(日刊ゲンダイ 4月1日)
「新らしい元号、レーワだって!」
… へぇ…。
僕が新元号「令和」という単語を聞いたのは、一緒にいた知人の口からだった。
その時、頭に浮かんだ漢字は「礼和」だったが、実際は違っていた。やっぱり違和感がある。「平成」の時とは違う、何かもっとイヤな違和感がある。
それでも、安倍晋三の「安」が使われるのでは…、と、新元号にすっかり嫌気がさしていた僕には、少しホッとした感覚もあることは確かで、気分は複雑だ。
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日本マスコミはまさに「新元号フィーバー」状態、「令和」への礼賛ムード一色だ。
みなさんは、どう感じただろう?
僕の違和感は、もちろん「令」の文字にある。
「令」は、例えば「お宅のご令嬢は~」などのように、相手の家族に対する敬称として使われるけれど、最近では、あまり馴染みがあるとは思えない。
やっぱり、この「令」という文字は「命令の令」である。
「生類憐みの令」とか「召集令状」という言葉が示す通り、「令」という文字は権力側が出す絶対的な指示を意味する。
そう考えると、「令和」とは「権力側が命じる『和』」という感じがしてくる。なにか「命令に逆らわず、和を乱すな」、さらには「オマエらは黙って従え」という感じさえする。
それが僕の違和感だ。
(産経新聞 4月1日)
石破茂がこんなコメントを出して、僕は少しホッとしている。礼賛ムード一色の中、よく言ってくれたと思う。
やっぱり「令は命令の令」なのだ。
§§§
作家の佐藤優がラジオ放送で
「元号がある国は、日本と北朝鮮、あとは台湾ぐらいだ。」
と言っていた。
すべて戦前の大日本帝国に属した地域。台湾は国家としては?な部分もあるので、元号を制定している正式な国家は、日本と北朝鮮だけ、ということになる。
「新元号バンザ~イ!」
「『令和』バンザ~イ!」
テレビからは「令和」に対する違和感は一切聞こえてこない。
いや、違う…。
異を唱えてはならないのだ。
それが「令和」なのだから。
新しい時代が、今よりよくなるとは限らない。
それを、僕らは「平成」から学んだはずだ。
<おわり>