今わが国の経済においてデフレスパイラルと言うものが問題視されていますが、この問題の原因としては大きく分けて二つの問題があると考えます。ひとつは、グローバル経済における経済格差、及び、貿易不均衡の問題。もうひとつは、世界的金融システムの不備の問題。
前者は世界の国々の様々な状態の差異( 内容が複雑多岐になるので此処では省略 )によって生じる問題、( ひとつ具体的に云うと海外で極端に安く作られた製品が大量に入って来る事によって国内の産業が衰退してしまうという事。これは自国の企業が駄目になるという事では無く、国内の産業が空洞化するということを意味しています。これは言い換えれば、一部のエリートでは無い大多数の一般庶民が安定した生活を得る為の場所が減少していると言う事であります。)
後者は世界的な為替、債権、税金、株、保険の取引や投資、投機など金融全般の問題、( ひとつ具体的に云うと為替の極端な変動により国内の産業やサービスが混乱し、衰退してしまうという事。)
前者の問題の対処法は一概には言えないのですが、あえて我国においての重要な点を云えば、せめて、その国で使う主要な物で、その国で作れる物は基本的に、(全てと云うことではなく製品によって自給率の設定は変化する)その国で作るべきであると言うことであります。これは原料や特殊な商品等のことでは無く、その国においての一般的な製品に関しての事であります。(具体的な例を云えば、主として自国の企業が自国で作れる物を、わざわざ他国で作って逆輸入しているような製品等) 何故ならば、その事によってこそ、その国における生産と消費のバランスが保たれるからであります。(これは、その国の成り立ちや主要産業の性質の違いにもよりますが)、現在の我国においては、このバランスが大きく崩れる事によって深刻なデフレと言うものが発生する要因となっていると考えられます。(因みに我国だけでは無く、この法則が当てはまる国は比較的多いと思います。)
勿論、要因は他にもありますが、これは技術立国である現在の我国の状況において、最も重要な項目と考える所以であります。一般の庶民が安定して働く場所、若しくは収入を得る場所が無いという事態は、非常に重大な問題であります。
そして、貿易等によって取引が行われる場合には、お互いにそれが利益である必要があります。どちらかが一方的に得をして、どちらかが損をするのであれば、そこに、また問題が生じます。要するにお互いに納得でき、お互いに発展できれば良いのです。勿論これは自由貿易を否定するものでは無く、全体のバランスを考慮し自己中心的な考え方を反省すべきという事であります。その国の経済力に見合ったもので、その国に無い物や出来ない物で必要な物、欲しい物は買わなければ仕方がありませんし、発展のためには競争は必要でしょうから。逆に云えば、ある貿易によって、その国が損害を受けるようならば、その貿易はその国にとっては排除すべき貿易であると言うことであります。
後者の問題も、これまた非常に重要な問題であります。まず基本的に金銭自体が新たな価値を生むという事は無いと云う事であります。何故ならば金銭と言う物は価値の交換手段であるからであります。簡単に言えば等価交換であります。その仕事に対して正当な対価が宛がわれるのであれば、何の問題も生じません。しかし現実にはそうなっていない事が多いことが問題であります。この問題も更に分類すれば、やはり二つの問題が考えられます。ひとつは簡単に言ってしまうと、詐欺、ペテン、泥棒、略奪の類であります。是に関して金融においては合法的に行われる処に大きな問題があります。もうひとつは、ギャンブル(博打)の問題であります。投資には多少也とも博打的要素は入ってきますが、これ自体に問題は有りません。問題となるのは、この要素を金融の世界に作為的に持ち込み、自らが、そのオーナーとなり、客となり、実業の世界を混乱させると云う事であります。本来の投資には産業を生み育てるという大きな価値がありますが、博打的投機には全く逆の性質があります。ギャンブルをやりたい方は自己責任の元に本物のカジノで楽しんで頂きたいものであります。
この様に、経済と云うものは、生き物であり、微妙なバランスの上に成り立っているもので、波が生じるのは自然なことでありますが、大事なことは、この波が極端に振れる事によって経済活動を混乱させ阻害しない様にコントロールして成長を持続させる事であります。( 是は政治の仕事であります。)そして、もうひとつ大事な事は、経済的繁栄の根底には勤勉、努力、価値の創造、と言う事が基本として在りますので、この辺が崩れると如何にもなら無いと言うことを忘れないことであります。( 勤勉、努力というものは、その人の自覚が有るかどうかに関わらず、其れ相応の想いと行動が有るということであります。) そして、経済と云うものが健全に円滑に営まれるということが世界の平和と発展を支えて行く重要なものであるということであります。(尚、以上は、あくまでも経済的側面においての考察であり、世界は経済のみによって成り立っているわけでは無い事を忘れてはならないでしょう。)
