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追憶の骨 (bones)

音楽や映像だけでは残せない、あの時の僕たち。

(ANN 2月13日)

「覚えてないです」

 

 

2月13日、何とも不可解なニュースが流れた。

 

野田市で起きた小4女児虐待死事件で、女児を一時保護し、解除を決めた、当時の柏児童相談所の所長が、マスコミの取材に答えた。

 

「なぜ一時保護を解除して、両親の元に返したのか?」

 

ポイントは、この1点に尽きる。記者からの質問に対し、この男は平然と、他人事のように答えた。

 

「覚えてないです。」

 

… ウソだよ…。

 

僕は直感でそう思った。そして、ある場面を思いだした。

 

 

 

虐待児童の一時保護と解除は、形式上、県知事の指示の下に行われる。その重要な判断を「覚えていない」なんて有り得ない。

 

 

動画を見てみよう。

 

 

この男の表情からは、後悔や自責の念といった感情の類は一切感じられない。自分の判断ミスが女児の死を招いたという認識がないのだ。

 

 

ちょっと考えてみよう。

 

もし、この男の独断で一時保護を解除したとしたら、こんなに堂々と取材を受けるだろうか?これだけ騒がれている事件、マスコミから逃げ回ってるほうが、よほど日本の公務員らしい。

 

取材は複数のマスコミによって、どこかの部屋(路上ではなく)で行われている。事前に取材申し込みがあって、それに応えたのだろう。

 

誰かの指示でやった可能性は十分にある。

 

「一時保護を解除したのはなぜか」という疑問に対して、「覚えてない」という常套句でうやむやにする…、いかにも政治的な感じがする。

 

… なぜ、うやむやにするのか?

 

それは、一時保護解除には、れっきとした理由があって、それを知られたくないからではないか、と僕は疑っている。

 

公務員が何かを判断するには、必ず根拠がある。

 

それは上司や上層部の判断だったり、法律や条例、指針や方針、マニュアルなど、とにかく「自分で勝手に判断するな」という世界の仕事なのだ。

 

 

 §§§

 

 

2017年7月31日(公表は8月2日)に出された厚労省方針は

 

「新しい社会的養育ビジョン」

 

と呼ばれるもので、単なる法改正という以上に、大々的な社会システムの「変革」の様相を呈している。安倍政権らしい、なんとも仰々しいタイトルだ。

 

それを、児相の所長が知らなかったと思う…??

 

 

僕はこう考えている。

 

この元柏児相の所長は、女児に対する暴力も、PTSDも、さらに、親元に返せばヤバいかも…、って分かっていたのではないか?

 

ところが、国の方針が変わって、以前のように養護施設に入所させるのが極めて難しくなった。一時保護は短期間で解除、その後、父方の親族に預け、最終的に両親のもとに返す判断をした。

 

「オレは国の方針通りやっただけだ」

 

と、この男は思っているのではないか。

 

取材に答えるこの男の表情に、何の自責も感じられないのは、自分の判断じゃないからではないか…?

 

マスコミ取材に対して「『覚えてない』と言え」と指示されて、そうしてるだけではないのか…?

 

 

さらに、ちょっと考えて欲しい。

 

もし、一時保護解除の判断が、単なる児相職員(所長を含む)のボーンヘッドだったら、管轄している千葉県が、何らかの対応をするはずだ。

 

調査のための第三者委員会が開かれる事態だろう。

 

そういう動きがまったくない。

 

マスコミはなぜ、県知事の森田健作に責任を追及しないのだろう。元所長は、なぜ処分を受けないのだろう。

 

「覚えていない」

 

担当者の記憶喪失で事件の原因をうやむやにする…。

 

その構図は、加計学園事件とそっくりだ。

 

僕は確信を深めた。

 

 

<つづく>