新田原基地航空祭に行ってきました
築城基地航空祭の熱気と喧騒から一週間。
12月8日、新田原基地航空祭に足を運んだ。二週連続での航空祭参加ということもあり、身体は正直少し疲れていたが、それ以上に「今度はどんな景色が見られるのか」という期待の方が勝っていた。
今回は事前から分かっていた通り、ブルーインパルスの飛来はなし。その影響は想像以上に大きく、会場全体の雰囲気は築城の時とはまるで別物だった。人の密度は明らかに低く、移動もスムーズ。場所取りに神経を尖らせる必要もなく、展示機を眺めたり、撮影の構図を考えたりと、久しぶりに「余裕を持って航空祭を楽しむ」という感覚を味わうことができた。
派手な目玉がない分、純粋に航空機そのものと向き合える、そんな空気感が新田原基地航空祭にはあったように思う。
今回の航空祭で最も注目を集めていたのは、間違いなくF-35Bによる訓練飛行だろう。


新田原基地とF-35Bという組み合わせ自体が、すでに特別感を持っている。ステルス機特有の無機質で洗練されたフォルム、そして見た目とは裏腹な力強い飛行。訓練飛行という位置づけではあったが、その存在感は圧倒的で、会場の視線を一気に引きつけていた。



派手な機動や演出は控えめながらも、「これが現代の主力戦闘機なのか」と実感させられるフライトで、見ているこちらの気持ちを静かに高ぶらせてくれた。
一方で、午前中のプログラムは編隊飛行が中心となっており、正直に言えば退屈に感じる時間帯もあった。規則正しく空を進む機影は美しく、パイロットたちの練度の高さを感じ取ることはできるものの、動きが少ない分、どうしても単調さは否めない。築城基地航空祭のスピード感や迫力を体験した直後ということもあり、なおさらその落差を感じてしまったのかもしれない。
航空祭のラストを飾ったのはF-15による機動飛行。
本来であれば、轟音とともにダイナミックな旋回や急上昇を見せてくれるイメージが強いF-15だが、今回は全体的に控えめな印象を受けた。機体の動きは終始穏やかで、「これで終わり?」と感じる瞬間もあったほどだ。




その様子を見ているうちに、ふと「地元住民への配慮」という言葉が頭をよぎった。新田原基地は周囲に住宅地も多く、騒音への配慮が欠かせない。今回の機動飛行は、そうした事情を強く意識した結果なのではないか──そんなふうに感じさせるフライトだった。
それでも、新田原基地航空祭は決して物足りないイベントではない。
派手な演出や大音量の機動飛行がなくとも、現役部隊の空気感、実運用に近い飛行展示、そして落ち着いた会場の雰囲気は、他の航空祭にはない魅力だと思う。人混みをかき分けることなく、じっくりと航空機を見られるという点では、むしろ贅沢な時間だったとも言える。
そして何より、今回の航空祭を通して強く感じたのは、来年への期待だ。
今年は訓練飛行に留まったF-35Bだが、今後さらに運用が進めば、より踏み込んだ機動飛行が披露される可能性もあるだろう。来年の新田原基地航空祭では、F-35Bがどんな姿を見せてくれるのか
──その答えを確かめるためにも、またこの地を訪れたい。
築城とは違う、新田原らしさ。
静かで、現実的で、それでいて確かな迫力を持った航空祭だった。





