカーニバルがどのように巨大化し運営されているのかを調べたのち、どのように問題が絡んでくるのかを解き明かしていきたい。

 

 

(ポルテーラの入り口)

 

リオのカーニバルとはそもそも何か

カーニバルは謝肉祭とも呼ばれ、世界中のカトリックの国で行われる。ブラジルではリオだけでなく北東部のバイーア、旧首都のサンパウロなど様々な地域で行われる。リオデジャネイロの街中ではブロコと呼ばれる小規模な演奏隊が仮装して街中を盛り上げるが、世界的によく知られている「リオのカーニバル」とはSambódromo da Marquês de Sapucaí、通称サンボードロモで行われるパレードである。このパレードにはエスコーラ・ジ・サンバ(以下サンバチーム)と呼ばれる地域コミニュティ団体がコンテスト形式で順位を競い合う。10種の項目で採点され、最高得点を獲得したチームがその年に優勝することができる。パレードに参加するチームはサッカーのリーグのように、Grupo Especial(1軍、以下スペシャルチーム) Série A(2軍)というように分かれている。リーグはEまでありチーム数は70に上る。さらに、その年の上位リーグ最下位と下位優勝チームの入れ替えが行われる。

 

 

そもそもカーニバルはどのように運営されているのだろうか?

まず、カーニバルが行われるサンボードロモについて解説していきたい。リオのカーニバルはサンボードロモが建設された1984年以前は公道のアベニーダ・プレジデンチバルガスで行われていたが、

当時のリオ州議長 レオネル・ブリゾラ(Leonel Brizola)が観光者増加のためのカーニバルに特化した施設の創立を、建築家である オスカーニーマイヤーに依頼し1984年3月2日に建設された。カーニバル以外の時期は州政府が運営する幼児向け学校CIEP、青少年と成人向けの学校EJAの教室として利用されている。またその教室はカーニバル時は窓が外され、カマロッチと呼ばれるひと席8万円ほどするVIPルームになる。このカマロッチは買い取ると大きな宣伝効果が生まれるためブラジル最大手のビール会社であるブラハムやアンタルチカなどの大手企業が買い取る。

 次にこのサンボードロモでカーニバルが、どのように運営されているのか解説していきたいと思う。リオのカーニバルの主催者は一軍であるスペシャルチームを管理するLIESA(Liga Independente das Escolas de Samba do Rio de Janeiroの略)の責任のもと運営される。LIESAのスペシャルグループ所属エスコーラによるパレードにかかる実施要項(REGULAMENTO ESPECÍFICO DOS DESFILES DAS ESCOLAS DE SAMBA DO GRUPO ESPECIAL DA  LIESA)第2条によると、リオの観光に特化した自治体であるリオツールは「LIESAとの間で別途締結する契約の条項に従い、パレードが行われる道路の

運用面での諸策の実施を担当」することが義務付けられている。またスペシャルチーム以外のチームもLIESAのような代表組織が取りまとめ運営をしている。

 

 

なぜ献金のような問題が起こってしまうのか

この調査で分かったことは、カーニバルチームの運営は各チームの幹部が行っており、国が直接関わっているわけではないということだ。そのため、そのチームがどのような形でチームを運営していたとしても法に抵触しない限り特段問題は発生しないということだ。そのため、初めにで述べたベイジャフロールの献金問題は、ギニア大統領からの支援金という形をとっており、法的に問題があるわけではない。しかし、どうしてこのような献金を受け取る騒動になってしまうのだろうか。私は、サンバチームが運営の資金難のやり繰り、または上位役職の者が利権を貪るために行われているのではないかと考える。2007年2月13日にサンバチーム「サルゲイロ」のリーダーが射殺され事件が起こった。犯人は見つからず、原因も不明である。サンバチームはファベーラと呼ばれるスラム街をコミニュティに中心としているところが多く、その中の麻薬組織やギャングがスポンサーとなっているチームが未だ存在している。その抗争に巻き込まれた故の射殺事件だったのではないかと考えている。

 

 

(ファベーラに住む子供たち)

 

 

まとめ

ブラジルのカーニバルは、華やかな観光イベントとしてだけではなく、それを利用したプロモーション効果が絶大なことから商業的な側面が大きくなりつつある。また、サンバチームの運営の見えない部分で政府や麻薬組織やギャングなどの金が動き、様々な思惑が渦巻いている可能性を見出すことができた。

ジルマ大統領の汚職事件など、カネがらみの問題が絶えないブラジルである。オリンピックの動向もしっかりと見守っていきたい。