今週月曜(4月16日)の日経新聞記事に監査役会の権限強化を求める記事が出ていました。
ある製造業の監査役のコメントとして「監査人が経営陣の顔色を見ずに監査委員会と連携すれば不正を防げた」
なにを言っているのでしょう、この人は。監査人の責任ももちろんゼロとはいいませんが、監査役あなたたちにはもっと大きな責任があるのですよ。
確かに会計監査は、監査人と監査役との協力が必要ですが、いっぽうで業務監査は監査役が自らおこなうべき業務なのです。したがって業務に関する不正の発見はもっぱら監査役にあるといえるのです。それを棚に上げて、というか自覚せずに上記発言をしてしまう監査役の厚顔さにはあきれます。また、そんな発言に対して「~との指摘は重い」などというコメントを付してしまう日経新聞も、ちゃんと制度の理解をしたうえで記事を書いてほしいものです。まぁ日経新聞の対会計士(に限らないですが。。)の記事はこれに限らず事実誤認の眉唾ものが多いのですがね。
また同記事には、法務省のコメントも書かれていますがそこには、「監査役は契約など経営事象にかかわらないから独立性を保てる」といっています。しかし大半の会社の監査役はもともとは同社の社員から監査役になっているという実態を踏まえているのでしょうか。少なくとも俺が行っているクライアント先はそんな会社がほとんどです。そんな会社においては、監査役に法務省コメントで言うような独立性なんて保てるわけないと思いますが。
果たして日本の企業の常勤監査役のどれほどの人が、そんな独立性を保っていられるのでしょうか。常勤でない場合は、外部の人が監査役になっていることが多いですが、やはり業務にかかわれる時間等・密度で考えると常勤の監査役とそうでない監査役とでは雲泥の差であると思われます。
日本の監査役(常勤)が上記のようにもともと社員から監査役になった人が多数であるという状態であることは、かのトヨタ自動車にしても監査役7人のうち3人が常勤監査役でその全員がもともとトヨタ自動車の社員であるということからもわかるでしょう(参考:有価証券報告書「役員の状況」より)
独立性を保って監査役本来の業務を遂行していく監査役像の理想はこちら。
この「野崎修平」くらいわが道を行くことのできる監査役になれれば。。。
まぁ厳しいね。
- 周 良貨, 能田 茂
- 監査役野崎修平 (1)