記事より~
証券監視委によると、日興CGはグループ投資会社の日興プリンシパル・インベストメンツ(NPI)が実質支配する特別目的会社(SPC)NPIホールディングス(NPIH)を連結範囲に含めず、本来なら計上できない利益を2005年3月期決算に計上。日興CGはこの不適切な会計処理に基づく決算をもとに、同年11月に社債を発行し、市場から500億円の資金を調達した。
証券監視委ではこの行為は証券取引法が規定する「重要な事項につき虚偽の記載がある発行開示書類に基づく募集により有価証券を取得させた行為」に該当すると判断。同法の規定により、調達額の100分の1にあたる5億円の課徴金納付命令を出すよう金融庁に勧告した。
証券監視委幹部は「NPIHの役員はすべてNPIの役職員が兼務しており、NPIがNPIHの意思決定機関を完全に支配していたことは明らかだ」とし、NPIHを連結対象に含めなかった日興の会計処理には問題があったと説明した。
金融庁の五味廣文長官は同日の定例会見で、日興CGの会計処理について「市場の信認を確保する意味で大変残念な事態だ」と語った。
日興CGは、今回の会計処理の訂正により、05年3月期連結決算の経常利益を777億円から588億円(前期実績768億円)に、同当期利益を469億円から351億円(前期実績387億円)にそれぞれ下方修正。06年3月期決算の経常利益を1678億円から1688億円に、同当期利益を963億円から967億円に上方修正した。
問題となったEB債は、NPIがコールセンター大手のベルシステム24を買収するために設立したNPIHがNPIに対し04年、ベル24の株式に交換できる社債として発行した。このEB債は、株価の変動で一方に利益が出ると、他方には同額の損失が出る仕組みになっていた。
日興CGはNPIに発生した含み益約145億円は利益として計上したが、含み損が発生したNPHIはグループ連結決算の対象外にして、損失を計上しなかった。
最終的にNPIHをグループの連結対象に加えて処理し直したため、当初計上していた利益は相殺され、今回の過去決算の訂正に至った。
<EB債の発効日も偽る、監視委と意見対立も>
このほか、当初の手続きでは04年8月4日付で発行を決議したにもかかわらず、実際の発行は9月に入ってから行われていたことが社内調査で判明した。会見したグループの財務担当・森田收執行役によると、内部の取締役会の議事録のほか、EB発行に関わる発行要綱の書類も「日興プリンシパルの平社員によって、あたかも予定通り発行されていたかのように改ざんされていたことが判明した」という。
ただ、これについて証券監視委では「一担当者の話ではない。それ相応の(立場の)人が関与している」(幹部)との見方を示しており、日興CGの主張と真っ向から対立している。
東京証券取引所は18日付で日興CGの株式を上場廃止の恐れがあるとして、監理ポストに割り当てたと発表した。
日興コーディアルグループでの会計不祥事という
社会的インパクトの大きい事件が生じてしまった
今回のこの不祥事には2点の問題があると考えらている
① NPIHの連結範囲の問題
② EB債発行に伴う書類の改ざんという内部統制上の問題
まぁ、マスコミの取り上げ方においては、
この2点を一緒にして考えているところも多く見受けられるが。。。
そしてこの日興の監査に当たっていたのが
旧中央青山(現みすず)監査法人である
山一、足銀、カネボウ等々の会計不祥事に続き
またかと思われても仕方がない
「みすず」になり新規一転というところに
まさに青天の霹靂というような今回の不祥事により
旧中央ひいては会計士業界全体に対する
風当たりはさらに厳しくなることは間違いないことであろう
なお旧中央青山も過去において
特定目的会社に対する連結の範囲に関して
連結の範囲に含めるようとの指摘は行っていた模様
(参照 日経新聞2005年12月29日記事)
それを受けて06年3月期決算期においては
特定目的会社も連結の範囲に含めて処理を行っているが、
その時点において過去の訂正等は行っていないようです
しかしながらマスコミが取り上げるように
特定目的会社の連結の範囲等の問題もおおいにあるのだがが
俺にとってそれ以上に疑問があるのが
なぜNPIHが資金調達の手段として
EB債を用いたかということである
なお、このとき発行されたEB債の発行条件等も不明であるため
以下は私見の部分が多いのでご了承を
EB債とは
債券の償還の方法を決定するために、あらかじめ定められた日において、所定の条件を満たす場合には、現金で償還されるのではなく、所定の銘柄の株券で償還される条項が付された債券のことをいう。
他社とは、債券の発行体と償還対象株式の発行会社とが異なることに由来する。他社株償還条項付債には、いくつか種類があり、ノックインプット売り型やノックアウトプット売り型などがある。
9月に行われた「ベルシステム24」の株式公開買い付けを
(2004年9月28日公開買い付け申し込み開始)
8月のNPIHの資金調達時点ですでに考えていた場合においては
公開買い付け価格にはプレミアムも付されることから
「ベルシステム24」の株価が高くなることは
当然に考慮できたのではないだろうか
そうすると結果としてEB債の特徴上必然的に、
NPIには利益が帰属し、逆にNPIHには損失が帰属することになる
この時点で連結の範囲においてNPIHを含めないことが確定ならば
当然利益のみがP/L上反映されることになる
つうことは、自らがTOBを行うことにより
その後の株価が高くなることが
かなりの確率で想定しうる状況において
連結対象外とするNPIHがNPIに対してEB債を発行することは
だいぶ恣意性が入った取引なんではないかと
思わざるおえないのである