友人のメルマガを遺稿として出しています

内容に関しては、彼がいろいろ情報収集をして

書いたものや、どこぞの情報をコピペして

作っているものもあるようなので悪しからず

 

しかし、興味深い点も多々あるので

興味ある人だけ読み続けてください

※長いです!

 

◎「各国の中央銀行」について

 

 連邦準備制度理事会(FRB)、日本銀行、欧州中央銀行(ECB)といった中央銀行は、新型コロナウィルス危機が激化して、世界的に経済が閉鎖・自粛され、経済の停止と金融の崩壊が始まった。2020年3月中旬以来、QE策(造幣による債券や株等の買い支え)を急拡大して、経済停止や金融崩壊による損失を穴埋めし続けている。

 

 それ以来、連邦準備制度理事会(FRB)は毎週5000億ドルのQE策を行っている。3月11日に4.27兆ドルだった連邦準備制度理事会(FRB)の勘定(資産総額)は、4月1日に5.72兆ドルになって、増え続けている。

 日本銀行(約10日ごとに勘定の状態を発表)は、3月前半まで10日間ごとに1兆~3兆円のQEをしていた。その後増え続け、3月下旬には10日間で10.3兆円のQEを実施した(資産総額は3月12日に588.7兆円、3月31日に604.4兆円)。欧州趙鴎銀行(ECB)は、3月中旬まで毎週100億ユーロ以下の資産増加だったのが、3月27日までの週に1354億ユーロの資産増加へと急拡大している。

 

 2月後半以降、新型コロナウィルス危機の世界化とともに株や債券が暴落した。その後、反騰して再暴落し、激しく上下する乱高下になっている。この乱高下の下落方向(株や債券からの資金流出)は、新型コロナウィルス危機での経済の全面停止を反映した投資家の売りによるものである。そして乱高下の上昇(反騰)方向は、米日欧の中央銀行がQE策の資金を金融市場に注入した結果である。現在の世界の金融市場を支える唯一最大の要因が中央銀行のQE策である。QE策が米国中心の世界の金融システムを延命させて、新型コロナウィルス危機が金融危機に発展するのを防いでいる。

 

 3月末以来の米日欧の中央銀行のQE策の増加幅を比べると、連邦準備制度理事会(FRB)が突出して多い。各中央銀行の増額後のQE策の規模は、連邦準備制度理事会(FRB)が毎週5000億~6000億ドル、日本銀行が10日間ごとに5兆~10兆円(毎週300億~600億ドル)、欧州中央銀行(ECB)は毎週1300億~2200億ユーロ(毎週1400億~2400億ドル)となっている。

 

 新型コロナウィルス危機より前、連邦準備制度理事会(FRB)はQE策と似た機能を持つ「レポ介入」を行っていた。資産総額の増加は週に200億ドルぐらい(毎月600億ドルの枠)だった。それ以前の、リーマン・ブラザーズ危機以来の連邦準備制度理事会(FRB)の3回にわたるQE策は月額が800億ドル台だった。それが新型コロナウィルス危機の渦中に入ってからは、いきなり20倍以上の週6000億ドル前後・月額2兆ドル以上になっている。連邦準備制度理事会(FRB)は2015年以降、不健全になるので資産総額を増やしたがらず、出来るだけ日本銀行等の傀儡中央銀行にQE策を代替させてきた。しかし、今回の新型コロナウィルス危機は、経済の全停止であり、瞬間風速的・短期的な事態悪化の大きさはリーマン・ブラザーズ危機や百年前の大恐慌よりはるかに大きい。連邦準備制度理事会(FRB)自身がQE策を嫌がってきたこれまでの姿勢を全て捨て、自ら巨額のQE策を再開せざるを得なくなった。

 連邦準備制度理事会(FRB)はリーマン・ブラザーズ危機後、3回のQE策を行っている。その総額は4兆ドル強だった。連邦準備制度理事会(FRB)の資産総額はリーマン・ブラザーズ危機前の1兆ドル以下から5兆ドルへの増加している。この程度の規模の増加でも、連邦準備制度理事会(FRB)内外の経済専門家達から「不健全」と非難されていた。それで、日欧の中央銀行にQE策を肩代わりさせていた。今回の新型コロナウィルス危機での連邦準備制度理事会(FRB)のQE策の再開は、毎月の月額が2兆ドル以上になりそうである。わずか2か月で、リーマン・ブラザーズ危機対策としてのQE策の総額に達した。2か月後の2020年6月末時点で、新型コロナウィルス危機がきれいに解消されて、世界の借金(債務者)の大半を占める米経済がV字回復している可能性はほぼゼロである。

 

 米国や世界の経済回復は早くて、数年後である。しかも、感染再発が頻発する中での不安定な回復となる。つまり、V字でなくL字に近くなる。経済成長がプラスに転じても、金融システムが自力で安定するには時間がかかる。そもそもリーマン・ブラザーズ危機以降の12年間、米国中心の世界の金融システムはずっとQE策に依存し続けている。一度も自力での安定を回復したことがない。現実的に考えると、かなり楽観論に立っても、連邦準備制度理事会(FRB)は、今の月額2兆ドル以上のQEを少なくとも半年は続けねばならない。その後は減額できたとしてもQE策自体はずっと続けねばならない。2兆ドルのQE策を半年続けると、今の6兆ドルの連邦準備制度理事会(FRB)の資産総額(勘定)が18兆ドルになる。その後の減額したQE策まで含めると、連邦準備制度理事会(FRB)の資産総額は2021年末には、米国のGDPである22兆ドルを超えることになる。

 

 中央銀行の資産総額がQE策によって、自国のGDPを超えると危険なのか。実は、日本と英国が、中央銀行の資産総額がQE策によってGDPを超えている。中央銀行の資産のGDP比は、米国が27%、欧州が40%である。日本銀行の資産総額が600兆円、日本のGDPは554兆円である。英国のイングランド銀行の資産総額が5130億ポンド、GDPが5236億ポンドである。日本銀行と同様、英国のイングランド銀行は3月中旬から毎週200億ポンド前後のQEの急拡大をやっている。まもなく資産総額がGDPを抜くことになる。日本も英国も、こんな状態になっても中央銀行が危ないと言われることはない。そのため、平然とQE策を急増出来ている。ならば、連邦準備制度理事会(FRB)の資産総額が米国のGDPを抜いても問題ないのでないか。

 実は、そうでない。日本と英国は、金融システム的に米国と一心同体である。日本と英国の中央銀行がいくら不健全な政策をやっても、日本と英国よりはるかに規模が大きくて覇権国である米国の連邦準備制度理事会(FRB)が健全な状態な場合、金融システムは危険にならない。日本と英国だけが危険なこともない。しかし、連邦準備制度理事会(FRB)が不良資産の急増でGDPを超えてしまうと、それは、連邦準備制度理事会(FRB)・ドル・米国債・米国覇権の不健全さを象徴する状態になる。世界中の投資家や銀行がドルや米国債に対する不信感を急増させるのである。

 

 ここまでは、連邦準備制度理事会(FRB)が22兆ドルまでQE策を拡大しそうであるという話である。米国中心の世界の金融システムは、リーマン・ブラザーズ危機後、各国の中央銀行のQE策に依存して延命してきた。新型コロナウィルス危機により、経済を全停止した。全停止した分の経済の資金的な穴埋めの全てを、各国の中央銀行、特に連邦準備制度理事会(FRB)がQE策の急増によって担うことになった。連邦準備制度理事会(FRB)は、総額としていくら穴埋めすれば良いのだろうか。各国の中央銀行が自国の1年分のGDPを穴埋めするなら、連邦準備制度理事会(FRB)は既に述べた22兆ドルのQE増額をやれば良い。しかし、GDPは実体経済だけの分である。今の世界は実体経済と別に、米国を中心に250兆ドルの金融システム(債権債務)を持っている。これらを穴埋めしていかないと、債券金利が上昇して金融破綻を引き起こすことになる。

 株価の反騰から考えて、各国の中央銀行は株価の暴落も認めないことにした様である。株式市場への資金注入もQE策の役目になる。連邦準備制度理事会(FRB)は、不動産担保債券や、石油ガス業界等のジャンク債の損失もQE策で穴埋めすることにした。米政府が新型コロナウィルス危機の対策として発行する赤字国債もQE策の資金で買い支えられる。QE策は、あらゆる借金の穴埋めに使われている。QE策が全ての借金を面倒見るとなると、債務者の方は途端に自律的な努力をしなくなって、倫理的に腐敗し、QE策への依存がますます強まる。モラルハザードに陥る。最悪の場合、連邦準備制度理事会(FRB)は250兆ドルのQEをやらねばならなくなる。22兆ドルと思っていたQE策の想定額が10倍以上に跳ね上がる。毎月2兆ドルのQE策を続けると10年位で250兆ドルになる。各国の中央銀行が、人類の負債を全て肩代わりすることになる。

 

 そこまで行く前に、巨大な金融崩壊が起きて肩代わり不能になりそうである。株や債券の市場の閉鎖、米国債からジャンク債までの債券の金利高騰、取引不能、市場凍結等が考えられる。取引出来なくなって、金融商品の価格や金利が定められなくなる。金利が定まらないので融資やローンも存在しなくなる。これまでの債権債務が凍結される。金融システムが崩壊状態のまま、実体経済だけが運営され続けることがあり得るのかどうか。金地金の価値が高騰することになる。

 

 新型コロナウィルス危機で、各国の中央銀行、特に、連邦準備制度理事会(FRB)への依存が急に強まっている。モラルハザードが起きているので離脱が困難になっている。連邦準備制度理事会(FRB)のドルシステムは崩壊が不可避である。何時どのように崩壊していくのかという問題になっている。

 

ではまた